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P.L.A.M. PLAM プラム | 照明設計サポート設計知識とツール 照明設計資料

照明設計資料

JIS Z9110:2010 照明基準総則の改正内容

 2010年1月20日に、照明に関するJIS Z 9110:2010 照明基準総則が、改正されました。
 また、2011年3月11日の東日本大震災による電力不足に際して、節電に配慮するため、設計照度を決定する際の補助となるよう, 2011年5月9日に追補(改正点だけを示して改正する規格改正手続きの一手法)が発行されました。
 本規格は、人々の諸活動が、安全、容易、かつ快適に行えるような視環境を作り出すための照明基準です。今回の改定は、従来の推奨照度だけを規定した照度基準から、それらに照度均斉度、不快グレア、平均演色評価数などの照明の質的要件を加えました。照明基準に「総則」を付けたことにより以下に示すような、分野毎の個別の照明基準を包括して、それらとの整合をとっています。
(注) 2011年11月21日にJIS Z 9127スポーツ照明基準が発行され、破線を付けた既存JISが廃止されているので、スポーツ照明を設計する場合は、JIS Z 9127を参照してください。

− JIS Z 9111

道路照明基準

− JIS Z 9116

トンネル照明基準

JIS Z 9120

屋外テニスコート及び屋外野球場の照明基準

JIS Z 9121

屋外陸上競技場、屋外サッカー場及びラグビー場の照明基準

JIS Z 9122

屋内運動場の照明基準

JIS Z 9123

屋外、屋内の水泳プールの照明基準

JIS Z 9124

スキー場及びアイススケート場の照明基準

− JIS Z 9125

屋内作業場の照明基準

− JIS Z 9126

屋外作業場の照明基準

●本規格の特徴
様々な空間に応用できることを目的に、(1)屋内作業、(2)屋外作業、(3)構内の交通の安全、(4)環境の安全・保安の4つに区分して、基本的な照明要件を新たに規定しました。

●各施設、分野毎の諸活動については、上記を基にJIS Z 9110:1979照度基準の付表を整理し直すとともに、分野毎の個別の照明基準を引用して整理し直しました。

●推奨照度値は、作業領域又は活動領域に対するものを、推奨範囲の中央値で規定しました。1つの分野に1つの照度という意味ではなく、選択を容易にする観点からのものです。また、照度均斉度も、作業領域又は活動領域に対する値で規定しました。

●もし、視覚条件が通常と異なる場合には、設計照度の値は、推奨照度の値から、照度段階で少なくとも1段階上下させて設定できます。なお、照度段階は、照度の違いを感覚的に認識できる最小の照度の差異を、ほぼ1.5倍間隔として規定しています。

●屋内照明施設に対する不快グレアの評価は、屋内統一グレア評価方法(UGR)に基づいて、屋外照明施設に対する不快グレアは、屋外グレア評価方法(GR)に基づいて規定しています。

 本規格と同時に、分野毎の個別の照明基準を活用し、良好な照明環境をより少ないエネルギーで達成できることを期待しています。

照明基準総則 JIS Z9110-2010
※日本工業標準調査会HP JIS検索へリンク規格番号に「Z9110」と入力し検索すると、ご覧いただけます。

改正の趣旨

 旧基準の、日本工業規格JIS Z 9110:1979照度基準1)は、安全で健康的な生活環境の提供を目的に、各施設、空間や領域に必要とする照度の推奨範囲を規定したものであります。1958年に制定されて以来、逐次検討が加えられ、1960、1964、1969、1975、1979年の5回の改正が行われ、約半世紀もの長い年月に亘って広く照明の基礎となってきました。
 しかし、この間における国内外の、生活水準の発展の結果、照明に対する欲求は、次第に複雑かつ高度になり、明るいだけの照明では、満足されなくなってきています。また、同時に、省エネルギー、省資源、環境保護に対する社会の意識なども大きく変化しました。
 そこで、良好な照明環境を得るための照度、照度分布、陰影、グレア、光色、演色性など多彩な条件を、具体的な照明目標として与えるよう、JIS Z 9110照度基準を「照明基準」に改正することが求められていました。
 今回の改正は、これらのことを踏まえ、推奨照度だけを規定する照度基準から、照度均斉度、不快グレア、演色評価数などの照明の質的要件を推奨照度に加えて規定した照明基準に改定することを第一の目標としました。

いつから有効か

 改正されたその日から、改正JISが有効となります。しかし、運用上は、取引相手がいるかどうかで少し話しが違います。改正前に旧JISで契約していれば、JISが改正されたとしても、その契約内容が有効になります。

内容

1.照度
1-1
 推奨照度ーこの規格で規定する推奨照度は維持照度です。推奨照度は、基準面の平均照度です。基準面は,水平面,鉛直面,傾斜した面,又は曲面等です。基準面を特定できない場合には,床上0.8 m(机上視作業),床上0.4 m(座業),床又は地面のいずれかを基準面と仮定します。
1-2
 推奨照度は、範囲から、単一値になりました。
(1)基本的な考え方
例えば、これまでは事務所は300〜750lxと範囲指定でしたが、具体的にどの値を採用するか分かりにくかったのですが、これからは、事務所は、750lxとなります。
 これらの単一の照度値は、原則として,旧JIS1)の照度範囲の中央値を採用したが,いくつかの関連規格との整合及び実情を加味して若干修正を加えました。
(2)節電に対する配慮
 東日本大震災による電力不足で、一日のある時期に需要を満たせなくなる恐れが生じ、これを回避するため国は、国内に対して節電を要請することになりました。経済産業省は、推奨照度から導かれる設計照度の範囲の下限値を周知することで設計照度を下限値に誘導し節電を進めるとし、先に紹介した追補で範囲を公開しました。
  JISでは、通常の視覚で、通常の作業や活動に推奨する照度を示しています。実際に照明設計を行う場合は、推奨照度を元にそこで行われる作業や人の年齢層などを考慮して設計照度を決めます。
  これには、「視覚条件が通常と異なる場合には、設計照度の値は,推奨照度の値から、照度段階で少なくとも1段階上下させて設定できる」ことで対応しています。この「1段階」という本文中の表現を具体的に表す、推奨照度と設計照度の範囲(追補2011)を、表1に示します3)

表1 推奨照度別の設計照度範囲2)

1-3
 推奨照度に、局部照明で得てよい、の○印は無くなりました。これは以下の理由です。
a) JISでは、実現手段(照明手法など)は規定していない。
b) 作業や行為に対する推奨照度である。
 一般的には、視作業の条件が厳しいので、高い推奨照度が示されている部位は、その都度、設計者の判断で設計照度を、局部照明で得ても良く、省エネルギーにもつながります。
1-4
 推奨表の中の重要と思われる「作業」に、照度均斉度を規定しています。照度均斉度は、最小照度値÷平均照度値で表します。照度均斉度を計算する範囲は、照明設計者が施主と協議した上で、作業域を決定すれば可能です。

2.不快グレア
2-1 不快グレア(屋内)
 UGR値は、製造業者が提供する。UGR値は、超えないことが望ましい、となっています。
 具体的なUGR値の計算方法と、超えないことが望ましい許容値は、JCIE-002屋内作業場の照明基準設計ガイド4)に記載されています。
 超えないことが望ましい、という範囲を仮に決めると,不快グレアの主観評価が変化するには,UGR値が3程度異なることを考慮して図1のようになります。例えば,19.0≦UGR<22.0は,UGRが19の部位にお奨めできるものとします4)
 当社のUGR19に対応した、スペースコンフォートをお奨めします。

UGR計算値の判定

2-2 不快グレア
 屋外照明施設に対する不快グレアは,屋外グレア評価方法に基づいて,定められています。同様に、推奨値を超えないことが望ましい。

3.ランプの相関色温度
 本文に、暖色、中間色、涼色の3段階を使い分けるよう規定されています。作業別の推奨表には規定されていません。

4.ランプの平均演色評価数
 作業別の推奨表に、演色性が重視される作業や空間には、平均演色評価数が規定されています。

5.保守率
 推奨照度は,保守率を見込んだ維持すべき照度です。保守率は,選定した光源,選定した照明器具,環境及び特定の保守計画を基に定めています。
〔注記〕
 保守率の算出方法には,照明学会の技術指針JIEG−0015)があります。

6.検証の手順
 本規格は作業者に適切な照明環境を提供することが最終目的であり,本規格に則って設計された作業場の照明が,設計通りに施工され,所定の性能を発揮して初めて意味を成すものです。検証を行なうことで、最終目的の達成度を確認することができます。

7.省エネルギー
 国の法律(省エネルギー法:エネルギーの使用の合理化に関する法律)で規定されているため、照明基準では規定されていません。

[参考文献]
1)JIS Z 9110:1979照度基準
2)JIS Z 9110:2010照明基準総則
3)JIS Z 9110:2011照明基準総則(追補1)
4)日本照明委員会:JCIE-002屋内作業場の照明基準設計ガイド(2009).
5)照明学会: JIEG-001照明設計の保守率と保守計画 第3版(2005) .

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