建築設計REPORT Vol.02
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Barry A. BerkusSPECIAL INTERVIEW01住宅地であっても湖や池を配置して街並みを美しくすることで、その土地の価値は上がります。これは米国では陸地の面積が広く、ほとんどの土地が水辺に接していないからかもしれません。米国人は水に対する憧れが強いのでしょう。日本で学んだ自然との関わりを街づくりに活かす─現在はどのようなプロジェクトを進めておられるのでしょうか。現在進めているのは、カリフォルニア州ロサンジェルスのプラヤビスタです。プラヤビスタは航空機の製造会社「ヒューズ・エアクラフト社」の跡地を開発した巨大な都市開発で、2007年までに1期計画が完了し、現在は2期計画がスタートしています。fig. 2はその一部ですが、1エーカーに17~100軒の密度で設計しています。セレブレーションが1エーカーに5軒なので、セレブレーションよりあえて密度を高めていますが、より快適な街になるように計画し、住宅の前に庭を設けてフロントポーチを前に配置しました。車はバックアレーからしかアクセスできないように歩車分離を徹底しています。また、住戸はブーメラン型で他の家の視線を遮るように計画。米国ではあまり例のないことですが、南からの採光を考えたレイアウトとしました。方角を取り入れる事は、住宅と自然との関わりについて、日本から学んだ多くの事柄の一つです。街と住宅は平行して同時にデザインする─街と住宅の関係についてお話しください。プラヤビスタの住宅は、主に2×6の木造建築で、街区ごとに建築様式は統一するものの、各住居はデザインが異なるようにしています。これにより、街並みの統一感を創り出すことができるのです。私は都市開発と住宅の建設は平行して進めるべきだと考えています。地割りをして、そこに住む人たちが勝手に住宅をデザインして建ててしまうと、素敵な街にはなりません。庭園や緑の配置と住宅も含めた景観が、健康な体と健全な精神、そして安全で心安らぐ暮らしを創り出すのです。これも、日本古来の住宅の考え方に近いものです。─ありがとうございました。PLAYA VISTA■ プラヤビスタ©Berkus Design Studiofig. 2 住戸をブーメラン型にし、南向きを意識した配置同じ建築様式でありながらデザインが異なる住戸車路と歩道が明確に分離されている車路車路歩道©Berkus Design Studiofig. 1 バーカス氏が2000年に手がけたプラン。中央の商業施設モールから曲線で伸びる街路沿いに住戸が広がる※セレブレーション・フロリダの関連記事は、P19-20に掲載されています。4

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