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INTERVIEW 展示物の魅力を引き出し空間としても絵になる照明を 展示デザイナー 木下 史青氏

従来は困難だった照明を可能にしたLED技術

木下史青氏は、平等院住職の神居文彰氏の依頼を受け、今回の照明リニューアルをとりまとめた。実は、木下氏は、2001年に平等院ミュージアム鳳翔館が新築された際の照明デザインも監修している。その木下氏は、今回のケースをこう話す。「今、照明リニューアルを必要としている美術館・博物館は全国に多数あります。今回はその一つであり、理想的なケースと言えます」。
既存の鳳翔館の照明は、ハロゲンランプスポットライトと蛍光灯が中心で、当時としては最新の調光技術なども取り入れていたが、老朽化と陳腐化は着実に進んでいた。一方、すでに照明はLEDの時代へと大きく転換しており、「従来の照明技術では難しかった展示物の演出を実現できる状況になっています」と、木下氏は言う。
文化財の保全や展示効果の向上といった住職の思いや、照明のイメージを汲んで打ち出したのは、既存設備の手直しではなく、根本から見直すリニューアルだった。新たな照明環境の実現に向けて、複数メーカーを対象にプロポーザルを企画し、まずはそのための仕様書づくりに着手した。

従来は困難だった照明を可能にしたLED技術

提案書に読み取れたデザイン意図への理解

「正面の格子越しに梵鐘が見えるアプローチに始まり、鳳凰、そして雲中供養菩薩の展示室まで、一連の建築空間のストーリーに対して、どのような照明環境を組み立てるのか。まず、その提案性を重視しました」。木下氏が目指したのは、個々の展示物の特性を引き出すのと同時に、建築空間のなかで展示物が“絵”として映えるという難易度の高い照明だった。
実現のために実施したプロポーザルで選定したのが、パナソニックの提案だ。「私たちの意図をよく理解していることが、提案内容によく現れていました」と、木下氏は評価する。着目した提案の一つに、現場での実験がある。
例えば、ガラスケースに14体の雲中供養菩薩を収める照明は、当初から設計だけでは追求できないと分かっていた。「この照明を普通にやったら光のムラだらけになってしまいます。一体一体について、近くから広角の光を当てるのが良いのか、それとも遠くから絞った光なのか、そういったことを現場で試しながら進めなければ分からないと思っていました。パナソニックさんの提案は、製品や設計など技術に加え、現場の重要性を説いていた点に共感しました」(木下氏)。

提案書に読み取れたデザイン意図への理解

LEDを駆使すれば、映像に負けない展示ができる

パナソニックでは、設計段階の照度シミュレーションで、まず全体の方向性を確認している。そのうえで木下氏らとともに改修工事の現場に入った。毎回、美術館が閉館する夕方以降、様々な器材を持ち込んで試行を重ね、必要に応じて器具の使い方にも工夫を凝らした。「例えば、通常のカッタースポットでは四角い光になってしまいます。複数の光が自然にふわりとつながっていくような配光の工夫も必要でした」と、木下氏は説明する。
今回のプロジェクトを振り返って、全国の美術館・博物館の照明リニューアルの必要性も説く。「映像が発達した現代では、それに負けない演出をする必要があります。LEDだからこそできる光の演出があるので、そこに行かなければ見ることのできない展示を、照明によって実現できるはずです」。

木下 史青氏

PROFILE

  • 展示デザイナー
  • 木下 史青
  • 東京国立博物館 学芸企画部企画課 デザイン室長

1965年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修士課程環境造形デザイン専攻修了。
日本で初めての博物館専属の展示デザイナー。主な実績は、 開創950年記念「国宝 平等院展」、
プライスコレクション「若冲と江戸絵画展」、 興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」など
数々の企画展の展示デザインを手がける。「東京国立博物館 本館日本ギャラリー リニューアル」で、
平常展示のリニューアルデザインを担当し、平成18年度日本デザイン学会年間作品賞を受賞。

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