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P.L.A.M. | LIGHTING STYLE Vol.5

LightingStyle

名古屋外国語大学2号館/愛知県日進市

名古屋外国語大学メイン写真
学ぶ環境に適した光の質を変える提案で、明るさ感を取り入れた教室リニューアル。
建物種別:
学校・教育施設
竣工:
2009年9月
地域:
東海
所在地:
愛知県
施主:
学校法人中西学園
設計:
清水建設名古屋支店一級建築士事務所
施工:
清水建設
電気工事:
ダイダン
対談 ディテール紹介 ライティングデータ

Cross Talk/対談:清水建設加登氏・阿津地氏×EC斉藤昌生

加登様
加登 剛司様

清水建設株式会社
名古屋支店
建築設計部

阿津地様
阿津地 啓充様

清水建設株式会社
名古屋支店
設備設計部

EC斉藤
斉藤 昌生

パナソニック株式会社
名古屋照明EC

教室改修の基本的な考え方

新しいイメージづくりを図るために照明計画を提案
加登様 
2号館は学校の中央にあるコミュニケーションプラザへの通過動線でもあり、人の流れが多い場所です。今回の改修は快適な学習空間づくりに加え、老朽化していた教室棟を明るくスマートな印象に変える目的もありました。イメージを一新するために、廊下と教室の間仕切りをガラス張りにし、開放感を出すとともに廊下側からも外光が入るようにしています。使用状況によってはロールスクリーンで視線を遮ることもでき、いわば多層レイヤー的な感覚。廊下も床面をアンダーな色合いにし、壁面にアクセント色を入れるなどデザイン演出性を高めています。
従来の教室照明は直付けのスクールコンフォートが使われていましたが、学ぶ空間での最適な光のあり方を一番に考え、「光の質を取り替える」というコンセプトを提案しました。具体的には、下に落ちる光だけでなく天井にも光を回して部屋全体の明るさ感を得ることで、学習時の疲れが軽減されるように配慮しました。

照明計画のポイント

500lx基準確保を前提に快適な明るさ感を得る手法
加登様
リニューアル効果を高め、新しさを感じさせるためにも照明計画は大きなポイント。外国の事例収集も含めて検討し、上下配光の吊下げ器具で真下だけでなく天井を明るく照らす配光を取り入れ、さらに照明器具の存在感自体もスマートにし、優しい光に包まれる空間を目指しました。
また、従来はJISによる水平面照度の学校基準300lxを、文部科学省の500lx基準に対応させる必要があります。その照度を確保すると器具灯数を増やさざるを得ない。そこで消費電力が削減できる省エネ性とランプの長寿命化での省資源性などの点を検討してWエコのランプを提案しました。
リニューアルという制約がある中で、空間の明るさ感を活かし光をやわらかくすることで、同じ500lxの照度でも部屋に入った時の雰囲気が心地よく感じていただけると思います。
阿津地様
水平面照度500lxを確保するために、照明器具が何台必要かという灯数計算と同時に、教室のサイズを考えて収まり具合を考えないといけません。Wエコだと灯数が減らせる上に、机のレイアウトとの器具配置の関係もスムーズに収まるメリットもありました。器具の特性やコスト面での比較なども含めてパナソニック株式会社と相談しながら検討を行いました。
改修前同タイプ教室(参考)

改修前同タイプ教室(参考):天井直付のスクールコンフォートを3列配置。照度も低く天井への光の回り方が少ないので、空間全体の明るさ感が不足している。

快適な学習空間づくりへの照明計画

環境への配慮を含めた先進性のある提案がポイント
阿津地様
単に照度基準をクリアするだけでなく、天井面を明るくするFeuの考え方を取り入れるなど、直付けにするかペンダントかなど器具選定も含めて新しいイメージづくりを模索しました。今回選択したスマートアーキは、曲面のあるデザインで見た目も光の演出もやわらかく、空間をスマートなイメージで印象付けられたと思います。
また照度を上げるために、従来3列配置を4列にし、Wエコを採用。環境配慮や省エネ効果が重要な時代ですから、従来との比較検討も含めて、器具選択のメリットを明らかにして、きちんと説明していくことがさらに必要になります。
斉藤  
学校改修では従来より照度を上げないといけないケースが多いので、一層省エネ性能が重要視されます。今回、比較のため既存照明についても測定を行いました。結果は従来平均照度が255lxに対し、改修後は568lxで基準をクリアしています。改修後は照度アップにより全体の消費電力は上がっていますが、Wエコの採用により消費電力1Wあたりの照度効率は大幅に上がっており、充分な省エネ効果が出ていると言えます。

ディテール紹介

Lighting Data

照度・消費電力・照度効率比較

要求照度が従来は300lx、改修後は500lxなので器具灯数が増加している。そのため消費電力は上がっているが、1Wあたりの照度(照度効率)は約1.7倍となり、省エネ効果が認められている。

Feu測定結果

比較検討のため改修後の教室と改修前同タイプの教室のFeu値を測定。改修後は天井・壁面・机上面とも明るさ感が増し、Feu値が上がっている。

納入商品