住まいは文化

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2009年6月24日更新

先人たちが遺してくれた住まいづくりの知恵 「住まいは文化」

奈良県 環濠集落・今井町の町屋 豊田家

都市住宅の始まりを伝える江戸初期の町家


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日本の都市住宅・町家の先駆けと評価される豪商の住まい。江戸初期に建てられた塗り屋造りの町家は、農家の名残を見せつつ町家らしい特徴も現れて、力を持ち始めた町衆の心意気が伝わってきます。

1階はごく普通の連子格子だが、2階以上は漆喰で塗り回した「塗り屋造り」、延焼防止の効果を持つ。

都市住宅の始まりを伝える
江戸初期の町家

伝統的な都市住宅の先駆けと評価される豪商の住まい。江戸初期に建てられた塗り屋造りの町家は、農家の名残も見せつつ、町家らしい特徴も現れ、力を持ち始めた町衆の心意気が伝わってきます。

接客の場所とし使用された「東なかのま」(8畳)。奥の「西なかのま」との境は、敷居をまたいで入る帳台構えとなっている。


町家の成り立ちを知らせる
貴重な文化財と町並み

日本の伝統的住宅は16〜17世紀、寺社建築の様式を採り入れながら農家から町家へと発展する中で形作られたと言われています。豊田家は、町家として全国でも五指に入る古さ(※1)とされ、国の重要文化財として保存されています。

また、豊田家のある奈良県橿原市今井町は、堀に囲まれた環濠集落(※2)としても知られ、古い町並みが多く保存されているところから国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

商家らしく大きなかまどのある土間。


(※1)
今井町では今西家(国の重要文化財)が一番古く1650年(慶安三年)の建築とされる。
(※2)
 
周囲に堀をめぐらせた集落。南北朝、室町時代に自衛の目的から発達。大和地方に多い。
地区内には今も伝統的な建築様式の民家約500軒が残り、うち9軒が重要文化財として保存されている。

城郭建築や農家の特徴を残しつつ、
連子格子など随所に町家らしさ

豊田家は、福井藩の蔵元も務めた木材豪商が1662年(寛文2年)に建築。建物正面2階の壁の両端に、「丸に木」の字の家紋があることから「西の木屋」と呼ばれてきました。 外観は、城郭建築に見られる入母屋の本瓦葺き。壁は軒裏まで漆喰を厚く塗り上げた防火構造です。

この時代の民家が京都でも江戸でも板葺、草葺が多かったことを考えると破格の豪壮さといえます。建物の内部も太い柱や高い梁など、町家として最高級の仕上がりとなっています。 間取りは、広い土間に接して3室が並び、その奥にまた3室が並行する6間取り。当時の町家では一般的な間取りです。

屋敷は広い土間からもわかるように、農家の造りが見られますが、天井裏の小屋組や差し鴨居など町家の特徴がすでに現れているところから、町家の先駆け的な家であることがわかります。農家から町家と変わった日本の伝統的な住まいの様式が随所に現れており、今の住まいの源流を見る思いがします。

合掌造りの切妻屋根。集落ごとに風向きなどから同じ方向(南と北)に向いていることが多い。

にわ奥右部の時代を感じさせるかまど。

「東なかのま」から見る「ぶつま」(4畳半)。


「入母屋」の妻飾り「破風」。軒端にいただく鬼瓦は招福除禍の願いが込められている。

「西の木屋」の象徴とも言える定紋。漆喰を盛り上げて木の字を記している。

本瓦の端飾り。

通りに面した外壁に取り付けられた「馬つなぎ」の金具。細かな細工が施されている。


※住宅は現在、一般にも公開されています。
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