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INTERVIEW 本質を照らし出す光の演出にこだわる 住職 神居 文彰氏

LED技術に託した観る人に響く表現

鳳翔館の全面的な照明リニューアルに踏み切った平等院住職の神居文彰氏は、追求した照明について次のように語る。「展示物というコンテンツを映すというよりも、本質が照らし出されるような照明を求めました」。例えば、雲中供養菩薩ならば、仏が虚空から雲に乗って現れる様を忠実に導き出すことで、その本質が浮かび上がってくるという。
「観る人とどう出会うか、どう響き合うかが大切で、照明はそのきっかけになり得ます。従来の照明は、どうしても陰影が強く出過ぎたり、平面的だったりして、その点が十分ではありませんでした。しかし、今のLED技術ならば、それが可能だろうと思いました。照明による再現が自然であるほど、観る人たちはその本質にかかわることができます」。
そう話す神居氏は、自ら照明について学び、豊富な知識を持つ。それだけに、展示物の本質を引き出すような色再現や意匠の忠実な表現などにこだわった。例えば、以前の照明では光が当たらず、観る人たちにあまり認識されていなかった梵鐘頂部の「竜頭」も、「梵鐘を吊る大切な部位」として表現することを目指した。

LED技術に託した観る人に響く表現

太陽は一つの影しかつくらない

照明を考えるとき、それがつくる「影」にも神居氏は目を向ける。「人間の目は太陽の光に慣れています。太陽は一つの影しかつくりません。展示物に光を当てれば必ず影ができますが、忠実な再現のために複数の照明を使えば、当然、複数の影が生じます。しかし、そこに人間の目は違和感を覚えます。そこをどうクリアするのかは、今回の課題の一つでした」。
複数のカッタースポットで梵鐘を照らしたとき床に生じる複数の影、雲中供養菩薩の表情を再現した背後に生じる複数の影。それらを抑え、光の表現のなかに溶け込ませる工夫が、木下氏とパナソニックに求められた。
本質を追求する神居氏の要望は、色温度や調光などにもあった。例えば、光の当たる部位によって色温度に不自然な違いが生じていると、やはり観る人は違和感を覚える。調光についても、現在のLED技術では、微妙な調整が難しい範囲があり、急に点いたり、消えたりした印象を与える。「より自然であるように、少々無理を言ってパナソニックさんには可能な限り頑張ってもらいました」と、神居氏は振り返る。

太陽は一つの影しかつくらない

将来の更新も視野に入れる

かつての照明設備が老朽化したように、今、最新の設備もいずれは更新の時期を迎える。そこで、神居氏は今回、これから先も視野に入れた照明も要望している。「今回は、電源供給のレベルからリニューアルしたので、パナソニックさんには今後も考慮してもらいました。例えば、数年後に機器交換が必要になったときなど、次の発展にも対応しうる基礎工事もしてもらっています」(神居氏)という。
「このような照明環境を実現できたのは、木下さんとパナソニックさんのおかげです。展示物や空間に適した機器や技術の開発や、様々な調整作業をしてもらい、かなり汗をかいていただきましたが、それによって互いが高め合い、一定のレベルに達することができたと思います」と、神居氏は語る。

神居 文彰氏

PROFILE

  • 住職
  • 神居 文彰
  • 平等院

1962年愛知県生まれ。1993年に平等院住職に就任。
現在、(独)国立文化財機構運営委員、(公財)美術院監事、(学)埼玉工業大学理事ほか。
『よみがえりゆく平等院 新資料で再現する平安の美』(学習研究社)ほか著書多数。

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