エネマネハウス2014

2030年を想定してゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を5大学が建設競技住宅のエネルギーソリューションエネマネハウス2014

課題

CO2排出量削減の国際公約に反して増加を続ける住宅部門

日本政府は1997年の京都議定書によって、2008年から2012年までに温室効果ガスを1990年比6%削減すると国際公約。CO2排出量削減の公約を実現するため、政府は段階的に「省エネ法」を強化してきました。
しかし、削減どころか排出量は増加傾向にあり、産業部門や運輸部門では排出量が削減されているものの、建築物、住宅部門の増加が著しく、とくに住宅部門では2012年段階で1990年比60%増という状況です。
このため住宅・建築物部門に対するCO2排出削減策として、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH※)やゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)の建設を推進。2020年までに、標準的な新築住宅でZEHの実現を目標に掲げていますが、一般にあまり認知されていません。
※ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又はおおむねゼロとなる建築物」(経済産業省の報告書より)

部門別CO2排出量の推移

部門別CO2排出量の推移

取り組み

開発と普及を目的に産学協同でZEH建設を競う

2014年1月下旬、東京ビッグサイト東雲臨時駐車場(東京都江東区)をメイン会場に「エネマネハウス2014」が開催されました。これは経済産業省資源エネルギー庁の「住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業」の一環で、先進的な技術開発や実証によってZEHの開発と普及を推進を目的としたもの。
今回の事業では、「2030年の家」をテーマに、エネルギー消費削減、2030年の生活提案、新興国への海外展開という3つのコンセプトを盛り込んだ提案が求められ、大学と住宅会社や住宅設備・建材メーカーがモデルハウスを建設し、省エネ性能や生活提案の視点から評価を競いました。応募した十数チームの中から、書類審査を通過した慶應義塾大学、芝浦工業大学、千葉大学、東京大学、早稲田大学(50音順)を代表とする産学混成5チームが出場し、モデルハウスが建設されました。

東京ビッグサイトの「ENEX展」のエネマネハウス2014コーナー

東京ビッグサイトの「ENEX展」のエネマネハウス2014コーナー

慶應義塾大学―優秀賞慶應型共進化住宅

緑化された壁面とCLT※を用いた新しい工法の開発により、アジアの高密な都市開発にも対応可能な水上住宅の提案。室内は食卓を中心としたステップフロアで仕切られた一体空間。大量供給が可能な共通システムを保ったままでも多彩な間取りにカスタマイズできる、ライフスタイルとともに進化・発展できる住宅。エネルギーの流れや環境条件に応じて全ての環境設備を統合的に管理する統合的HEMSが導入されています。
※CLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー):引板の繊維方向を直交させ積層接着したパネル。厚みがあり構造材としての利用も期待されている。
■主な採用設備
・パワーステーション
・配電設備
・LED照明器具
・リビングステーション
・HEMS

アジアの環境都市開発を意識した水上住宅

アジアの環境都市開発を意識した水上住宅

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芝浦工業大学―優秀賞/People's Choice Award母の家2030

「個」が集まるライフスタイルから、「共」のつながるライフスタイルを目指したシェア型住宅。市松状の屋根は、太陽の日射を熱・電気・光として取り込みながら、温度差による空気の流れを積極的に利用する「呼吸する屋根」。個人のスペースである寝室や生活費に必要な台所・水廻りは、CLTを用いた高気密・高断熱でありながら高機能設備をユニット化した「環境シェルター」として設置されています。この環境シェルターはアジア諸国への輸出が想定されています。
■主な採用設備
・太陽電池モジュール「HITハーフタイプ」
・パワーステーション
・蓄電池
・配電設備
・熱交気調システム
・IHクッキングヒーター
・アラウーノ
・ナノイー

市松状の屋根にはHITハーフタイプが設置されている

市松状の屋根にはHITハーフタイプが設置されている

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千葉大学―優秀賞変える家「ルネハウス」

自然エネルギーを活用したエネルギー自立住宅。集成材による「コア」と「パネル」によって構成された、高い強度を持つ大断面木造ユニットを積み木のように組み合わせることで、大空間と自由な間仕切りを可能にし、集合住宅、オフィス、店舗、学校などへのリノベーションを可能にしています。また、高断熱で大容量蓄熱の外壁や床は、冷暖房設備に依存しなくても、快適な住環境を提供します。
■主な採用設備
・蓄電池
・コンセント
・LED照明器具
・床材

「CUJユニット」が柱のない大空間を構成する

「CUJユニット」が柱のない大空間を構成する

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東京大学―最優秀賞 2030年における都市型集合住宅のZEHプロトタイプ

集合住宅の1室を想定したもので、構造と設備を東西両側のサイドコアゾーンに収め、中央にフレキシブルな居室空間を確保。気候や居住者のライフスタイルに合わせて、熱や光、風、音、ひとなど、多様な外部環境を自由に選択して取り込むことができます。
この「CITY ECOX」とよばれるモジュールが集まって集合住宅を形成。熱、電力、交通、緑、水を集合住宅間で融通し、安全・安心で省エネなまちをつくりだします。
■主な採用設備
・パワーステーション
・燃料電池エネファーム

「CITY ECOX」とよばれる都市型集合住宅のZEHモジュール

「CITY ECOX」とよばれる都市型集合住宅のZEHモジュール

パワーステーションとエネファーム

パワーステーションとエネファーム

早稲田大学―優秀賞「Nobi-Nobi HOUSE」重ね着する住まい

中心に設けられた設備コアを住居ゾーンが取り囲み、その周囲をさらに「Nobi-Nobiゾーン」が取り囲む三重構造で構成。設備コアでは、日本の技術や生活インフラをパッケージ化し、太陽の日射を熱・電気・光というエネルギーに変換して、さまざまに利用。「Nobi-Nobiゾーン」とよばれる空間は、季節や地域に合わせて温室などに利用し、自然エネルギーを利用した快適な生活を実現します。

周囲の「Nobi-Nobiゾーン」に囲まれた住居

周囲の「Nobi-Nobiゾーン」に囲まれた住居

結果

5大学を中心としたコンソーシアムが建設した住宅で、エネルギー消費量、発電量、日負荷率、温熱環境、光・音環境などを6日間計測。その結果を踏まえて、審査員による評価が行われました。
「エネマネハウス2014」最優秀賞を受賞したのは、都市型集合住宅のZEHプロトタイプを提案した、東京大学コンーソシアムの「CITY ECOX」。慶應義塾大学、芝浦工業大学、千葉大学、早稲田大学の4コンソーシアムは優秀賞を受賞。
また、来場者投票による1位「People's Choice Award」は芝浦工大の「母の家2030」が受賞しました。

エネマネハウス2014講評会・表彰式

エネマネハウス2014講評会・表彰式

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