納入事例

ESCOエスコ事業による県内初の弘前市防犯灯全LED化と県内⽔平展開

弘前地区電気⼯事業協同組合

[⻘森県弘前市]

理事⻑

⿑藤 昭弘

常務理事

鈴⽊ 孝児

⻘森県の弘前地区電気⼯事業共同組合様は、2013年に弘前市とESCO(EnergyService Company)事業の委託契約を締結。市内にある防犯灯1万8,000基のLED照明への取り替え⼯事と、設置後10年間の保守・維持管理業務、省エネルギー量の検証業務を受託しました。74ある加盟事業者の協⼒のもと、LED照明への取り替え⼯事はわずか3ヵ⽉で完⼯。電気料⾦を年間3,000万円以上削減しただけでなく、コストカットや業務軽減にもつながっています。
このESCO事業は、県内の複数の他市にて⽔平展開がなされました。

弘前市の住宅街を照らすLED防犯灯が住⺠の安全を⾒守っています。

官公需適格組合として40年余「弘前さくらまつり」をライトアップ

弘前地区電気⼯事業協同組合様は、1965年に⻘森県弘前市や津軽中南地域の電気⼯事業者が集まって設⽴されました。現在、弘前市‧黒⽯市‧平川市‧藤崎町‧坂柳町‧⼤鰐町‧⽥舎館村‧⻄⽬屋村‧⻘森市浪岡地区の9市町村で、74の事業者が加⼊しています。1976年には中⼩企業庁より「官公需適格組合証明書」を取得。県内に8つある電気⼯事組合の中で唯⼀この証明を持ち、公共事業を積極的に受注されています。
同組合様のもっとも⼤きな案件は、全国的に知られる「弘前さくらまつり」です。例年200万⼈以上を集客する地域の⼀⼤イベントで、同組合様はその⼯事から管理までを40年以上に渡って担当し、期間中は500⼈体制で24時間現場を⾒守っておられます。ほかにも弘前市のまつりやイベント、岩⽊⼭神社⼤祭など、この地区を代表する⾏事のライトアップや⼯事を担当されています。
2011年の東⽇本⼤震災では、いち早く同組合員様が被災地の復旧⼯事に駆けつけ、義援⾦の寄付や照明灯の寄贈も⾏いました。「防犯灯LED化のESCO事業を弘前市より受注できたのも、こうした⻑年の実績と社会貢献があってのこと」と⾃負されています。

県内初の防犯灯全灯LED化に向けて
ESCOエスコ事業を弘前市に提案

ESCO事業とは、省エネルギー改修にかかる費⽤を光熱⽔費の削減分でまかなうもので、ESCO事業者が顧客の省エネルギー施⼯、維持管理、資⾦調達などに関わるすべてのサービスを提供し、省エネルギー効果の保証まで⾏います。東⽇本⼤震災を機に、弘前市では効率的なエネルギー利⽤を⽬指す「弘前型スマートシティ構想」を策定し、市内全域の防犯灯のLED化を計画しました。そこで同組合様は市にESCO事業をご提案。市から⼯事や維持管理業務、省エネルギー量の検証業務などの事業を委託されました。これを受けて2013年9⽉、約1万8,000基の防犯灯取り替え⼯事をスタート。雪が降るようになると作業効率が落ち、事故も増えるため、「雪が積もる前に終わらせたい」と地域の電気⼯事業者様が協⼒し合った結果、わずか3ヵ⽉の⼯期で全灯LED化を達成しました。
もともと防犯灯は各町会が所有し、維持管理費や電気料⾦⽀払いの負担がありました。今回の事業で所有権が各町会から市へ無償譲渡され、LED化により電気料⾦は3,000万円以上の低減に成功しています。

※官公需適格組合とは

官公需…国や独⽴⾏政法⼈、地⽅公共団体等が、物品を購⼊したり、サービスの提供を受けたり、⼯事を発注したりすること。

官公需適格組合(制度)…官公需の受注に対して特に意欲的であり、かつ受注した契約は⼗分に責任を持って履⾏できる経営基盤が整備されている組合であることを中⼩企業庁が証明する制度のことで、以下①〜④の基準を満たしていることが条件となる。

①官公需の受注に関し、熱⼼な指導者がいること。②組合運営を円滑に遂⾏するに⾜りる経常的収⼊があること。③共同受注担当役員の定め、共同受注委員会の設置があること。④役員及び実施組合員が共同受注案件に関して連帯して責任を負うこと。等

詳しくは中⼩企業庁ホームページ
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kankoju.htm

ESCO事業の効果

ESCO事業でのスキーム

弘前市の気候に合うLED防犯灯を
パナソニックとともに開発

本事業におけるLED防犯灯は、電⼒料⾦を抑えるため、消費電⼒10W以下のタイプを採⽤しました。それでも市⺠の皆様からは、「以前より明るく、防犯に役⽴っている」というお声が届くとおっしゃいます。
「弘前の気候に合わせて、製品の仕様変更にも取り組みました。私たちより先⾏して同様の事業を⾏った⾃治体で取り付けをされたLED防犯灯で、雪によるフリッカー(ちらつき)や消灯などの不具合が起きていたという情報を得ていたからです。これは熱を発する蛍光灯や⽩熱灯では起きない、LED照明ならではの問題でした」。
雪国仕様の防犯灯はパナソニックの⼯場の試験場で開発されましたが、⻘森の雪質は下から舞い上がるような軽いもので、それが器具に付着しやすく、フリッカーの起因であることが予測できました。「そこで私たちは弘前でひと冬かけて事前試験を⾏い、同じ問題が起きることを確認。パナソニックに器具の改善を依頼しました。パナソニックの開発担当者にも現場に来てもらい、課題を共有。その後半年余り、ともに器具の改良⽅法を試⾏錯誤しました」。
最終的にLED基板とセンサ部分を黒い板で仕切り、カバーにも黒い塗料を塗って、LED照明の光がセンサに届かないように⼯夫し、消灯やフリッカーが起きづらい防犯灯の開発に成功。この時のノウハウが今のパナソニック商品に反映されています。

東北電⼒が公衆街路灯の10W以下の料⾦を新たに設定したことに伴い、10W以下のLED防犯灯を採⽤。あらかじめ試験設置をして⼗分な明るさであることも確認しています。

導⼊後、他⾃治体から視察多数
「弘前仕様」の⽔平展開へ

「LED防犯灯の導⼊後、各町会では防犯灯の修繕費などのコスト負担がなくなりました。さらに落雷などが原因で防犯灯に不具合が起きると、これまでは26地区約400ある町会から市役所に連絡が⼊りましたが、現在は当組合へ直接連絡が⼊ります。市役所にしてみれば煩雑な管理業務がなくなったわけで、⼤きなメリットといえるでしょう。⼀⽅、当組合は各地区の組合員に連絡を⼊れ、1件1件の故障に対応します。通常、弘前市の中⼼部から各地区へ出向くと、さまざまな経費が発⽣しますが、当組合は74ある加盟事業者のうち、その地区にある業者が対応しますので、スピーディかつ低コストな故障対応が可能です。各町会からは『電話1本ですむからラクだ』『対応が早くて助かる』など、お褒めの⾔葉をいただいており、防犯灯の維持管理をきっかけに地元の業者と町会の⽅々の関係が深まり、新たな仕事につながっているとも聞きます」。
「ESCO事業を始める前、私たちは秋⽥市や群⾺県太⽥市などの先⾏事例を研究し、事業の進め⽅や課題解決⽅法、導⼊後の対応などを参考にさせていただきました。とくに秋⽥電気⼯事協同組合様からは、雪国ならではの事象や、電⼒会社関連の書類作成⾯での注意事項などを⼤変親切に教えていただき、それが縁で秋⽥電気⼯事協同組合様と提携契約を結び、姉妹組合となりました」。
ESCO事業が軌道に乗った後は、弘前市が先⾏事例となり、他県‧他市の視察や問い合わせを多数受けておられます。⻘森県内だけでも既に⼋⼾市、⻘森市、むつ市にてESCO事業によるLED防犯灯の⽔平展開が⾏われているそうです。

住⺠が故障を⾒つけた際は、管理シールの番号を弘前地区電気⼯事業協同組合様に直接連絡をする仕組みです。
弘前仕様のLED防犯灯。フリッカー防⽌のためにLED基板とセンサ部分を黒い板で仕切り、カバーにも黒い塗料を塗り、LED照明の光がセンサに届かないよう改良を加えました。

他地域との交流で⾼め合いながら、
若い世代に引き継いでいきたい

現在、ESCO事業は6年⽬を迎えています。
「LED化から5年を経た時点で地区ごとに⼀⻫検査を開始し、照度確認などを⾏っています。26地区もあるため、⼀⻫に動くことは難しいですが、市役所と協議の上、計画的に進めています。10年を経た段階で弘前市から継続して業務委託を受けられるよう、実績を積んでいるところです。
本事業で市役所との信頼関係がより深まったため、今後、道路照明のLED化も市に提案する予定で、その受注のためにも組合の総⼒を挙げて頑張っています」。
「地域が活性化していくためには、補助⾦だけに頼るのではなく、利益を⽣み出す仕事を⾃ら創り出していくしかありません。そもそもESCO事業に関しても、市役所からの指⽰を待つのではなく、私たちの⽅から『こうしたらいいのではないか』と提案を重ねて、実現に⾄った経緯があります」。
少⼦⾼齢化や過疎化が進む⻘森県ですが、同組合様は若い世代に電気⼯事業への興味を持っていただくために、⼯業⾼校からのインターンシップ受け⼊れやイベント⽀援などに努めておられます。組合内でも若い世代が活躍できるよう、災害時の⽀援活動や社会貢献活動は⻘年部が中⼼となって進めておられるそうです。「これからも若い世代が電気⼯事業に携わり、当組合を⽀えてくれることが私たちの願いです」と語られました。

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