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商空間クリエイターに聞く 〜LED、私はこう使う! 第2回

LED導入は、コスト削減 最善の一手 ゲスト:本田 秦 氏(生活スタイル研究所代表)

想像以上に大きなランニングコストの削減

笈川
LEDを導入するにあたり、イニシャル/ランニングコストについて細かな試算を事前にされることはありますか。
本田

LEDが市場に出回り始めた頃と今とを比較すると、器具の単価は格段に下がってきています。既存の照明器具をLEDに替えると何年で元を取れるのかざっと計算すると、3年くらい前までは4〜5年掛かっていたものが、今では2年半で回収できる計算になります。時限付き店舗のような場合は別ですが、長年営業していく前提の店舗であればLEDの方が断然メリットが大きい。先ほども少し触れましたが、飲食店は小規模な個人経営が多く、それだけのイニシャルコストを負担する体力があるかという問題はありますが、予算があるのならばLEDを薦めています。

電気代のランニングコストを下げることは飲食店の経営面から言えばものすごくインパクトがあることなんです。飲食店の経営にはFLコストという指針があります。Fは"food"、Lは"labor costs"、つまり人件費です。
ひと月の売り上げを100%とした場合、その月の食材原価+人件費を50〜60%くらいに抑えられるかどうかが目安になっています。50%に抑えられればその分利益が上がり、60%を超えると経営的に苦しくなります。この他にも賃料や諸経費が掛かるので店舗全体の純利益を確保することは簡単なことではありません。1日の売り上げを平均40万円とすると、週一回の定休日だとしてひと月で1000万円。これだけの売り上げがあっても純利益は一割程度の100万円というのが通例です。

私の計算では白熱電球をLEDに替えることでランニングコストは20%前後にまで下がり、ひと月で10万円以上もの差が出たという店舗も多く見てきました。10万円の純利益を稼ごうとして、売り上げに換算するとかなり大変なことです。特に飲食店ではハロゲンなど使用電力の高い器具を多く使っているので、LED導入によるランニングコストの削減は経営的な側面からも考慮すべきことなんです。

今の時代はどの飲食店でも懸命にコスト削減を行っていて、さらに下げることができるのは水道、ガス、電気ぐらいしかありません。省エネのコンサルタントに依頼して、水道、ガス、電気の使用量を外部からチェックしてもらい、メーターが異常に上がると連絡がくるというシステムを導入している企業もあります。そういった店舗は、確実にランニングコストを下げています。このような観点からもLEDに切り替えることは手軽な割に高い効果を生み出す施策と言えると思います。

私はどのクライアントに対しても、LEDと既存の照明器具それぞれのイニシャル/ランニングコストの試算を出して説明するようにしています。最終的にどの照明器具を採用するかはクライアントが決めることですが、設計者としてどちらが有利なのかをしっかりと伝えることは重要な仕事だと思っています。

笈川

今回お手掛けになられたこの「THE CAMP CAFE&GRILL」の照明プランにおけるポイント、気を遣った点などがあれば教えてください。また、LEDを導入することで得られた最大のメリットは何だとお考えですか。

本田

この店では、ベース照明のダウンライトや間接照明など、一部のペンダント以外はすべてLEDを採用しました。特にLEDだからといって気を遣ったという点はなく、灯数や配灯の考え方も既存の照明器具となんら変わりません。メリットは、やはりコスト削減ですね。ランニングコストを圧縮することは店舗経営にとって大きなメリットだと言えるでしょう。

本田 泰 Yasushi Honda

プロデューサー・デザイナー/
株式会社生活スタイル研究所代表。
1971年愛知県生まれ。94年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。建築設計事務所、商業開発コンサルティング会社、カフェ・カンパニー設計部を経て、入川スタイル&ホールディングス取締役、10年株式会社生活スタイル研究所設立。商環境を中心とした、プロデュース、コンセプト構築、ディレクションからデザイン業務全般を手掛ける。実績に「CAFE246」(デザイン)、リゾートホテル「TRIF」(プロジェクトディレクションおよび内装コーディネート)、「CHASKA茶屋町」(コンセプト構築およびプロジェクトディレクション)、「ROYAL GARDEN CAFE」(店舗デザイン)、「CAFE HAUS」(コンセプト構築およびデザイン)等。
http://www.lifestyle-ins.com/

THE CAMP CAFE&GRILL

■所在地:川崎市川崎区小川町1-26 LA CITTADELLA Arena CITTA' D棟1階
■オープン:2011年12月10日
■設計:
生活スタイル研究所 本田 泰
■床面積:191m²
■客席数:122席
(うちテラス席24席)
■URL:http://thecamp.jp

主な納入器具
■客席

NNN72509WK

ユニバーサルダウンライト100形
広角30°/電球色(2700K)
■カウンター・通路

NNN72513WK

演出用ダウンライト100形
広角30°/電球色(2700K)

マテリアル選びにも影響を与えるLEDの効果

笈川
LEDを導入することで空間クリエーションに与える影響はありますか。
本田

単純に消費電力が下がるだけでなくLED素子は発熱しないので、夏場の冷房効率もかなりアップします。特に飲食店のデザインでは、開口部のディテールに凝ったために、どうしても店内の気密性が下がってしまうというケースはよくあります。隙間風が入るために空調レベルを最大にしないとなかなか涼しくならなかった店が、照明器具をLEDに替えたことで空調の電気代が大きく下がったという話も耳にしています。明確な数字までは聞いていませんが、ランニングコストが下がったことを肌で感じているクライアントは決して少なくないですね。もちろん、このことは空間デザインにも関係してきます。素材選びや細部へのこだわり、空調設備の軽減にも繋がり、空間クリエーションにも良い影響を与えていると思います。

笈川

もう少し具体的に聞かせてください。業種業態ごとにLEDとの相性の善し悪し等はありますか。

本田

陳列棚に間接照明を入れたことで商品が熱を持ち劣化してしまうというのは、よくあるトラブルです。弊社が過去に手掛けた例では、あるレストランでアルコールを棚に並べ間接照明を当てていたところ、アルコールが劣化して飲めなくなってしまったことがありました。ですから、バーもLEDのメリットを発揮できる業態だと思います。カウンターバックの棚に酒のボトルを並べている店は多いですよね。ディスプレイされた一本一本のボトルはインテリアであるとともに、大切な商品でもあります。中には高価なものもあり、間接照明をLEDにすることでデリケートなお酒を守ることができるんです。熱が出ないことによるメリットは他にもたくさんあると思います。

また、飲食店では気にならないのですが、特に物販店では、LEDで商品を照らす際、商品の影がいくつもできてしまうということがありました。LED器具は光源である素子が1灯あたり数点使われているのが普通だからです。ですが、パナソニックから1灯ひと粒の「ワンコア(ひと粒)タイプ」が登場したことで、この問題もクリアになりました。影のばらつきがなくなり、LEDの汎用性はさらに広がったと思います。ワンコアは物販店だけでなく、高級フレンチなどで料理をおいしそうに見せるのにもいいでしょうね。

美しい壁面への光

デメリットを挙げるならば、性質上仕方のないことですが、LEDの光は直進性が高く、ボーダーラインがシャープに出る。そのため、柔らかくフワッとした光で壁や天井を照らしたい時などには光の陰影がくっきりと出てしまうのでやや使いにくいですね。

数値化できる安心感と信頼性

笈川
パナソニックのLED照明器具の良い点、また他社製品との違いについて教えてください。
本田

パナソニックに関して言えば、やはり信頼性の高さです。壊れない、切れないということが一番の良い点だと思います。少し前までは、バリエーションの豊富さではまだまだでしたが、現在ではラインナップも充実しています。切れてしまったり、発注しても製品が間に合わないといったトラブルも聞いたことがないので、おそらく一つ一つの製品をしっかりと検証した上でバリエーションを増やしていったんだと感じています。

また、パナソニックには単純に照度を表すルクスではなく、人が感じる明るさを数値化した独自の空間の明るさ感指標"Feu(フー)"があります。この指標をもとに配灯プランを作ると灯数を減らして電気代を抑えながら、明るさを維持できるので、特にチェーン展開する大手のクライアントに対しては説得力がありますね。

Feuならムダのない照明設計が可能

笈川
今後のLED照明器具に期待する機能(パワーや演色性など)あれば教えてください。
本田

これまでLEDを使っていて、一番気にしていたことが"調光が絞りきれない"ということです。ハロゲンなどと同じように0〜数%まで調光できるといいなとは思います。それと、色味を自由に変えられる"調色"機能があると、設計者として空間のデザインに広がりを持たせることができます。照明器具を選ぶとき、5000ケルビンでいくのか、3500ケルビンでいくのかなど色温度をどの段階に設定するかは常に気に揉むところです。特に既製品ラインナップが豊富であればあるほど判断が難しくなる。それがもし設置後でも色味のコントロールができるようになれば、器具や光源を交換する必要がなくなります。現段階でも若干調色できる製品も出ているようですが、まだ価格が高いので、多彩に調色でき、かつ安価なLED製品が出てくるとうれしいですね。

また、LEDにも"エネループ"などで採用されている非接触給電が可能になればいいなとも思います。あの技術で照明器具に通電できるようになれば、余計な工事費をかけずに天井などに照明器具を貼り付けるだけで灯数を増やしたり、減らしたりすることができます。特に飲食店は通常営業だけでなくパーティーや企業のプロモーション、ライブなどさまざまな目的で使われます。それぞれのシーンに合った照明に替えたい時にも、フレキシビリティーが生まれます。

それと、現在の電気使用量や電気料金などが一目で分かるパネル付きの調光スイッチがあったらいいと思います。現状では、微妙な調光加減をアルバイトスタッフなどに徹底させるオペレーションは難しいため、まったく調光しないと決めてしまっている店もあります。これがあれば、スタッフたちも面白がって省エネをしてくれるでしょう。100%から10%減光するだけでも見た目の明るさは変わらないのに消費電力は確実に削減できるわけです。LEDと合わせ、このような調光スイッチがあれば、よりランニングコスト削減が実現できると思います。

(2012年1月、「THE CAMP CAFE&GRILL」にて)

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