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商空間クリエイターに聞く 〜LED、私はこう使う! 第3回

特徴をうまく活かすことでデメリットはメリットになる ゲスト:小川博央氏(小川博央建築都市設計事務所)

LEDの指向性を活用して七難隠す

笈川
LEDの配灯プランについてお聞かせください。「森の教会」には、どのようにLEDを組み込んでいったのでしょうか。また、礼拝堂内部の天井は6050?oと高いですが、このことによる照度の問題などはありませんでしたか。
小川

113m²ある礼拝堂の天井には、ソケットに裸のLED電球をつけたペンダント照明器具を約70灯配置しています。このペンダントは、森から見上げる"星の夜空"をイメージしたものです。ペンダントはすべて先ほどの500?oグリッドからその半分、250?oずつずらしたライン上で、樹形柱や天井下にルーバー状に流れているオーガンジーに干渉されることなく光が床面まで届くよう配灯しました。ペンダントは調光可能なので、その日の天候によってオペレーションスタッフが照度をコントロールしています。ペンダント以外では、祭壇後ろに高さ5mの細長いスリット窓枠を設け、ここに間接照明を仕込んでいます。またホワイエとファサードのコーナーにもそれぞれ間接照明を仕込んでいます。

照度に関してはなんの問題もありませんでした。ベース照明はLEDのペンダントのみですが、これだけで十分足りています。チャペルの利用は昼間が中心ですが、自然光がかなり入ることや、白を基調とした空間のため反射する光がよく回るためだと思います。

笈川

LEDだけで照明プランを構成したことによって改めて気づいた点などがありましたら教えて下さい。

小川

今回、一番うまくいったと思えたのはLED照明が持つ"光の指向性の強さ"を活用できたことです。 天井から吊るしたLED電球の光は下方へと直線的に延びていきます。このことによって星空のような煌めき感が生まれたり、また天井の余計な造作を上手に隠すことができました。ハロゲンのスポットならそうしたことも可能だったでしょうが、今回のようなソケットに電球をつけただけの簡易な照明器具では通常実現できないことでした。LED電球だからこそ可能だったと実感しています。

現在、LEDも他の照明器具と同じように、光が空間全体に広がっていくタイプの器具開発がなされているようですが、こうした指向性が強いタイプのLED器具もぜひ残しておいて欲しいですね。今回の空間デザインは、LEDが持つ強い指向性があったからこそ実現できた空間とも言えます。星空を作るに際し、LEDという選択はベストだったと思います。

もう一つ、これはデメリットになるのですが、商業施設においてLEDを採用するにあたって問題となるのが調光に関することです。最近のLED照明器具のラインナップを見ると調光可能な製品も出てきていますが、ダウンライトではほとんどが調光不可となっています。特に結婚式場といった業種においてクライアントは、調光は絶対に必要であると考えています。言ってみれば、照明がすーっと消えていくような微妙な調光加減が必要とされているわけで、最後にプツンと消えてしまう器具はやはり使いにくいようです。そのため、最終的にはハロゲンを選択せざるを得ないことも多々あります。
今後、調光可能なLED照明器具がどんどん増えていくとうれしいですね。

アルカーサル迎賓館 高崎/森の教会

■所在地:
群馬県高崎市 上大類町845
■オープン:2011年11月
■設計:
小川博央建築都市設計事務所
■床面積:135.23m²
■客席数:100席
■URL:http://alcazar-takasaki.com

EVERLEDS
主な納入器具
■礼拝堂

LB19900

LED電球ペンダント
(ランプ別売)
■ホワイエ・控室・礼拝堂

NNN52102 LE1

建築部材シリーズ
線タイプ(薄型・L1200)
笈川
LEDを導入したことによるクライアントの反応はどのようなものでしたか。またご自身が特にお感じになったことがあれば教えてください。
小川

これもLEDのメリットとデメリットの話に繋がると思うのですが、今回、特にクライアントに喜ばれたのはメンテナンスに関することでした。礼拝堂の天井は高いので、電球交換などのメンテナンスについてクライアントが心配していました。大型の脚立を使えば玉替えの作業もできますが、それにしても天井は高いし、灯数も多い。スタッフが行うには危険なので、専門業者への依頼は不可欠でしょう。ですが、4万時間の寿命を持つと言われるLEDを用いたことで、そうした心配も解消することができました。ほかにも高さのある壁面スリットにLEDの間接照明を入れたことでメンテナンスフリーのありがたみを実感できました。
そのほかイニシャルコストも、使用したペンダントの器具が安価な製品だったため、それほどかかっていませんし、なんと言ってもやはりランニングコストが安い。
今回、LEDを使ったことで建築の世界にも広がりを持たせられることが理解できたように思います。これからもLEDを積極的に使っていきたいですね。

他の光源で躊躇していたことがLEDなら気兼ねなくチャレンジできる

笈川

LEDを導入することで建築設計や空間デザインにどのような広がりが生まれるとお考えですか。

小川

先ほどもお話したようにLEDにはメンテナンスフリーという大きなメリットがあります。設計者として、クライアントから「ここ、すぐに玉が切れるんだよね」と後々言われるのは本当に心苦しいことです。他の光源では躊躇していたことが、LEDなら気兼ねなくチャレンジできる。これは想像以上に建築や空間デザインの幅が広がります。
また、省スペース化が図れることも大きなメリットです。既存のテープライトなどでは入れることができなかったスペースでも、LEDならば収まる。設計者にとって、これもありがたいことですね。

もう一つ、照明器具が発する熱の問題もLEDだと大幅に軽減されます。私自身、お客としてある飲食店を訪れた際、テープライトが仕込んである手摺りに直に触れ、軽いやけどをしたことがあります。 特に小さな子供などは光っているものに興味を示し、触ろうとします。不特定多数が訪れる商業施設などにとって、照明が発する熱の問題は軽視できるものではありません。人の手に触れやすい場所に間接照明を仕込むときはアクリル等のカバーで覆うのが通例ですが、そうなると籠った熱をどこに逃がすかを考えなければならない。それがLEDであれば、バーカウンターの下に間接照明を入れることも可能になります。こうしたLEDの長所を十分に生かせば、設計者としてかなり攻めのデザインができると感じています。

笈川
今後LEDに求めるさらなる機能について教えてください。また、LEDが進化することによって建築設計や空間デザインの世界がどのように変わっていくとお考えですか。
小川

まずは調光機能の充実。それともう一つ期待しているのが調色機能です。従来の照明器具は調光はかけられますが、色温度を変えることはできません。まだ自由自在に調色できるLED製品は表舞台に出てきていませんが、技術的には可能なはずです。3000ケルビンの照明をスイッチ一つで2800ケルビンや2000ケルビンに変える。これができれば、建築の世界はかなり広がっていくのではないでしょうか。
例えば、オレンジっぽい明かりのオフィスの中で寛いでいたとします。そこで、今度は仕事をするために蛍光灯の白昼色に色温度を切り替えてみる。すると、同じ部屋でも寛ぎのスペースから執務のための緊張した空間に切り替わるのです。

特に住宅などでは、子供部屋は勉強のためのスペースと割り切り蛍光灯だけで構成すると空間の用途に幅が生まれません。といって暖色系の明かりだけで構成してもなかなか勉強ははかどらないでしょう。しかし調色が可能になれば、色温度を変えるだけで空間の持つ機能に変化を与えることができるわけです。
昼間の太陽の下ではあまり意識しませんが、人は、夜間や閉鎖された空間ではかなり光に縛られています。いわば、光の色は人の気持ちを変える力をも持っているのです。そのときどきの気分に合わせて、色や明るさを選べたら面白いと思いませんか?そんな調色機能が付いたLED照明が一般的に普及すると、空間の用途のバリエーションが広がり、建築の世界も広がっていくと思います。そんなに遠い未来の話でないと期待しています。

(2012年2月、小川博央建築都市設計事務所にて)

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