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成田国際空港第2旅客ターミナル連絡通路 | LIGHTING STYLE Vol.9 | P.L.A.M. | 照明設計サポート製品を探す

LIGHTING STYLE Vol.9

01 成田国際空港第2旅客ターミナル連絡通路

パノラマビューを活かした光の佇まい

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■物件概要
竣工:2015年4月
所在地:千葉県成田市
施主:成田国際空港株式会社
設計:日建設計・梓設計共同企業体
施工:株式会社大林組
電気工事:株式会社関電工

平成27年 照明普及賞 受賞

成田国際空港第2旅客ターミナル連絡通路

東側から見る外観。シャトル軌道の上に第2ターミナル本館と
サテライトを繋ぐ連絡通路が設けられた。

コンコース

動線を考慮して光で演出

成田国際空港第2旅客ターミナルとサテライトを繋いでいたシャトルを廃止して計画した約220mの連絡通路で、出発旅客のためのカフェやラウンジなどの新機能が追加された。内側を出発コンコースと出発旅客やトランジット旅客の付加価値空間として、カフェ、ラウンジ、仮眠スペースを置き、それを挟むように外側に到着コンコースが計画された。

到着コンコースでは、通路から外を見る視線を遮らないように、ガラスへの映り込みを極力避けるために照明は低い位置に配置され、床のみをほのかに照らしている。各所では、動線を考慮し天井面や壁面、床面に効果的に照明を与え、明るさ感を高めながら誘導効果の高い計画をしている。ベース照明は各ゾーンごとに色温度2700K 〜3500Kを使い分け、憩いの空間をつくっている。

建築照明手法に徹することで、照明器具を目立たせず、間接照明や光幕照明を各所に活かし、光の効果だけで建築を際立たせる照明計画とした。

到着コンコースから見る。約220mの連絡通路。中央に出発コンコースとラウンジスペースが位置し、両脇に2本の到着コンコースが伸びる。
照明は、ガラスへの映り込みを避けるため低い位置に配置、照明反射板を担うR形状をした腰壁が間接的に空間を照らす。photo by Taku Hata (shokokusha)

[Lighting Point] 照明器具の存在感を無くす

到着・出発動線はガラス越しに隣り合い、φ=250mmの鉄骨柱を各コンコースに千鳥配置させることで水平方向の眺望を遮らない構成とした。

出発コンコース。中央上部にはトップライトが設けられている。
夜間はトップライト中央部側面の特注照明で対面のレリーフ壁を照射している。
レリーフ壁の陰影を演出しながら均一に明るい壁面をつくっており、明るさのあるダイナミックな空間とした。

ラウンジスペース

寛ぎの空間を構成

ラウンジスペース。日本ならではの格子などをモチーフとして和を感じ取れるインテリアとしている。カフェや仮眠スペースなどが並ぶ場所にトップライト、光膜天井を用いて寛ぎの空間を構成。夜間では春は桜色、夏は水色など日本の四季を感じさせる淡い色合いの照明で癒しの環境をつくる。

[Lighting Point] フロアのさまざまな機能に呼応する天井照明

上:本館側より下階の出発コンコースを見る。腰壁部分の間接照明や天井へのアッパー照明を用いて、しっかりとした明るさ感をつくり出した。
下:エスカレータの乗り降り口上部のダウンライトはグレアレスタイプで存在感を消しながら十分な明るさ(約250lx)が確保され開放感と安心感のある空間とした。

到着ロビー

日本の印象を与える天井

供用開始後20年が経過した成田国際空港第2ターミナルの到着ロビーの天井のリノベーションプロジェクトで、壁や床の色調、天井のモチーフの見直しを実施した。壁と天井は白系統の色を採用、吹き抜け部分の天井は膜材を活用し、そこはかとない和の雰囲気を出し、訪れる旅客に柔らかな印象を与えることを意図した。また、LED照明を約1,300台設置し、障子を照らす明かりのように最軽量材料である膜を使用して天井を演出した。日本の玄関としてふさわしい「和の抽象美」を彷彿させるモチーフを取り入れ、日本の品格、繊細さ、華美ではない上質感をつくり出した。

成田国際空港第2ターミナルの到着ロビー

■物件概要
竣工:2016年2月
所在地:千葉県成田市
施主:成田国際空港株式会社
設計:日建設計・梓設計共同企業体
施工:前田建設工業株式会社
電気:株式会社昭永電設

[Lighting Point] 幕と一体化した照明

到着ロビー天井を見る。膜をどのように効果的に照らし照度と明るさ感を両立させるかシミュレーションを行った。

Designer's Comment

ほしいのは純粋に光だけで、照明器具はできるだけその存在を感じさせたくないという思いに応えてくれ、「主役は空間」となる演出を実現し、リノベーションと感じさせない効果をもたらしました。

金内 信二氏

金内 信二氏

株式会社日建設計
設計部門 設計室長

小林 和夫

パナソニックEC担当:

小林 和夫

ソリューションライティングデザイン部(東京)