Panasonic

美術館・博物館の照明

閉じる

美術館・博物館の照明の考え⽅

美術館・博物館などの展⽰スペースの照明は、展⽰内容によって照明⼿法が変わります。美術館であれば観賞が、博物館であれば観察・調査研究が主体となります。
観賞を⽬的とする場合は、展⽰物を好ましく表現することが望まれるのに対して、観察・調査研究を⽬的とする場合には、展⽰物の形、⾊、テクスチュアを正しく表現することに注意が必要となります。⽬的に合わせた快適な視環境を作るため、照度、視野内の輝度分布、不快グレア、反射グレア、影やモデリング、光源の光⾊と演⾊性などの検討が必要です。
また、美術館・博物館の照明は⼀般の照明と異なり、展⽰物の保護、損傷防⽌が重要となります。損傷は放射、光、温度、空気汚染などが原因で起こりますが、貴重な展⽰物の損傷を防⽌するため熱・放射の影響を⼗分に考慮した照度の決定が必要です。

1.照度

展⽰⾯の照度は、来館者が快適に疲れが少なく観賞、観察できる照明環境を作るように設定しますが、必要以上に照度を⾼くすることはグレアの原因となるばかりでなく、放射・熱により展⽰物に損傷を与えることになるため、控え⽬の値とします。JIS照明基準総則(表1)、照明学会の屋内照明基準(表2)、世界各国の美術館・博物館の照度(表3)、各国の推奨照度基準(表4)、国際照明委員会(CIE)の基準(表5)がありますので、展⽰対象物により光・放射の影響を考えて照度を決定します。

表1:JIS照明基準総則(美術館、博物館)1)

1,000 lx 彫刻(⽯、⾦属)・造形物・模型
500 lx 彫刻(プラスタ、⽊、紙)・洋画
200 lx 絵画(ガラスカバー付)・⽇本画・⼯芸品・⼀般陳列品
100 lx はくせい品・標本・ギャラリー全般
100 lx 収納庫
20 lx 映像・光利⽤の展⽰部

表2:屋内照明基準(博物館・美術館)2)

場所、作業の種類 推奨
照度
(lx)
光⾊ 演⾊性
展⽰
エリア
光に
⾮常に
敏感な
もの
染織品、⾐装、タピストリー、 ⽔彩画、⽇本画、素書、⼿写本、 切⼿、印刷物、壁紙、染⾊した ⽪⾰品、真珠、⾃然史関係標本 ○ 50 暖、中 1A
光に
⽐較的
敏感な
もの
油彩画、テンペラ画、フレスコ画、 染⾊していない⽪⾰品、 ⾓、⾻、象⽛、⽊製品、漆器 ○ 150 暖、中 1A
光に
敏感で
ないもの
⾦属、⽯、ガラス、宝⽯、エナメル ○ 500 暖、中、涼 1A
ギャラリー全般 50 暖、中、涼 1B
映像、光利⽤の展⽰物 10 暖、中、涼 1B
執務
エリア
研究室、調査室 500 中、涼 1B
教室、⼩集会室 300 中、涼 1B
ホール 500 暖、中、涼 2
サービス
エリア
売店 500 暖、中、涼 1B
⾷堂 100 暖、中、涼 1B
喫茶室 100 暖、中、涼 1B
ユーティ
リティ
エリア
⼊⼝ 500 暖、中、涼 1B
便所、洗⾯所 200 暖、中、涼 1B
廊下、階段 150 暖、中、涼 1B
収納庫 50 暖、中、涼 2

備考

  1. 1.「光に⾮常に敏感なもの」については、年間積算照度を120,000(lx・h)以下、「光に⽐較的敏感なもの」については、360,000(lx・h)以下にすることが望ましい。
  2. 2.表中の○印は、局部照明で得てもよい。
  3. 3.光⾊の暖、中、涼の⾊温度は、暖が3,300K以下、中が3,300K〜5,300K、涼が5,300K以上である。
  4. 4.演⾊性の1A、1B、2の平均演⾊評価数Raは、1AがRa>90、1Bが90>Ra>80、2が80>Ra>60である。
  5. 5.同屋内照明基準には、不快グレアについても規定されているが本資料からは割愛した。

表3:世界各国の美術館・博物館の照度3)

名称 照度 光源 備考
⽔平⾯ 鉛直⾯
Grund Galeries, de Louver 200 lx 250 lx FL65×2,000本(6,500K)
FL65×4,000本(3,800K)
アーチ形ガラス天井、南側不透明
北側ガラス屋根、FLと併⽤
State museum of Art in Copenhagen Matisse
Exhibition
500〜1,000 lx
125〜150 lx
JD150、RF500
RF500
(特設会場)
(常設会場)
Museum of Fine Arts Vienna 140〜200 lx 90 lx FL65R×56本 昼光と併⽤
National Gallery of London 150〜 200 lx FL40、FL80、Ld150 昼光と併⽤
Tate Gallery, London (Redesigned Room) 215 lx FL80R(4,100K)、RF150 ポリビニル光天井
National Gallery, Berlin 100 lx 140〜220 lx Ld150 透明ガラス天井、Wall washer
Fernand Leger Museum at Biot 400 lx 350 lx FL80、RF100 乳⽩ガラス光天井
Boymans Van Beuninger Museum, Rotterdam 300 lx 300 lx FL100、Ld100
Gallery in the Rijks Museum, Amsterdam 50 lx FL65 昼間光天井 100 lx
Adelaide Art Gallery, Austria 400 lx FL40
Art Center, Oslo 600〜900 lx 300 lx FL65 ルーバ光天井
Folk wang Museum Essen, Berlin 60 lx 60 lx サーモルクスガラス光天井
Calauste Gulbenkian Museum 50〜400 lx FL40、Ld100

注)FL:蛍光灯、Ld:⽩熱電球、RF:投光⽤電球

表4:各国の美術館・博物館における展⽰照明の推奨基準例4)

展⽰物の区分 ⽇本(⽂化庁)
⽂化財保護要覧
(1970)
イギリス
CIBSE(1970)
国際博物館協会
(ICOM)
(1977)
⽇本
JIS Z 9110
(1979)
アメリカ
IESNA(1993)
光放射に
対する感度
展⽰物の例
⾮常に敏感 染⾊物、⾐装、タピストリー、⼿写本、
⽔彩画、⽇本画、切⼿、壁画、印刷物、
染⾊した⽪製品、⾃然史関係標本
150 lx以下

[特に脆弱なものは、年間照射⽇数:30⽇以内とする。]

50 lx 50 lx

[できれば低い⽅が良い。]
(相関⾊温度:約2900 K)

150-300 lx

[剥製品、標本については、75-150 lx]

54 lx

(年間露光量:54,000 lx・h-1⽇8時間で、最⼤⽇数:年125⽇)

⽐較的敏感 油絵、テンペラ画、フレスコ画、⽪⾰、
⾻、⾓、象⽛、⽊製品、漆器
150 lx以下 150 lx 150-180 lx

(相関⾊温度:約4000 K)

300-750 lx 220 lx

(年間露光量:500,000 lx・h 最⼤:300⽇)

それほど
敏感でない
⾦属、⽯、ガラス、陶磁器、宝⽯、琺瑯
、エナメル、ステンドグラス

特に制限無し但し800 lxを超える必要はほとんど無し K)

700-1,500 lx

展⽰の⽅法、状況による。

表5:博物館収蔵品の光に対する応答度の分類と制限照度・限界露光量5)6)

カテゴリー
(材料分類)
説明 制限
照度
[lx]
限界
露光量
[lx・h/y]
1.応答度なし

全て不変の材料で構成され、光に対する応答度がないもの。例:ほとんどの⾦属、⽯、ほとんどのガラス、純粋な陶磁器、琺瑯、ほとんどの鉱物。

無制限 無制限
2.低応答度

光に対する応答度が低く、耐久性のある材料を含むもの。例:油彩画やテンペラ画、フレスコ画、染めていない⽪⾰や⽊、⾓、⾻、象⽛、ラッカー、幾つかのプラスチック。

200 600,000
3.中応答度

光に対する応答度が中程度である変質しやすい材料を含むもの。例:⾐装、⽔彩画、パステル画、タペストリー、印刷物や素描、原稿、模型、ディステンパー画(にかわによる絵)、壁紙、グワッシュ画(不透明⽔彩画)、染めた⽪⾰、植物標本や⽑⽪や⽻⽑を含むほとんどの歴史的天然物。

50 150,000
4.⾼応答度

光に対する応答度が⾼い材料を含むもの。例:絹、⾮常に変質しやすいとしられている⾊素、新聞。

50 15,000

2.照度均⻫度

照度むらのない展⽰をするためには、展⽰⾯の照度均⻫度(最低照度と最⾼照度の⽐)が0.75以上(床⾯などの反射光も含めて)となるように照度器具の配光、取り付け位置を検討します。

3.反射グレア7)

光沢のある画⾯、ガラス付の額縁やガラスケースに⼊った展⽰物では、光源が画⾯に正反射して映ったり、ガラス⾯に背景が映ったりして、観賞、観察の妨げとならないように、光源や展⽰物の位置を検討しなければなりません。
展⽰画⾯を観賞するときの画⾯からの視距離は、絵画の⻑辺の⻑さの1.5倍と⾔われています。⽇本⼈の⽬の⾼さの平均は約1.5mですから、光源の位置と視線との関係は図1となり、画⾯の上端で、正反射(10°の余裕を⾒込む)が起らない位置に光源を設置します。
この場合、光源の位置があまり画⾯に近づきすぎると、額縁の影を画⾯に落したり、図⾯の凹凸が⽬⽴ちすぎたりすることから、画⾯の下端から約20°以内に光源を設置することは避けなければなりません。
絵に対して低い⾓度で⼊射する光線は、絵の表⾯に影をつくり、正反射光が⼊る位置に光源があると、鑑賞者の⽬にまぶしさを与えます。したがって、光源は図1に⽰す範囲に設置します。なお、絵画の傾斜(t/r)は⼩型の絵画で0.15〜0.03程度、⼤型の絵画で0.03以下とします。

図1:光源の位置と視線の関係

表6:洋画の⼨法(mm)8)

油絵 ⼈物F(FIGURE) ⾵景P(PAYSAGE) 海景M(MARINE)
サムホール 227× 158
2 258× 179
3 273× 221 273× 191 273× 161
4 333× 242 333× 211 333× 191
5 348× 273 348× 242 348× 212
6 409× 318 409× 273 409× 242
8 455× 379 455× 333 455× 273
10 530× 455 530× 409 530× 333
12 606× 500 606× 455 606× 409
15 652× 530 652× 500 652× 455
20 727× 606 727× 530 727× 500
25 803× 652 803× 606 803× 530
30 909× 727 909× 652 909× 606
40 1,000× 803 1,000× 727 1,000× 652
50 1,167× 909 1,167× 803 1,167× 727
60 1,303× 970 1,303× 894 1,303× 803
80 1,455×1,121 1,455× 970 1,455× 894
100 1,621×1,303 1,621×1,121 1,621× 970
120 1,936×1,303 1,936×1,121 1,936× 970
150 2,273×1,818 2,273×1,621 2,273×1,455
200 2,590×1,939 2,590×1,818 2,590×1,621
300 2,909×2,182 2,909×1,970 2,909×1,818
500 3,333×2,485 3,333×2,182 3,333×1,970

4.展⽰物の保護と損傷防⽌7)

放射・光による損傷や変退⾊は、照射された光の量(照度×照射時間)に⽐例します。光源により損傷の度合いは異なりますが、図2に⽰す損傷の波⻑特性の通り300〜380nmの紫外線が95%、400〜780nmの可視光線が5%の損傷作⽤があると⾔われており、400nm以下の波⻑が特に有害です。表8に各種光源の損傷度を表わしますが、昼光に較べてLEDや蛍光灯の損傷度が低いことが解ります。中でも、⾼演⾊形直管LEDランプや紫外線吸収膜付蛍光灯(NUタイプ)は損傷度合が低く、美術館・博物館⽤として使⽤されます。しかし、紫外線吸収膜付蛍光灯を使⽤しても、⾼照度で⻑時間照明すれば損傷が起りますので、過度の照度を避け、照明する時間も短くすることに留意しなければなりません。
展⽰物の温度上昇は放射照度に⽐例します。表7に各種光源の単位照度当たりの放射照度を⽰しますが、この値が低いほど温度上昇を少なくすることができます。放射照度を低減させるには、⾚外線吸収フィルターを使⽤したり、光ファイバー照明を使⽤すると効果的です。LEDはこれらと同等レベルの効果が期待できます。

図2:損傷の分光特性の⼀例

表7:各種光源の単位照度当たりの放射照度

光源 単位照度当たり
の放射照度
〔mW/m2・lx〕
LED(⽩⾊) 3
シリカ電球(LW100) 57
ハイビーム電球(BS 100V 80W) 39
ミニハロゲン電球(JD 100V 150W/E) 56
ミニハロゲン電球・マルチレイア(JD 110V 85W・N/E) 45
ミニハロゲン電球・ダイクール(JD 100V 75W/E) 13
KTクリプトン電球(Lds 100V 75W・K・T) 55
蛍光灯(FL 40W) 10
蛍光⽔銀灯(HF 400X) 12
マルチハロゲン灯(MF 400) 10
太陽光(直射) 10

表8:単位照度当たりの損傷係数

種別 種類 ⾊温度
(K)
平均演⾊評価数
(Ra)
損傷係数
(D/E)
※相対値
(%)
⾃然光 天空光(天頂光⻘空) 11,000 - 0.480 100.0
天空光(曇天光) 6,400 - 0.152 31.7
太陽光(直射光) 5,300 - 0.079 16.5
直管LED
ランプ
⼀般形 5,000 84 0.009 1.9
⾼演⾊形 5,000 95 0.009 1.9
4,000 95 0.007 1.5
3,000 95 0.005 1.0
電球 シリカ電球(100形) 2,800 100 0.015 3.1
ハイビーム電球(100形) 2,750 100 0.010 2.1
レフ電球(屋内⽤100形) 2,750 100 0.008 1.7
ハロゲン
電 球
⼀般形・両⼝⾦(500形) 3,000 100 0.017 3.5
ミニハロゲン ⼀般形(100形) 2,850 100 0.013 2.7
マルチレイア(100形) 2,850 100 0.008 1.7
マルチレイアPRO(150形) 2,900 100 0.010 2.1
ダイクロビーム φ50(12V50W) 3,000 100 0.011 2.3
φ50(110V75W) 3,000 100 0.011 2.3
φ50(110V65W) 3,000 100 0.008 1.7
蛍光灯 パルック パルック電球⾊(EX-L) 3,000 84 0.022 4.6
パルックウォーム⾊(ELW) 3,200 84 0.032 6.7
パルック⾊(EX-N) 5,000 88 0.027 5.6
パルックday⾊(EX-D) 6,700 88 0.029 6.0
⼀般⾊ ⽩⾊(W) 4,200 61 0.025 5.2
⽩⾊・紫外線吸収膜付(W-NU) 4,200 61 0.010 2.1
昼⽩⾊(N) 5,000 72 0.032 6.7
昼光⾊(D) 6,500 74 0.033 6.9
⾃然⾊ 演⾊AA⽩⾊(W-SDL) 4,500 91 0.026 5.4
演⾊AA昼⽩⾊(N-SDL) 5,000 92 0.029 6.0
演⾊AA昼光⾊(D-SDL) 6,500 94 0.025 5.2
⾼演⾊・
リアルクス
演⾊AAA電球⾊(L-EDL) 2,700 95 0.007 1.5
演⾊AAA昼⽩⾊(N-EDL) 5,000 99 0.020 4.2
美術・
博物館⽤
⼀般形 演⾊AAA電球⾊・紫外線吸収膜付(L-EDL・NU) 3,000 95 0.006 1.3
演⾊AA⽩⾊・紫外線吸収膜付(W-SDL・NU) 4,500 91 0.013 2.7
演⾊AAA昼⽩⾊・紫外線吸収膜付(N-EDL・NU) 5,000 99 0.012 2.5
Hf形 演⾊AAA電球⾊・紫外線吸収膜付(L-EDL・NU) 3,000 95 0.008 1.7
演⾊AA⽩⾊・紫外線吸収膜付(W-SDL・NU) 4,000 98 0.010 2.1
演⾊AAA昼⽩⾊・紫外線吸収膜付(N-EDL・NU) 5,000 99 0.012 2.5
HIDランプ セラメタ(150形) 電球⾊ 3,000 92 0.019 4.0
温⽩⾊ 3,500 94 0.025 5.2
⽩⾊ 4,300 97 0.026 5.4
セラメタH ⽩⾊ 4,100 70 0.031 6.5
ハイカライト ⾼演⾊形(G) 2,500 85 0.009 1.9
⾼彩度形(H) 2,800 78 0.010 2.1
⾼圧ナトリウム灯 効率本位形 パナゴールドD 2,050 25 0.007 1.5
パナゴールドS 2,100 25 0.012 2.5
マルチハロゲン灯 標準形 Lタイプ 透明形 4,700 65 0.079 16.5
蛍光形 4,300 70 0.056 11.7
Sタイプ 透明形 5,500 65 0.120 25.0
蛍光形 5,000 70 0.094 19.6
SC形 Lタイプ 透明形 4,000 65 0.100 20.8
蛍光形 3,800 70 0.080 16.7
Sタイプ 透明形 4,200 65 0.060 12.5
蛍光形 4,000 70 0.038 7.9
⽔銀灯 透明形 5,800 14 0.182 37.9
蛍光形 3,900 40 0.103 21.5

※LEDは当社測定結果に基づく計算値であり、公称値ではありません。※LED照明器具の種類、構造などにより、厳密には値が異なります。

※相対値(%)は、⾃然光(天頂光⻘空)との⽐較です。

5.光⾊と演⾊性

展⽰室に利⽤される昼光は、天窓または⾼い側窓(仰⾓45°以上)の天空光で⾊温度の範囲は6,000〜10,000Kです。これに対し使⽤される⼈⼯光は昼光の光⾊に近いものよりも、むしろ⾊温度の低い暖かみのある光⾊が好まれます。これはフランスのICOM(International Council of Museum)においても、表4のように、展⽰物に対する推奨照度と併せて使⽤光源の⾊温度の推奨値も定めており、許容照度が低い展⽰物の照明には⾊温度約2,900Kのランプの使⽤を推奨しています。
昼光または⼈⼯照明によって照明される展⽰物の⾊は正しく再現されなければなりません。昼光の場合は、特別に紫外線や⾚外線をカットするフィルターを使⽤したりしないかぎり、⾊は忠実に再現されます。⼈⼯照明の光源の演⾊性は、可視波⻑領域の分光分布により決まります。平均演⾊評価数の⾼い光源(Ra=90以上の光源を使⽤することが望ましい)を使⽤するだけでなく、特殊演⾊評価数もできるだけ⾼い値の光源を使⽤することをお奨めします。

照明の設計例

現在では、⾼演⾊(Ra95)の直管LEDランプが開発されており、従来は蛍光ランプを⽤いていた展⽰照明もLED化対応が可能となっています。以下に設計例を⽰します。

1.展⽰ケースの照明

⾼演⾊形直管LEDランプと反射板を組み合わせて配光制御を⾏い、均⻫度の⾼い照明を実現します。

  • 展⽰⾯⼨法:12.8m×3.9m
  • 設計照度(鉛直⾯照度):(展⽰ケース全体)200 lx(展⽰⾯)300 lx
  • 使⽤光源:⾼演⾊形直管LEDランプ(4,000K)
  • 使⽤器具:上部⽤展⽰ケース器具(2灯⽤)8台
  • 設置⾼さ:3.76m
  • 保守率:0.8

図3:展⽰ケースの照明設計例

照明イメージ

展⽰ケースの鉛直⾯照度分布図

図4:展⽰ケースの壁⾯照明(パナソニック汐留ミュージアム)

2.オープン展⽰の照明

  • 展⽰⾯⼨法:6.5m×3.0m
  • 設計照度(鉛直⾯照度):(展⽰⾯)200 lx
  • 使⽤光源:⾼演⾊形直管LEDランプ(4,000K)
  • 使⽤器具:オープン展⽰⽤照明器具(2灯⽤)5台
  • 設置⾼さ:3.5m
  • 保守率:0.8

図5:オープン展⽰の照明設計例

照明イメージと展示壁面の鉛直面照度分布図(単位:lx)

図6:オープン展⽰の壁⾯照明 ©パナソニック

(参考文献)

  1. 1)JIS照明基準総則 Z9110-2010
  2. 2)屋内照度基準 照明学会・技術規格JIES-008(1999)
  3. 3)I. E.S. Technical Report No.14
  4. 4)河本康太郎:第13回JCIEセミナー資料(2007)
  5. 5)国際照明委員会技術報告書(CIE-157-2004)Control of Damage to Museum Objects by Optical Radiation.
  6. 6)⽇本照明委員会:博物館展⽰物の光放射による損傷の抑制(CIE-157-2004:⽇本語訳)
  7. 7)照明学会 照明ハンドブック(第2版)、オーム社(2002)
  8. 8)⽇本建築学会 建築設計資料集成 丸善

パナソニックの電気設備のSNSアカウント