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P.L.A.M. PLAM プラム | 照明設計サポート設計知識とツール 照明設計資料

照明設計資料

間接照明の設計

1 間接照明の考え方

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 間接照明とは、文字通り間接光による照明をいい、天井を主体とした建築内装の一部に直射光をあて、その反射光を照明として利用する方法です。その狙いは次の通りです。
 ・天井面の意匠を効果的に演出する。
 ・柔らかく均一な照明光を得る。
 これらの狙いのうち、照明設計上、特に問題となるのが、“柔らかく均一な光”の取り扱いです。すなわち、どのようにつくり出すか、また、照明の量としてどうかということです。もちろん、間接照明には意匠的な効果だけを期待して照明としての役割は期待しない使われ方もありますが、それらの場合を除けば、照明設計上の一番のポイントになります。
  柔らかく均一な光とは、言い換えれば低輝度の面光源です。間接照明とは、すなわち高輝度である「点もしくは線光源」を、建築内装を利用して、低輝度の「均一な面光源」に変換することと言えます。この変換を適切に行うためには、照明器具だけではなく反射面の形状や仕上げも含めて考えなければなりません。ただ単に建築部材に光を反射させれば事足りるというわけにはいきません。
  例えば、図1のように反射面に光沢のあるものを用いると、高輝度の正反射光が生じ、映り込みが生じてしまいます。ですから、できるだけマットな素材を選び、光源の映り込みが見えない位置に光源を設置する必要があります。また、図2のように光源の配光と建築寸法が釣り合わないと、反射面が均一にはなりません。さらに、図3のように、たとえ反射面が拡散反射して均一な明るさが得られたとしても、その輝度が高過ぎると、遠目には普通の照明器具と同じように見えてしまいます。このような場合には間接照明にした意味がなくなります。
  このように、柔らかく均一な照明光を得るためには、反射面の形状や仕上げを含めた工夫が必要になってくるわけです。

2 コファー照明

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 コファーとは、掘り上げ天井のことで、天井部に底の開いた凹型の空洞を意味します。コファー照明は、この掘り上げ天井の内表面を照明して、間接の拡散光源とする手法です。その場合、光源はコファー内部の奥に隠され、在室者から直接見えないようにする必要があります。光源は一般的に拡散性の高い線状の光源(シームレスタイプ器具、直管形LEDランプなど)が用いられます。この手法は、照明的には効率が悪いが、“ソフト”な周辺照明をつくり出すのに有用で、視覚的にすぐれた効果を与えます。

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 コファーの開口部は様々な形状をとることができます。しかし、天井懐高さを十分とれば天井面の明るさは均一に近くなるので、照明器具は必ずしも開口部に沿って取り付ける必要はありません。

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 また、より演出効果を高めるために、カラー演出器具を並列に設けて、コファー内部を可変色照明するテクニックもよく用いられます。(図6

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 コファー照明の設計上、特に注意しなければならないことを次頁に示します。

  • (1) コファー内を均一にするため、天井懐高さhを十分にとること。
  • (2) コファー内表面の仕上げは光沢のない拡散反射仕上げとすること。
  • (3) 効率をあげるためコファー内表面の仕上げは白色もしくはそれに近い反射率の高いものとすること。
  • (4) 器具配置は、ソケットなどの光源端部の陰影に注意すること。
  • (5) 光源、照明器具の種類による演出効果の違いに注意すること。

 (1)に関しては、光源に笠なし型器具を用いる場合、図7に示すように、h≧S/6が目安になります。

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 なお、コファーの開口面積(図5)が小さい場合、hは小さくとれますが、その場合コファー内表面の輝度Lcをあまり高くし過ぎると、遠目に乳白パネル付の照明器具と変わらなくなってしまい、間接照明とする意味がなくなってしまいます。ソフトなあかりとするためにはLcを500cd/m2程度に抑えることが望ましく、その場合のhは表1の値以上とするか、もしくは反射率の低い仕上げを用いて、わざと効率を下げる工夫が必要です。

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 また、(4)に関しては、図8-(a)に示すように、単純に連結してしまうと、器具の突き合わせ部においてソケット分だけ発光部が途切れ陰影が生じます。これを防ぐには、

  • ・ランプが複数列の場合は、列毎に突き合わせ部をずらす。(図8-(b))
  • ・ランプが一列の場合は、器具を斜めにして器具端部を重ね合わせる。その場合、重ね合わせ部寸法は最低100mmは必要。(図8-(c))
    等の工夫が必要です。この場合、連結部の重ね合わせ長さが調整できる間接照明専用器具が便利です。(図8-(d))
  • ・シームレスタイプの器具を使用することで端部の陰影がなくなります。(図8-(e))
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 (5)に関しては、蛍光ランプと直管LEDランプを用いた場合の違いは、図9が目安になります。
 設計する際には、照明器具の配光に注意しなければなりません。

3 コーブ照明

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 コーブとは、弓形に折り上げられた天井のことで、コーブ照明とは、もともとアーチ状の天井の間接照明を意味します。しかし、ここでは、天井の形状にかかわらず、(天井面がフラットであっても)壁面の両側または片側より天井全体を照明し、拡散光源とする方法を一括してコーブ照明と呼ぶこととします。
  コーブ照明は、天井全体を一つのコファーと考えれば、コファー照明と同じに扱えます。ただし、照明する面積が広いので、図10に示すように天井懐高さhを大きくとる必要があり、その意味から、壁面を有効に利用できる高天井に有効です。また、高天井でなくとも、細長い空間、特に廊下などに効果的に用いることができます。

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 コーブ照明は、光源と天井の距離を離すほど広がりのある空間を演出でき、また天井全体を比較的、均一に照らせます。また、極力狭くすると、天井に光の帯ができ、印象的な空間を演出できます。図11に空間のイメージを示します。
  また、コーブ照明は床面照度50 lx程度であり、床面に高い照度を確保することは望めないので、埋込ダウンライトなどと併用するとより照明効果が高まります。

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 コーブ天井の設計上の注意も、基本的にはコファー照明と同じです。ただし、照明器具を片側配置とする場合は、h≧S/4とする必要があります。(図12

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 その他の注意事項を以下に掲げます。なお、これらの事項はコーブ照明だけでなくコファー照明にも共通して言えることです。
 ・光源の遮光
 ランプハウジング等による光源の遮光は、在室者の眼の位置と天井面への光の影響の双方を考慮しなければなりません。図13にその例を示します。

  • (ア) 在室者より光源は見えないが、天井面への光がカットされている。
  • (イ) 在室者に対する遮光と天井面への光を同時に、満足している。(幕板の高さは光源高さ、もしくは光源高さ+5mm)
  • (ウ) 天井面への光は満足するが、在室者への遮光が十分ではない。
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 ・コーナー部(天井と壁の突き合わせ部)
 コーナー部は、明るさが顕著に変化するので、在室者から見てコーナー部が見える場合は注意を要します。このような場合は、コーナー部をアールにすると明るさの変化が緩やかになり、天井全体がより均一に見えます。(図14

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 コーブ照明にも、様々な形態が考えられます。ブラケット式や壁面コーブなどがその例です。(図15)また、比較的広い天井面の場合、光源に配光制御した集光形のものを用いる場合もあります。(図16)この場合、天井懐高さhは拡散光源の場合より小さくて済みます。光源の光度の最大方向を図17のように設定すれば、効果的に均一化が図れます。

3 コーニス照明

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 コーニスとは、古代ギリシャ・ローマ建築のオーダーで、エンタブラチュアの最上部の水平材と言われ、一般に建築の壁の頂部を取り巻く帯状の装飾を意味します。コーニス照明は、壁に平行に下向きに光源を取り付け、壁や窓に取り付けたカーテンに光を照射する間接照明のことです。壁面を明るくすることで空間に広がりを感じさせる効果があります。
 コーニス照明は、天井が低い場合に適しており、天井が高い場合には光源が丸見えになり眩しさを感じます。また、天井が低い場合でも壁面に近づくことで光源が見えてしまう場合もあるので、光源の位置や、設置の方法を事前に考えておく必要があります。コーニス照明の取り付け例を図18に示します。

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 コーニス照明は、設置距離や設置方法によって明るさや空間の雰囲気が変化します。その例を図19図20に示します。

5 間接照明の平均照度算出法

 作業面上の平均照度は光束法によって求められ、次式で表わされます。

 E:作業面上の平均照度(lx)
 F:光源1灯あたりの光束(lm)
 N:光源の個数
 U:照明率
 M:保守率
 A:室の広さ(?u)
 ここで、直接照明の場合、照明率Uは器具に固有のものでしたが、間接照明の場合は、天井の影響を考慮しなければなりません。間接照明の場合の照明率Uは次式で表わされます。
U=Uu+Ud
 Uu:照明器具の上向き光束による照明率=ηu・Uu0
 Ud:照明器具の下向き光束による照明率=ηd・Ud0
 ηu:照明器具の上方光束効率
 Uu0:上方光束固有照明率
 ηd:照明器具の下方光束効率
 Ud0:下方光束固有照明率
 以下、ηu,Uu0d,Ud0の求め方を述べます。

1 ηu、ηdの求め方

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 ηu、ηdはそれぞれ、ランプ光束に対する器具の上向き光束、下向き光束の比を表わします。器具の効率η(ランプ光束に対する、器具から出る全光束の比)とは次の関係にあります。
η=ηu+ηd
図21において、(オ)〜(ク)のような場合は、ηu、ηdは、器具の配光データより上方光束比、下方光束比を求め、器具の取り付け方向(上向き、下向き)を勘案して決めます。
 (ア)〜(ウ)のように、器具を天井内に隠蔽するような場合は、
ηu=η、ηd=0として問題ありません。
 (エ)のように、投光器を傾斜させて使用する場合は、配光データの累積光束曲線より算出できます。
 具体的な算出例を次に示します。

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(1) 投光器等のηu、ηdの算出例
 例えば投光器を30°傾斜させて天井に向けるとすると、使用する投光器の累積光束曲線を図22の通りとすれば、

となる。

2 Uu0の求め方

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 Uu0は上方光束固有照明率と言われるもので、照明器具より上方に向かった光束が天井空間で反射された後、作業面にどれだけ到達するか、その割合を表わしたものです。天井面の仕上げで全てが拡散反射するとすれば、Uu0は照明器具が配置されている高さに仮想天井面を想定し、その面の等価反射率ρceffを算出すれば、天井空間の形状や器具の配光形状に無関係に求めることができます。
 以下、Uu0の算出手順を説明します。
 先ず、室内に作業面と器具面を設定します。器具面は、間接照明器具が配置されている高さとし、器具面より上方を天井空間、作業面より下を床空間、その中間を室空間というように区分します。(図23

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 次に、天井空間と室空間の室指数を求めます。求め方は以下の通りです。

 次に、Rcと天井面及び壁面の反射率から、表2を用いて、器具面の等価反射率ρceffを求めます。なお、天井が矩形でない場合は、【参考1.等価反射率の求め方】を参照してください。
 最後に表3を用いれば、RrとρceffからUu0が求まります。

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【参考1.等価反射率の求め方】
 ある面にへこみがある場合を考えます。今、仮にFiなる光束が入射し、へこみ内部で相互反射した結果、Frなる光束を放出したとすると、その入口開口部を仮想面と考えたときの見かけの反射率は次式で表わされます。

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となり、ρceffは、Rとρc、ρwのみの関数として表わすことができます。表2はその計算結果を示したものです。

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