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P.L.A.M. PLAM プラム | 照明設計サポート設計知識とツール 照明設計資料

照明設計資料

特殊環境用照明設備

1.防爆器具


1 防爆電気設備の関連法規及び基準

 ガス蒸気・粉じん等による危険場所における電気設備に関しては、以下のような法的な規制があります(関係部分のみ抜粋)。
(1) 労働安全衛生法:厚生労働省所管
・第42条(譲渡等の制限等)
 政令で定める機械等(注:防爆電気機器を含む)は、厚生労働大臣が定める規格(注:電気機械器具防爆構造規格を含む)を具備しなければ、譲渡し、貸与し、または、設置してはならない。
(2) 労働安全衛生規則:厚生労働省所管
・第27条(規格に適合した機械等の使用)
 事業者は、防爆電気機器については、厚生労働大臣が定める規格(注:電気機械器具防爆構造規格)を具備したものでなければ、使用してはならない。
・第261条(通風等による爆発又は火災の防止)
 事業者は、引火性の物の蒸気、可燃性ガスまたは可燃性の粉じんが存在して爆発または火災が生ずるおそれのある場所については、当該蒸気、ガスまたは粉じんによる爆発または火災を防止するため、通風、換気、除じん等の措置を講じなければならない。
・第280条(爆発の危険がある場所で使用する電気機械器具)
 事業者は、第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお、引火性の物の蒸気または可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において電気機械器具を使用するときは、当該蒸気またはガスに対してその種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない。
(3) 電気事業法:経済産業省所管
・第56条(技術的基準適合命令)
 経済産業大臣は、一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、その所有者または占有者に対し、その技術基準に適合するように、一般用電気工作物を修理し、改造し、もしくは移転し、もしくはその使用を一時停止すべきことを命じ、またはその使用を制限することができる。
(4) 電気設備技術基準:経済産業省所管
・第68条(粉じんにより絶縁性能が劣化することによる危険のある場所における施設)
 粉じんの多い場所に施設する電気設備は、粉じんによる当該電気設備の絶縁性能または導電性能が劣化することに伴う感電または火災のおそれがないように施設しなければならない。
・第69条(可燃のガス等により爆発する;危険のある場所における施設の禁止)
 次の各号に掲げる場所に施設する電気設備は、通常の使用状態において、当該電気設備が点火源となる爆発または火災のおそれがないように施設しなければならない。

  • 一 可燃性のガスまたは引火性物質の蒸気が存在し、点火源の存在により爆発するおそれのある場所
  • 二 粉じんが存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所
  • 三 火薬類が存在する場所
  • 四 セルロイド、マッチ、石油類その他の燃えやすい危険な物質を製造し、または貯蔵する場所

 法的強制力はないのですが、労働安全衛生総合研究所からは、製造者のみならず、使用者(事業者)に対しても有用な情報を記述した工場電気設備防爆指針と、使用者に対象を絞り、より詳細に推奨基準を記述したユーザーのための工場防爆設備ガイドが発行されています。

 また、関連するJISを以下に示します。
・電気機器の防爆構造総則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ JIS C 0930
・電気機器の耐圧防爆構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ JIS C 0931
・電気機器の内圧防爆構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ JIS C 0932
・電気機器の安全増防爆構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ JIS C 0934
・電気機器の本質安全増防爆構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ JIS C 0935

2 危険場所の分類

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(1) ガス蒸気危険場所の分類
 工場や事業場でガス蒸気を取り扱っていて、それらが工程中、操作中または作業中に大気に放出や漏洩などされると、爆発性の雰囲気を形成します。爆発性雰囲気の量が無視できないレベルで存在すると同時に、そこに着火源としての電気設備が存在し、爆発事故を生じる可能性のある場所をガス蒸気危険場所と呼びます。
 ガス蒸気危険場所に対して、以前は、0種場所、1種場所、2種場所による分類が用いられていましたが、2008年10月から施行の改正「電気機械器具防爆構造規格」からは、特別危険箇所、第1類危険箇所、第2類危険箇所に分類することが定められましたが、以下に示す各危険箇所の内容を見れば分かりますように、名称が変わっただけであり、危険場所の内容そのものに対する変更はありません。

  • ・特殊危険箇所(ゾーン0、旧0種場所相当)
    爆発性雰囲気が通常の状態において、連続し長時間にわたり、または頻繁に可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達している場所。例えば、開放された容器内の引火性液体の液面付近などが相当します。
  • ・第1類危険箇所(ゾーン1、旧1種場所相当)
    通常の状態において、爆発性雰囲気をしばしば生成するおそれがある場所。例えば、換気が妨げられる場所で、ガス蒸気を滞留する可能性のある場所や、点検などの作業によりガス蒸気を放出する可能性のある開口部付近などが相当します。
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  • ・第2類危険箇所(ゾーン2、旧2種場所相当)
    通常の状態において、爆発性雰囲気を生成するおそれが少なく、また、生成した場合でも短時間しか持続しない場所。例えば、容器類の破損や換気装置の故障などにより、ガス蒸気が漏洩する可能性のある場所などが相当します。

(2) 粉じん危険場所の分類
 粉じんが空気中に浮遊し、危険な雰囲気になる可能性がある場所、粉じんの堆積があって、浮遊するおそれがある場所は粉じん危険場所と呼ばれます。そして、これら粉じん危険場所は、工場電気設備防爆指針により、粉じんの種類に応じて、次の2種類に分類されています。

  • ・爆発性粉じん危険場所
    爆発性粉じんとは、空気中の酸素が少ない雰囲気中、または二酸化炭素中でも着火し、浮遊状態では激しい爆発を生じる金属粉じんのことを指します。例えば、マグネシウムやアルミニウムの粉じんがあります。
  • ・可燃性粉じん危険場所
    可燃性粉じんとは、空気中の酸素と発熱反応を起こして爆発する粉じんのことを指します。さらには、可燃性粉じんの中には、小麦粉や砂糖、合成樹脂などの非導電性のものと、コークスや鉄、銅などの導電性のものがあります。

3 危険場所の判定

 電気設備を設置する場所が危険場所となるかどうか、あるいは、危険場所になるとすれば、特殊危険箇所、第1類危険箇所、第2類危険箇所、あるいは、爆燃性、可燃性、いずれの分類に該当するのかをまず判定する必要があります。判定に当っては関連公的機関(消防等)のご指導によることは勿論ですが、工場電気設備防爆指針にはいくつかの考慮すべき事項が載せられていますので、これらを参考にして、事業場で専門的かつ総合的な検討を加えて最終判定をしてください。

4 防爆構造の種類定

(1) ガス蒸気危険場所
 器具の防爆構造の種類として、次のようなものがあります。
●耐圧防爆構造(表示記号 d)
 爆発性ガスが器具内部に侵入し万一爆発しても器具は爆圧に耐え、かつ外部のガスに引火しない構造で器具外面の温度上昇も低く設計しています。
●安全増防爆構造(表示記号 e)
 爆発性ガスがたまたま発生しても器具内部に侵入しないように、又、器具の高温部にふれても爆発しないように、密閉性と温度上昇などに安全度を増した構造です。
(2) 粉じん危険場所
 器具の防爆構造の種類として次のものがあります。
●粉じん防爆特殊防じん構造(表示記号 SDP)
 粉じん防爆特殊防じん構造(以下特殊防じん構造という)とは全閉構造で、接合面の奥行を一定値以上にするか、又は接合面に一定値以上の奥行をもつパッキンを使用して粉じんが容器内部に浸入しないようにした構造をいいます。
●粉じん防爆普通防じん構造(表示記号 DP)
 粉じん防爆普通防じん構造(以下普通防じん構造という)とは全閉構造で、接合面の奥行を一定値以上にするか、又は接合面にパッキンを使用して、粉じんが容器内部に侵入しにくいようにした構造をいいます。
〔参 考〕
非危険場所に使用する器具の構造について、非危険場所には一般の電気機器が使用できますが、要注意場所や危険場所の周辺では、点火源のおそれがある部分を密閉ないし全閉とした密閉型器具を使用するか、電源しゃ断などの装置全体のシステム安全を講ずることが望ましいとされています。

5 防爆構造の選択

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 各々の危険場所に設置できる器具の防爆構造は、右表に従って選定してください。

6 危険物の危険等級

(1) ガス蒸気危険場所
 爆発性ガスの危険等級は、爆発等級と発火度によって次のように分類されます。

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(1)-1 爆発等級
 爆発性ガスの燃焼する性質により、3つの等級に分類したもので1、2、3、と数が大きくなる程引火し易くなり危険なガスになります。

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(1)-2 発火度
 爆発性ガスの発火点により、6つの等級に分類したものでG1、G2…G6と数が大きくなる程発火点が低くなり危険なガスになります。

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(1)-3 爆発性ガス分類例

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(2) 粉じん危険場所
 粉じんの危険等級は粉じんの種類と発火点によって次のように分類されます。

 例えば石炭の粉じんの危険等級は可燃性粉じん、発火度12、導電性、という分類になります。

7 防爆器具の表示記号と使用可能な危険物の危険等級

 器具の防爆等級は、防爆構造別に次のような表示記号を使用し、これらの記号は各々の使用可能な対象ガスや粉じんの危険等級範囲を示しています。

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(1) 耐圧防爆構造
 右表例では、爆発等級1.2.発火度G1.G2.G3.G4.の何れの組み合せのガスでも使用できることを示しています。

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(2) 安全増防爆構造
 なお、弊社蛍光灯器具のように安全増防爆構造容器の一部に、耐圧防爆構造のヒューズが内蔵された場合ed2G3の表示となりますが、対象ガスの範囲はeG3と同様です。

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(3) 粉じん防爆特殊防じん構造

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(4) 粉じん防爆普通防じん構造

2.クリーンルーム用照明器具

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 通常の人間の生活空間である大気中には、表7表8に示されるように、種々の塵埃の粒子が数多く浮遊していますが、日常生活には特別な不都合は生じていません。
 しかし、現在の最先端技術である超LSIを使用する電子応用機器の分野や、精密機械・医療品・医薬品・食品などの分野の作業空間においては、製品の品質向上や歩留り向上などの為、特別に清浄環境であることが強く求められています。

1 クリーンルームとその種類

 前記の清浄環境の作業空間では、空気中の"ちりやほこり・微粒子"の数や温度・湿度・気圧・気流の分布や速さ等を一定の範囲にコントロールする必要があり、そのために高度な空調設備を導入するとともに、人の出入や窓・ドアなどの密閉、および室内に長時間のうちに蓄積したちりやほこりの清掃などに積極的な措置を施さなければなりません。そしてこのような措置を施した部屋をクリーンルームと呼びます。
 このクリーンルームは、用途により次の工業用クリーンルームとバイオクリーンルームの2つに大別され、さらにそれぞれのクリーンルームは、業種や取り扱う製品対象により清浄度(クリーン度のクラス)が分けられています。

2 クリーンルームに関する規格

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 現在、日本ではクリーンルームの空気清浄度の評価方法がJISで規定されております。
 しかし、従来から準用している米国の連邦規格やNASA基準とは清浄度の評価方法が異なっています。ここでは米国の連邦規格(Federal Standard 2096)に基づいて説明します。
関連規格

  • (1) JGMP基準
    日本製薬工業協会が設定した、「医薬品の製造と品質管理に関する実践規範」Japan Good Manufacturing Practicesの略で、従来諸外国には各々GMPが定められていましたが、W・H・Oより1969年に製薬工場の施設はGMPに基づくようにとの勧告を受けて昭和48年に設定された、日本の製薬工場の施設規範です。
  • (2) 米国連邦規格 No.209
    クリーンルームと清浄作業台の基準
  • (3) 米国軍用規格 MIL-STD-1246A
    製品の清浄度のレベルと汚染防止計画
  • (4) 航空宇宙局 NHB5340
    微生物学的に制御されたクリーンルーム及び清浄作業台
    NASA基準
  • (5) JIS B 9920
    クリーンルーム中における浮遊微粒子の濃度測定方法及びクリーンルームの空気清浄度の評価方法

3 クリーンルームの空調方法

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 クリーンルームでは空調により塵埃粒子を吸い込み、フィルターでろ過した空気を吹出すことにより、室内の塵埃数を減少、制御していますが、その吹出方法により、クリーンルームのグレードが違ってきます。
 クリーンルームの空調では、気流の分布や速さに乱れがないことが重要で、クリーンルームのグレードに応じて垂直層流方式と非層流方式の2つに大別されます。
(1) 垂直層流方式
 空気の流れに渦を作ることなく吹出口から吸込口へ流し出す方式で、塵埃は滞留することなく吸込まれるため、グレードの高いクリーンルームに向いていますが、吹出口と吸込口が多くいるためコストがかかります。
(2) 非層流方式
 一般の空調と同じような方式で行うもので、グレードの比較的低いクリーンルームに適し、コストが安く行えます。
 また、この2つの方式を組み合せ、作業部だけを効率よくハイグレードにするクリーントンネルやクリーンベンチの方式があります。

4 クリーンルーム用照明器具

 クリーンルームという厳しい清浄環境で使用される照明設備は、快適で能率的な作業環境をつくり、かつ経済的であることはもちろんですが、クリーンルームのグレード(清浄度)に応じた専用照明器具として、空調設備や建屋、施工と一体となったトータルシステムで、クリーンルームの目的を達成するものでなければなりません。
 なお、クリーンルーム用の照明設備については、米国の連邦規格No209B.40.設計資料「クリーンルーム照明設備の設計」に記載されていますので、次に抜萃を示します。(Federal Standard No.209B.April 24.1973)
●40.1 非層流清浄室
 40.1.7 清浄室の照明装置
清浄室の照明装置は、清浄室内における作業の必要性に応じて設けなければならない。作業面で100〜150fc(1076〜1615 lx)の照度で、無影で均一な照明をすれば大概の清浄室に対して満足されるものである。天井付照明器具は天井面と同一平面状の取り付けで、かつ空気のもれがないように密閉されてなければならない。
●40.2 層流室
 40.2.6 清浄室の照明装置
標準の作業レベルにおいて、満足できる照度で、無影で均一な明るさを必要に応じて設計しなければならない。天井付照明器具は、気密に対する配慮をしなくてもよいように清浄室に吊り下げることも可能であるが、しかしこのような器具は気流分布を乱さないようにできるだけ流線型とすべきである。もし天井高さが特に低いときは、天井と同一平面状に取り付けることおよび器具を密閉することが必要である。
(1) クリーンルーム用照明器具の必要機能
?@快適で能率的な作業環境をつくり、かつ経済的であること
?A室内空気の密閉性を損なわないこと
?B塵埃の付着・堆積がないこと
?C天井から器具の突出が少ないこと
?Dランプ交換や清掃の保守管理が容易であること
?E用途に応じた機能を持つこと
 クリーンルーム用照明器具の主な必要機能は上記の6つです。次に具体的な器具の説明・特長を述べます。

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(1)-1 快適で能率的な作業環境をつくり、かつ経済的であること
 クリーンルーム用照明器具の光源としては、取り扱いが容易で、高効率・長寿命で、かつ視対象物の色彩の見え方が充分満足できるものとして、蛍光灯がよく使用されますが、現在ではLEDも使用されます(図2)。

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(1)-2 室内空気の密閉性を損なわないこと
 クリーンルームは、室内と室外を隔離し、汚れた空気が室内に入り込むのを、防がなければなりません。
 一般にクリーンルームでは、大気圧に対して1.5〜3?oAq程度加圧し、外気が浸入しにくいようにしていますが、部屋の隔壁や天井での漏れが大きいと圧力維持が困難になりクリーン度が保たれにくくなります。特にクラス100程度の部屋で、天井裏全体をエアブースとして必要な部分フィルタ吹出口をとる垂直層流方式などでは、照明器具背面に吹出圧がかかるため、さらに密閉度が要求されます。

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(1)-3 塵埃の付着・堆積がないこと
 クリーンルームでは、空気をろ過して一定以上の塵埃が空気中に存在しないようになっていますが、壁面に付着したり、水平部に堆積したりして、清浄さを損なう場合があります。照明器具も、室内に露出した部分に塵埃が堆積しないように、不要な突起部分をなくさなければなりません。また、静電気による塵埃の付着を防止するため、強化ガラス又は特殊な帯電防止アクリルパネルを使用する必要があります。
(1)-4 天井から器具の突出が少ないこと
 クリーンルームは、空気の吹出、吸込によって空気の浄化を図るわけですから、そこに空気の流れが生じます。この空気の流れが室内の突起物などによって乱されると、空気の浄化がさまたげられることになります。特に層流式の場合には、流れに渦が生じないことが重要な条件となっています。
 従って埋込型が最善ですが、直付型のクリーンルーム用器具は、流れを乱しにくく塵埃がたまりにくい構造としていますので、埋込穴があけられない場合や天井裏にスペースがない場合におすすめします。

(1)-5 ランプ交換や清掃の保守管理が容易であること
 クリーンルーム内の保守作業は、空気の汚れを少なくするため、少人数で手早く行えなければなりません。なお保守作業としては、ランプ交換や、強化ガラス・アルミ枠の清掃などがあります。
 室内でのメンテナンスの場合には、ネジの締付けなどで新たに塵埃を生ずるようなことがなく、容易にランプ交換やパネル枠のとりはずしが行えるような配慮が必要です。
(1)-6 用途に応じた機能を持つこと
 半導体工場などでクラス0、クラス10等のハイレベルのクリーン度が要求される場合、天井はほとんどの面積がフィルターで占められます。その為照明器具は、最小面積で、かつ流れを乱さないなどの特殊形状が必要です。クリーンベンチやクリーントンネルにおいても、同様に特殊構造の照明器具が必要です。
 バイオクリーンルームでは、消毒剤に耐えるために特に耐蝕性が必要です。また、クリーンルーム専用の防湿タイプの殺菌灯を使用する場合もあります。 ※クリーンルーム用照明器具のクリーン度のグレードについて
クリーンルームのクリーン度は空調能力、換気回数、フィルターの性能を中心に、照明器具等の設備や部屋の構造等、総合的に設定されるものです。
照明器具には、選択の目安として照明器具のグレードに合わせてクリーン度を記載していますので、天井構造や空調条件に合わせて総合的に判断して選択する必要があります。

3.低温用照明器具

 低温倉庫及び低温中では、一般照明器具の場合ランプがつきにくく、光が充分出ないなどの問題が生じることがあります。蛍光灯の場合が特に問題となりますので、充分検討しておかなければなりません。

1 低温用蛍光灯器具

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 一般の蛍光灯の光出力は、ランプの周囲温度によって著しく変化します。ランプの周囲温度が常温(25℃)のとき、ランプ管壁温度が最適となり、この時が光出力、ランプ効率とも最大になる様に設計されており、これより温度が上っても下がっても光出力は減少します(図5)。また、周囲温度が常温より低くなるほど、始動電圧を高くしないと点灯しません。
 低温用蛍光灯器具は、ランプの保温のために保温シリンダー・保温カバー等を使用しています。

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 蛍光灯器具の照明特性(配光特性)は25℃・無風で測定されますが、低温用蛍光灯器具のように常時特殊な低温領域でしか使用されない器具では、25℃・無風で測定した配光データをそのまま低温領域での値として使用してもあまり意味がありません。
 そこで低温用蛍光灯器具の照明設計を行う時には、25℃・無風状態での器具光束を基本とし、その値に対して低温における各実使用温度での器具光束比を、補正係数として照明計算式に導入します。なお冷凍庫内は、冷気の循環のため常に微風が吹いていますので、補正係数にはこの風による冷却作用も含めておかなければなりません(図6図7)。

2 低温用HID照明器具

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 弊社の低温用HID照明器具は、−40℃〜+10℃(アンナイトなしのタイプは−60℃〜+10℃)の温度範囲まで使用できますので、一種類の器具でF級(−20℃以下)とC級(−20℃〜+10℃)の低温倉庫で使用することができます。アンナイトとは、HIDランプの光束立上りの間の光を白熱電球で補償するもので、こまめに照明を入切される場合には、アンナイト付器具の採用が便利です。
 又、結露しやすい場所(エアーロックが充分でない予備室など)には、防湿型を使用する必要があります。
 代表的な低温用HID照明器具の光束立上り特性を図8に示します。

3 低温用LED照明器具

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 LEDは、蛍光灯のように、周囲温度によって光束が大きく変化することはなく、低温時でも定格以上の光束を維持します(図9、図10 ※低温用直管LED照明器具の場合、同じ器具であってもランプにより温度特性が異なるのでご注意ください)。また点灯後の光束の立ち上がりが早く、−40℃の低温でもすぐに明るくなります(図11)。さらに、光源寿命が40,000時間と省メンテナンスであり、LEDは低温環境に適した光源であるといえます。

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4 低温用器具の使用温度による分類

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 倉庫業法施行規則では、F級(−20℃以下)とC級(−20℃〜+10℃)に分けられており、低温用器具を設置する対象施設の温度範囲も−60℃〜+10℃と大幅になるため、一種類の器具でこれらの温度範囲に適合させようとしますと、蛍光灯器具では効率の低い温度範囲が生じます。そこで弊社の低温用蛍光灯器具は、使用周囲温度に合せて図12のように分けております。白熱灯器具やHID器具、LED器具の使用温度範囲も図12に示します。

4.高温用照明器具

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 一般の照明器具は、35℃迄の使用を考慮して設計、製造されています。従ってこれを超えた高温場所に使用することは、器具に使用している諸材料の耐熱温度をオーバーすることになり、寿命に著しく影響を及ぼします。
 特に破壊劣化するものについては、極めて短期で寿命となります。従って35℃を超える高温場所で照明器具を使用する場合には、これらの温度に充分耐える器具を選定する必要があります。

5.耐蝕型器具

 化学工場などのように、特殊な腐蝕性ガスが発生する場所に使用される照明器具の耐蝕性能は、器具が設置される場所の環境条件や耐用年数などに応じて、本体、反射板、安定器、ソケットなどの構成部品や構造、塗装などを検討して決定します。

1 耐蝕型器具の構成材料

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 一般に構成材料として、FRP(ガラス繊維入強化ポリエステル樹脂)、ステンレス鋼などを使用しますが、すべての腐蝕に対して耐蝕性がある材料はないので、設置場所の環境を調査し、それに応じた材料を選定する必要があります。
 また、照明器具の設置工事についても、取り付け方法、配線の接続方法などに充分配慮しなければなりません。
表12に、本体材料にFRP、ランプカバー材料にアクリルを使用した器具の耐薬品性を示します。
 なお、ステンレスを使用した器具は、ハロゲンイオン、特に塩素や高濃度の塩水に侵されますので、ご注意ください。

6.防水型器具

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 水蒸気が発生したり、水を扱う場所の照明には、防水型照明器具又は防湿型照明器具を使用します。
 防水型器具は、防水性能によって、防滴型、防雨型、防噴流型などに区分されており、用途に応じて使い分けられます。
 JIS C0920及びJIS C8105に定められている防水型器具・防湿型器具の種類と用途を表13に示します。

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7.耐振型・耐衝撃型高天井用ホルダ

 大型の工作機械やクレーン等による振動や衝撃の多い場所では、振動対策のない照明器具は、振動によってランプの接触不良や落下及び器具の破損などの事故が発生します。
 このため、振動や衝撃の多い場所では、以下のような高天井用器具の吊具に特別の配慮をほどこした照明器具を使用する必要があります。

1 耐振型ホルダ(屋内用)

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  • ●耐振型器具は特に縦方向の振動が多い場所に使用して頂けるように設計しています。
  • ●耐振型吊具の上部フランジ内に防振に適した弾性係数を持ったスプリングを使用しています。
  • ●このスプリングの弾性特性により振動を吸収します。
  • ●必ず水平天井に取り付けて下さい。
  • ●吹き抜けの建物など風のある場所では使用できません。

2 耐衝撃型ホルダ(屋内用)

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  • ●特に横方向からの振動、衝撃に耐える高天井用です。
  • ●現行の標準品セードが取り付けられます。
  • ●フレキシブルパイプ内にはワイヤを入れ灯具を支えていますので、万一異常な衝撃でパイプが切断されても灯具の落下を防ぎます。
  • ●横方向からの振動、衝撃がある工場、クレーン、ホイスト等運搬機械の稼動する工場におすすめします。
  • ●頻繁に衝撃を受ける場所にご使用の場合は別途ご相談ください。
  • ●必ず水平天井に取り付けてください。
  • ●万一の衝撃からのランプ保護用としてルーバ・ガードをご使用ください。

8.検査照明

 製品の品質が予め定められている基準に適合するか否かの品質の保証を行う検査作業は、工場の視作業の内でも最も厳しさの要求されるものの一つです。
 検査作業にもいろいろ種類があり、その照明も一般作業と同様の全般照明で充分な場合もあり、また照度を補充するためだけの局部照明で充分な場合もありますが、検査内容により光源・器具の種類の選定やその設定位置・照射方向などに独特の照明手法の要求されるものが多く、そしてその検査が高度の熟練と判断力を要求されるものであればある程、意図した照明効果を作り出す照明技術者と、その照明による検査方法の適否を判定する検査作業との連携作業が必要であり、これがあって始めて完成されるものと考えられます。これが他の照明と異なる点であり、また難しい点でもあるといえます。

1 検査照明設計の基本的な考え方

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 検査照明の設計・計画を行うにあたっては、先ず検査項目、検査方法、そして合格、不合格の判定基準などその作業内容を充分認識し、作業面の特性を分析していかにすれば見え方の要求を満足して、見やすくなるか検討しなければなりません。
 検査対象物がどのような光学特性をもっているかを明確にしたうえで、それぞれの光学特性に応じて、適切な光源の種類とその取り付け位置(検査員の視線および検査対象物と光源との幾何学的な位置関係)を決定します。
 検査対象物の光学特性によっては作業周辺部を適切な明るさに設定することも重要になってきます。
表15表16は検査照明に用いる光源の種類と光源の基本的な取り付け位置を示します。表17には、検査対象物を平面的な場合と立体的な場合とに分類し、検査対象物の光学特性別にみた検査照明手法を示します。
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2 高い演色性の必要な場所(色検査室)

image 演色AAA昼白色(N-EDL)は、日本印刷学会の推撰基準(色温度5000±200K、平均演色評価数Ra95)を完全に満足する高性能を有します。
(注)〈演色評価数〉光源の演色性の程度を表わす数値で、基準光源と同じ場合は100となります。
        (参照
  〈色 温 度〉光源の光色を決める特性で、色温度が高いと涼しい雰囲気、
        低いと暖かい雰囲気になります。
        (参照

 印刷物などの色選定や色合せなどに使用する高演色性の蛍光灯及び専用器具があります。
(1) 高演色性蛍光灯(リアルクス)

  • (a)現在実用化されている各種光源の中では最高のレベルの高演色性を有します。
  • (b)優れた高演色性蛍光物質を独自の二層塗布(ダブルコーティング)方式で塗布した構造です。
  • (c)一方の層が青色光、特に404.7、435.8nmの水銀輝線スペクトルを吸収して赤色光に変える働きをします。
  • (d)リアルクスはやや涼しい感じの演色AAA昼白色(N-EDL)と、落着いた雰囲気の演色AAA電球色(L-EDL)

 の2種類があります。

(2) 使用上の注意

  • (a) 高演色性蛍光灯(リアルクス)を使用する場合の器具は、実用的には一般のものがそのまま使用できますが、色検査など特に重要な所で使用する際には、リアルクスの高性能を損なわないために、器具反射板はアルミニウム、拡散板には無彩色のものをご使用ください。
  • (b) リアルクスをご使用の際は、充分な照度を確保するようにしてください。
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