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P.L.A.M. PLAM プラム | 照明設計サポート設計知識とツール 照明設計資料

照明設計資料

光放射の作用(非生物)

1.照明による被照射物への作用

1 光源の光放射特性
 光源は、電気エネルギーを可視放射に変換することを目的とした装置です。しかし、可視放射だけでなく、それに隣接する紫外放射、赤外放射も同時に行われます。表1は被照面の照度が1,000 lx になった時の紫外放射、可視放射、赤外放射を含めた放射パワーの値を示しています。同じ照度であっても白熱電球は放電灯に比べて放射照度が高くなっています。
 これは、赤外放射成分の比率が放電灯より白熱電球の方が大きいことによるためです。
表2は光源に加えられた電気エネルギーが光放射パワーに変換された場合の構成内容をまとめたものです。
 ハロゲン電球では約0.2%が紫外放射に変換され、蛍光灯では約0.5%、水銀灯、メタルハライドランプでは2〜3%、高圧ナトリウムランプでは約0.3%が、紫外放射に変換されていることを示しています。

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2 損傷の特性
 光放射による損傷や変退色は、照射された光の量(照度×時間)に比例します。光源により損傷の度合は異なりますが、N.B.S(米国商務省標準局)が色紙を使用して求めた特性がよく知られています。図1に損傷の分光特性を示します。
 この損傷特性より次のことがわかります。
?@580mm以下の可視放射、及び紫外放射が変退色に作用します。
?A短波長の光放射ほど作用が大きく、特に紫外放射の作用が大きい。
損傷係数とは、表3に示す光源で同一の照度で同じ時間照射した場合の変退色の度合いを計算して求めたものです。昼光に比べ人工光源の損傷度が低いことがわかります。中でも、紫外線吸収膜付蛍光灯や特定の高演色形蛍光灯(EDLタイプ)は、損傷度合が低く、美術館、博物館用としても使用されています。

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3 温度による影響
 損傷の要因としては、光源の分光分布や光の量の他に、温度・湿度・材料などがあります。温度による影響については、絹や木綿の場合50℃以下であれば、ほどんど問題はありません。しかし、65℃以上になると退色の割合が30℃の場合の約2倍になります7)

4 被照射物の保護
(1)光源の選択
 光放射による損傷を軽減するには、表3に示す損傷係数の小さい光源を選択してください。また、美術館・博物館等で使用する場合は、色彩が正しく見える必要があるため、美術・博物館用演色AA白色蛍光灯(W-SDL・NU)、美術・博物館用演色AAA電球色蛍光灯(L-EDL・NU)、白熱電球などが適しています。
(2)紫外線カットフィルターの使用
 短波長をカットすると損傷度合が低減します。しかしながら可視域の波長をカットすると、色の見え方に影響を及ぼします。紫外線領域の光のみをカットすることが適切です。紫外線を取り除くフィルターは一般には紫外線カットフィルターと呼ばれ、その材質により透過率が違います。
(3)照度の低減と照明時間の短縮
先に述べましたように、変退色は照射された光の量(照度×照射時間)に比例します。損傷係数の小さい紫外線吸収膜付蛍光灯を使用しても、高照度で長時間照明すれば損傷が起こりますので、照度は必要最小限の値とすると共に、照明する時間も短かくすることに留意しなければなりません。


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[参考文献]
1)L.R.&T.1-1-8
2)L.R.&T.3-2-131
3)L.D.A 3-6-18
4)J.I.E.S 4-4-263
5)L.D.A 5-9-39
6)L.T25-1-17
7)IES(米国照明学会)Lightning Handbook 1981

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