訪れた瞬間からはじまる居心地の良いリゾート感を演出

■照度計画イメージ（断面図）

照明は通常の空港のような全体が均一に明るい空間ではなく、家具や動線など必要な場所に光を集めて明暗をつくり、落ち着きを感じる空間とした。
天井の間接照明やディスプレイ棚やカウンターなどの家具に組み込んだ照明により、照度と明るさ感を確保。チェックイン棟と同じく、天井に照明器具をつけることなく明るさを保持することで、グレアの少ない落ち着いた雰囲気を演出できた。

■照度分布図

屋内から屋外まで空港全体としては、ほぼ3000Kで色温度の照明器具を使用することでリゾートホテルのような雰囲気をつくっているが、手荷物検査場や保安検査場など空港として機能的な役割を担う空間は4000Kの照明器具を選定。4000Kを使用することで視認性を高め、空港としての機能面も優れるように計画した。

シーリングライト

シーリングライト

※指定色塗装（黒）にて対応

スポットライト

※スポットライトは特注直付仕様にて対応

チェックイン棟とラウンジ棟を結ぶ屋外通路は、水盤や植栽が設えられ、光が細かく仕込まれている。水中照明やスパイク式のスポットライトが、宮古島の要素「植栽や岩石」などを丁寧に細かく照射している。屋外照明器具の演色性はR85以上とすることで、下地島固有の美しい植栽を照らしている。
中庭や水盤に光を当てることで、屋内から見える外の景色を明るくして、空間全体の「明るさ感」を高めた。屋内外が呼応するように総合的に照明設計を行うことで、今までにない空港としての夜間景観を作り出すことができた。

ラウンド棟の入り口に設けた「ひんぷん」をウォールウォッシュすることで、アイキャッチとなっている。

地中埋込照明

屋内から見たランドスケープ空間を意識し、建屋から庭に向けて投光器で全体的に照射する工夫をしている。建屋側に設置されたスポットライトで、シーサーをライトアップ。また建築上部から漏れた光が行灯のようにみえ、美しい景観をつくりだしている。

LED投光器

美しい海や植栽など豊かな自然と暖かい気候が特長の小さな島に建てられた「みやこ下地島空港ターミナル」。「空港から、リゾート、はじまる」をコンセプトに建設され、空港に到着した瞬間から宮古諸島を離れる航空機へ搭乗する直前までリゾート体験ができるような空間となっている。

約1000㎡以上の水盤や隣接敷地から移植した既存樹など、島の特長を活かして屋外ラウンジや中庭を計画。そのランドスケープをシームレスにつなぐように、チェックイン棟やラウンジ棟など「離れ」のように建物が点在する構成とした。特にラウンジ棟は、リゾートホテルのようなインテリアデザインとなっている。