巻頭インタビュー

リニューアルコンテスト2019大賞
独自の省エネ補助金活用営業を武器にお客様と“WIN-WIN”の関係を構築

[福岡県八女市]
株式会社井手電工
省エネコンサル室 室長

稲益 守

評価のポイント

  • 省エネリニューアル提案を具現化する手段として補助金を活用したコンサルタント営業を確立。
  • 補助金を活用したリニューアルを進めることで、お客様にとっての経済的メリットを実現。お客様とWIN-WINの関係を構築。
  • 運用改善による省エネが義務づけられる環境省の補助金活用により、エネルギーモニタを設置しエネルギー計測・分析を定期的に実施することで、お客様との“継続的”で“密”な関係を構築。

補助金活用営業で初期費用の壁をクリア。約150台のLED化工事案件がきっかけに。

―このたびは大賞の受賞、誠におめでとうございます。まず今回、補助金活用営業に取り組まれるようになったきっかけをお聞かせください。

稲益様:弊社は1995年創業の社員10名の会社です。2002年にLED照明の施工を始め、「地域社会に貢献し、地域環境改善の一助になることを目指す」という経営理念のもと、2012年には太陽光発電の施工も手掛け業容を拡大し、経営状況も安定してまいりました。近年、太陽光発電の需要も落ち着いてきており、太陽光発電に代わる事業の模索をしていた中、2015年に転機が訪れ、補助金活用営業をスタートさせることになったのです。
きっかけとなったのは、製茶工場の照明LED化の案件でした。約150台の更新工事の依頼があり、提案をしていたのですが、投資回収に10年かかるということでペンディングになっていました。しかし、補助金を活用できないかと、その製茶工場の方から促され、補助金について調べることに。コンサルタント会社に相談したところ、コンサルタント料が最低でも100万円といわれ、自社でなんとかチャレンジすることになりました。
照明のLED化に関しては採択件数が非常に少ない中、運良く採択されました。提案でペンディングになっていた化学糊製造工場にも補助金活用を盛り込んだ内容で再提案すると、すぐにGOが出ました。補助金についてかなり調べましたし、公募要項もじっくり読み込みました。不明点はSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に質問し、クリアにしていきました。1日に30回ぐらい連絡したこともあったと思います。「調べる」「聞く」を繰り返すことで、申請書類作成に関しては問題なくできるようになりました。
この補助金は2015年度は全国で108件、九州では8件採択されたのですが、そのうちの3件が弊社の申請した案件です。私としても、会社としても、「やっていける!」という手ごたえと自信がついてきました。当時は、営業先において「補助金」というキーワードに対するお客様の反応が非常に良いことを実感し、「補助金」提案営業に本腰を入れて取り組むようになりました。私自身も飛び込み営業を行っていましたが、「LED化の提案…」と言うと門前払いをされていたのが「省エネ補助金獲得のお手伝いを…」と言うと必ず役職の付いた方とお会いできるようになりました。

手ごたえがあった案件が不採択に。
理由を追求して5年で採択率約90%に。

―申請が困難だった案件やスキルアップにつながった案件などはありましたか。

稲益様:採択されなかった自動車学校のLED化の案件が、私のスキルアップにつながりました。こちらは屋外照明のLED化だったためA類型の公募条件を満たすことができずB類型に応募しましたが結果は不採択。B類型への応募はA類型に比べ、書類のボリュームもその質も求められるため申請作業のハードルは高くなります。そのためしっかりと準備をしたので採択の自信がありました。不採択の理由をSIIの担当者に尋ねたところ、「私もなぜ不採択になったのか分からないぐらい質の高い書類でしたよ。次回またチャレンジしてください」と高い評価をいただき、これが大きな自信につながりました。
2016年には経済産業省の「中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業費」に27件申請し、 25件採択。2017年も同じく経済産業省の「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」で、申請10件のうち採択7件。2018年は2種類の補助金に合わせて9件申請し、すべて採択されました。2019年は、経済産業省の補助金申請9件中7件採択。環境省の省エネ補助金1件、環境省の自家消費太陽光の補助金1件がそれぞれ採択されました。自家消費太陽光については、コンサルタント会社以外での採択は珍しかったので、大手コンサルタント会社よりセミナー講師の依頼もありました。
この5年で採択実績53件、採択率約90%という実績を上げることができ、太陽光発電に代わる会社の新しい柱として育ってきました。

セミナー講師をきっかけに、新規顧客と出会い、環境省の補助金にチャレンジ。

―今回の受賞案件となる九州学院様との出会いのきっかけについて、お聞かせください。

稲益様:空調工事の補助金コンサルタントを行った際に知り合った空調メーカーの方から補助金セミナーのご相談があり、講師を務めることになりました。その後も空調設備業者向けにセミナーを繰り返し実施するなか、ある会社から、九州学院様の空調設備更新の補助金コンサルタントの依頼をいただきました。
九州学院様は、お隣の熊本県にある中高一貫の私立学校です。1910年の創立以来、建学の精神「敬天愛人」と教育目標「自分で自分を監督し、役に立つ善人となれ」を掲げ、在校生や卒業生とその家族、また熊本の人々にも愛される学校を目指して日々教育に取り組まれております。卒業生には多数の有名スポーツ選手を輩出されており、グラウンドや体育館などの施設も充実しています。当初は老朽化した空調設備のリニューアルを設備工事店に依頼されていました。補助金活用の依頼もあったため、弊社の実績を知ったメーカー販売店の方から相談をいただき、九州学院様への営業に同行。現場確認をしたところ、グラウンドに水銀灯があったため、水銀条約による水銀ランプ生産中止についてご説明し、武道場とグラウンド照明のLED化も急務であることをご提案しました。しかし今期は予算がないとのことでした。そこで、これまでの経済産業省の補助金ではなく、補助率の高い環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の申請をご提案。環境省の補助金という新たな分野での実績が欲しかったこともあり、私にとっても新たなチャレンジとなりました。結果、無事採択され、4,700万円の事業費に対し2,200万円の補助金を得られ、投資回収期間が27.6年から14.7年にまで縮まり、電気代も年間約170万円もの削減を見込んでいます。空調設備はもちろん、屋内のLED照明からグラウンドの投光器まで幅広い改修を受注することができました。現時点では実測値で13〜20%/月の削減量を確認しており、大きな成果が得られています。

定期的な省エネ(運用改善)会議の実施で、“継続的”で“密”な関係を構築。

―環境省の補助金に初チャレンジしたことで、得られた成果はありましたか。

稲益様:環境省の補助金には、運用改善による省エネ実績の報告が義務づけられています。そのため、エネルギーモニタを設置し、各階の省エネ・空調の利用状況を見える化し、その測定値をもとに九州学院様の事務部門との間で月に一度省エネ会議を実施。この取り組みは少なくとも3年間は続きます。会議の都度、訪問することになりますので九州学院様との密な関係を築けるようになりました。それが継続的なお付き合いができるきっかけになり、今では設備更新の相談をしていただける関係となっています。

―電気工事店が補助金申請をすることによるお客様にとってのメリットとは何でしょうか。

稲益様:補助金申請は省エネコンサルタントに依頼することが一般的です。電気工事店は見積合わせの一業者としての関わりとなり、価格の決定権はなく、他社との競争が必要でした。弊社としては申請書類の作成から提出、申請団体との問い合わせ応対まで一貫して承ります。工事までまとめて見積・提案を行うことができるので、お客様の手間は省けます。
さらに弊社は社長の方針で、コンサルタント料金が無料のため、工事費+αの費用は少なくすみます。補助金活用提案はあくまで電気工事を獲得するためのもので、補助金業務で儲けることはない、という考え方です。
結果として電気工事の数が増えればよい。これが弊社の新しいビジネスモデルです。補助金を活用した営業はお客様に喜ばれ、お客様と【WIN-WIN】の関係を築くことができ、そしてその関係が継続するのです。
最後に、補助金活用の事業が成功したポイントをお伝えします。1つは、まずチャレンジするということ。チャレンジすることで、現状のスキルを把握でき、足りないところも見えてくるので、自分のすべきことが分かります。官公庁工事を行えるスキルがあれば、補助金事業への取り組みはそう難しくないはずです。写真を用意するなど申請書類に必要なものは、実は官公庁工事で行っていることと変わらないのです。
ある信用会社から言われたのですが、最近の元気がある企業というのは同業他社が面倒がってしないことを敢えて行って差別化を図っている企業が多いということでした。
もう1つのポイントは、情報収集です。私は補助金活用の事業を始める際、省エネ補助金講習会に積極的に参加し、その講師の会社にも訪問して情報を集め、補助金に関するノウハウを吸収しました。WEBサイトで同業他社の動向をさぐったり、官公庁の補助金に関する情報を探して隅々まで読み込んだり。私なりに分析し採択されやすい書類作成・申請作業のノウハウを経験を積むごとに高めていきました。そして、いろんな人に質問をしアドバイスをもらうこと。恥ずかしがらず、どんどん聞くことが大切だと思っています。みなさんも私と一緒に、ぜひ補助金活用事業にチャレンジしていきましょう。

お施主様の声

学校法人 九州学院事務長

高松 和廣

これまでに文部科学省の補助金申請の経験があるため、その大変さは重々理解しています。今回の環境省の補助金の活用提案、申請作業の代行については、大変うれしく思っています。補助金により、予定していなかった照明のLED化まで実現し、ロビー・グラウンド・道場などが明るくなりました。ランプ交換作業の手間とコストが削減されたことには事務部門からも満足の声が上がっています。

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