3.5haの広大な敷地に4棟の牛舎および関連施設が配置され、約580頭の乳牛が放し飼いのフリーバーン方式で飼育される

循環型社会を見据えた「復興牧場」

福島第一原子力発電所の事故により、福島県内の酪農家76戸が被災し、再開できたのは13戸(2015年8月現在)。福島県酪農業協同組合は避難した酪農家の営農を支援するため「復興牧場」を建設し9月に竣工した。運営にあたるのは、福島県南相馬市、浪江町、飯舘村の酪農家5人が2015年4月に設立した農業生産法人「フェリスラテ」。社名はスペイン語の「幸福」とイタリア語の「牛乳」を組み合わせた造語。この牧場から皆を幸福にする牛乳を届けたいとの5人の思いが込められている。今後は段階的に乳牛を増やして約580頭を飼育し、年間約5,000tの原乳生産を計画。放射線測定にあたっては、飼料の自主検査に加え、原乳の検査を県および県酪農協で実施し、消費者の不安解消にも努めている。
パナソニックは牛舎をはじめ、牧場一式の工事を担当。とくに、牧場が福島市内にあるため、ロックウール脱臭システムを導入することで、近隣への悪臭の影響を最小限に抑える。フェリスラテ社長の田中 一正氏は「現在、福島市や農協と共同で荒廃地を除染して牧草畑に開墾している。糞尿はそのままでは産業廃棄物だが、肥料に変えることで資源になる。まずは牧場を採算ベースにのせることが私の使命だが、最終的には循環型社会を実現する契機としたい」と語る。

建築設計Report vol.16/2016年2月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

搾乳設備のあるパーラー舎

家畜の糞尿を堆肥化する堆肥処理施設

堆肥舎施設で発生するアンモニアなどを含んだ空気を脱臭ロックウール槽に送るポンプ施設

微生物によりアンモニアを分解するロックウール槽

生産した堆肥を乾燥・保存する乾燥堆肥舎

ロックウール脱臭システム概念図

復興牧場 フェリスラテ

所在地/福島県福島市土船
建築主/福島県酪農業協同組合
建築設計・監理/大畑建築設計事務所
運営/株式会社フェリスラテ
施設建設/パナソニック環境エンジニアリング株式会社
竣工/2015年9月

主な設備

● 牛舎(搾乳、乾乳)×4棟 ● パーラー舎 ● ほ乳ロボット舎 ● 堆肥処理施設(堆肥撹拌発酵舎・脱臭装置) ● 乾燥堆肥舎 ● 排水処理施設 ● 飼料庫

東北復興ソリューション