テラスデッキ越しに視界が広がる中央の待合ホールは、上部に吹き抜けが設けられた明るい無柱空間

木+鉄の耐震工法で建設された被災地の医療・看護を担う診療所

2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波により、陸前高田市沿岸部のほぼ全域が破壊され、医療機関も大きな被害をうけた。この災害からの復興を支援するため、恩賜財団済生会によって、医師不在となった陸前高田市今泉地区に在宅医療を主とした診療所と訪問看護ステーションが計画された。診療所の設計にあたっては、患者が穏やかに過ごせる空間であると同時に地域交流の場としても活用するため、中央に待合ホールを配置。正面玄関からアクセスすると、対面するガラス折れ戸を通してデッキテラス越しに外部への視界が広がり、上部に設けられた吹抜により、閉塞感のない明るい空間が創り出されている。
内装は、この地域が気仙杉に代表される木材産地であることを考慮し、木のぬくもりが感じられる空間が創り出されている。また、地盤沈下などの調査に基づいて構造選定を進めた結果、建物自体の荷重負荷が軽減できる木造が採用された。さらに、待合ホールを無柱空間とするために、柱間が広く取れ、梁強度が十分に確保できる、木と鉄の複合梁「テクノビーム」を用いた、耐震性にも優れているテクノストラクチャー工法が採用されている。

建築設計Report vol.21/2017年5月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

テクノストラクチャーの構造が明確に見える棟上げ段階の診療所

無柱の吹き抜けロビーでは耐荷重の大きなテクノビームが用いられている

X線撮影機器の荷重に対応するためピッチを詰めてテクノビームを配置

X線撮影機器が設置された室内


テクノビームに直接支持金物を取り付けX線撮影機器架台レールを受ける

済生会陸前高田診療所

所在地/陸前高田市気仙町
施主/社会福祉法人 恩賜財団 済生会
設計/株式会社伊藤喜三郎建築研究所
施工/株式会社平野組
竣工/2017年1月
構造形式/木造(テクノストラクチャー工法)

主な設備

● LED照明器具 ● 屋根材(ケイミュー) ● 雨とい ● 外装材(ケイミュー)

東北復興ソリューション