凹面が建築意匠として『受け止める母』をイメージしているといわれる2層吹き抜けのエントランスホールを太平洋側から望む

甚大な複合災害の記録・記憶と復興を次世代に継承し世界に発信

東日本大震災・原子力災害伝承館は、震災と原子力災害の記録・記憶と復興を、国や世代を超えて伝えるために計画された施設で、事故から10年を迎えようとする2020年9月にオープンした。
これは、災害によって失われた浜通り地域などに新しい産業基盤の構築をめざして作られた国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」の情報発信と交流の拠点と位置づけられたもの。福島県が「東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設有識者会議」を設置し、拠点施設の具体的な機能、内容などの考えを取りまとめて概要を決定した。伝承館の展示は1階のプロローグシアターの映像を見た後、2階展示室で災害の始まりから事故対応、長期化する災害の影響、復興への挑戦と続く。これまで収集してきた24万点を超える資料をはじめ、県民インタビューや語り部の生の声を生かした展示が行われている。
伝承館の企画事業部 部長 橘内(きつない)隆氏は「双葉町はいまだ避難が続いている地域。その中で、復興が道半ばである現状と、未曾有の複合災害に福島県民がどう向き合ってきたかを見ていただきたい。さらには、この施設が契機となり福島浜通りの交流人口が増え、地域復興の拠点にもなれたらと思う」と語る。

建築設計Report vol.36/2021年2月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

2層吹き抜けのプロローグシアターに設置された巨大な環状の間接照明
2層吹き抜けのプロローグシアターに設置された巨大な環状の間接照明

「県民の想い」に設けられたグレアを感じさせないソフトライト「県民の想い」のコーナーに設けられたグレアを感じさせないソフトライト

2層吹き抜けのエントランス壁面を照らし出すダウンライト
2層吹き抜けのエントランス壁面を照らし出すダウンライト

スリムな光源で存在感を消したセミナールームのLEDデザインベースライト「Float Light」
スリムな光源で存在感を消したセミナールームの
LEDデザインベースライト「Float Light」

東日本大震災・原子力災害伝承館

所在地/福島県双葉郡双葉町
事業主/福島県
設計/株式会社惟建築計画
建設工事/荒牧建設・松本建設工業建設共同企業体
電気工事/株式会社青田電気商会
展示設計/株式会社トータルメディア開発研究所
オープン/2020年9月

主な設備

● SmartArchi: Float Light ● LEDダウンライト ● ソフトライト ● プロジェクター