国道45号から高台の校舎を望む。大階段を上っていく子供たちが復興の象徴となる

被災地の高台に移設された地方創生のランドマーク

東日本大震災では釜石市鵜住居(うのすまい)地区に津波が押し寄せ、臨海にあったRC3階建ての鵜住居小学校とRC4階建ての釜石東中学校は3階まで津波を被って全壊。周囲の商店街や住宅も被災し、釜石市ではもっとも大きな被害を受けた。両校は内陸部に仮設校舎を建設して授業を続けていたが、「釜石市復興まちづくり基本計画」の主要施策として位置づけられ、2017年3月に鵜住居地域中心部の高台に移転再建された。建設場所の選定や新校舎の計画にあたっては、釜石市の復興ディレクターと地域の代表である町内会長やPTA、教職員などがメンバーとなって校舎建設検討委員会を設置。地域住民の意見集約を行う中で、鵜住居小学校と釜石東中学校に加え、鵜住居幼稚園と鵜住居児童館を安全な高台に併設することが決められた。
設計にあたっては、簡易プロポーザル方式により、階段棟(小学校ゾーン)とブリッジ棟(中学校ゾーン)で構成され、それぞれの施設が連携するプランが採用された。国道45号から続く大階段を上れば三層の小学校教室群が左右に拡がり、小学校を卒業すればさらに階段を登ることで中学校に至るという、成長が実感できる構造となっている。子供たちが階段を上っていく姿が今後の復興の象徴となり、夕方授業が行われている場合は体育館のカーテンウォールからこぼれる光がランドマークとなることが意図された。
なお、当施設は地域の防災拠点としても位置づけられており、自家発電装置に加え、太陽光発電と蓄電池も今後整備される予定。非常時には、防災行政無線が設置されている職員室の非常用コンセントと照明、体育館の一部照明に給電する計画となっている。
また、旧校舎の跡地はラグビーワールドカップ2019TMの会場となることが決定されている。

建築設計Report vol.24/2018年2月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

小学校棟1階エントランス

小学校棟2階1年生教室

階段は小学校棟を貫き中学校棟に続く

中学校棟のラウンジからグラウンドを望む

高天井用LED照明器具が採用された第一体育館

中学校棟2階の教室

小学校棟と中学校棟をつなぐ階段状の多目的室

中学校棟の多目的室

釜石市立鵜住居小学校・釜石東中学校

所在地/岩手県釜石市鵜住居町第13地割
事業主/岩手県釜石市
設計・監理/株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ
施工/大林組・熊谷組・東洋建設・元持 特定共同企業体
電気工事/株式会社ユアテック
竣工/2017年3月

主な設備

● 一体型LEDベースライトiDシリーズ ● LEDダウンライト ● LED高天井用照明器具 ● LEDフットライト ● LED街路灯

東北復興ソリューション

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