省エネチューニングとは

省エネルギーセンターでは、『現実の「建物の使われ方の変化に合わせ調整」によって建物の省エネルギーを推進すること』と定義しています。設計段階での条件と実際の使用条件との違いや、毎年入れ替わる入居率など使用状況の変化にあわせて、設備の運用状況を変えていくこと、それが省エネチューニングです。
大きな投資をしないと省エネできないと考えていませんか?最新の設備に交換しなくとも、自分たちで可能な省エネはきっとあります。
そんな、まずは自分たちでできるところから、省エネに取り組んでみてはいかがでしょうか?

例えば、朝の空調立ち上げ時

施工業者や前任者が設定した運用ルールを、それで良しとして鵜呑みにしていませんか?
例えば、社員が出社する1時間前から空調機を運転開始するなど、定型的に物事をすすめることは、それまでの経験や法則などから間違いではないかもしれません。しかし、本当に現在のあなたの管理建物で、それがベストな運用なのかを検証したことはありますか?

例えば冬場、職場でのパソコンやサーバーの台数の増加により、当初より予熱に時間が必要無くなっているかもしれません。また、クールビズやウォームビズの定着により、以前ほど長時間予熱をしなくとも、居住者側での理解が深まっている場合もあるでしょう。

あなたの目で現場を確認し、一斉にではなく(ここがポイント!)、まずは一番効果が期待できそうな所から、試しに立ち上げ時間を少し遅くしてみませんか?

ここで、一斉に実施するのではないというのが重要です。なぜなら、施したところ、そうでないところを比較しながら改善を進めていくのも、運用の根拠や効果の算定の上で重要だからです。
およそ30分立ち上げを遅くするだけで、運転時間全体で見ると約5%削減できます。そんな地道な努力の積み重ねが、きっと大きな成果につながっていくのです。

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「段階ごとに精度を上げる省エネチューニング

どの建物でも、設計段階では想定される最大スペックを重視して制御用パラメータが決定されています。それが竣工した段階で初めて理論値と実測値との差が現実化することで、建物特性と設備特性の組み合わせの不具合などが把握でき、そこで、あらためてパラメータを設定することになります。

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「続ける」ことが省エネ推進

しかし、そのように調整したはずのパラメータも、いずれは建物の使用目的の変化や、利用人数の変化、設備性能の劣化などにより、適宜、調整の必要性が発生します。ここで、使用目的の変化や利用人数の大幅な変動などは目に見えてわかりますが、設備性能の劣化などは、なかなか気づきづらいものです。

このようなことから、運用段階での省エネチューニングのポイントは、

1. 現場に足を運び環境の変化を把握し、それらに迅速に適合する
2. 普段計測しているデータをこまめにチェックし、いち早く変化を発見する

など、各状態を早く・正しく「知る」ことが一番のポイントとなります。(気づくのが遅くては、新しいルールを適用できる期間が短くなり適用の効果が薄れてしまいます)計測によるエネルギーの「見える化」が、省エネにつながると言われる所以(ゆえん)は、このようなことから来ているのです。

季節や年度の変わり目には、何がしかの運用ルールの変更の必要性が発生します。それらを見逃さずに調整(チューニング)すること、そんな地道な努力こそがきっと大きな省エネの成果へと結実していくはずです。