鶴間公園と商業施設を繋ぐ高低差のあるパークプラザでは、緑あふれる空間に配された光が人をいざなう

まち全体が“パーク”となったウォーカブルなまちの誕生

郊外戸建住宅地として開発された東急田園都市線の「南町田駅」周辺は、国道16号と246号に隣接し、町田I.C.にも近い交通利便性にも優れた場所。2000年に開業された「グランベリーモール」が暫定利用期間を過ぎていたことや、駅南北の分断、自然豊かな鶴間公園の防犯性の欠如などの課題があった。このため、沿線事業者である東急株式会社と、地域を管轄する町田市は、ポテンシャルを有しながら課題を抱えるこの地の再開発を、協定によってパートナーシップを繋ぎながら進めてきた。
かつてあった商業施設と公園を分断する道路を廃して地続きにする基盤整備を行い大街区を形成。ここに駅の北口から南口、住宅地までバリアフリーで続く歩行者ネットワークが形成された。こうして、田園都市線「南町田グランベリーパーク駅」(2019年10月に「南町田駅」から改称)南側に広がる鶴間公園と、2017年に閉館した「グランベリーモール」跡地を中心とする約22haのエリアに、都市基盤・商業施設・都市公園・駅などを一体的に再整備・再構築した「南町田グランベリーパーク」が2019年11月にオープンを迎えた。
そのコンセプトは『まちのぜんぶが“パーク”となる』。歩行者ネットワークの要所要所に広場やプラザを設け、オープンスペースを繋いで、全体があたかも一つの“パーク”のような、自然と賑わいが融合するまちが創り出された。

温もりのある、まちの明かりが訪れる人たちの心を癒やす

商業施設「グランベリーパーク」は、中央に立体駐車場を据え、周囲を回遊できるような街路を形成。歩行者ネットワークの要衝には7つのプラザを設け、まち歩きが楽しめるように計画された。低層の建物を配し、歩行者通路に対する建物の角度やスケール感、建物の壁面テクスチャーも含めて均一化しないよう配慮し、歩き巡るたびに新しい発見や出会いが生まれるように意図されている。
照明計画では「人を癒やす温もりのある灯」をコンセプトに、電球色を基調として統一された。屋内の漏れ光を活かし、壁面や階段、ファニチャー、エスカレーターなどに間接照明を多用することで、柔らかな陰影を生み出す情緒あるまちが演出されている。

ファサード壁面を明るくし期待感を高めたグランベリープラザ
ファサード壁面を明るくし期待感を高めたグランベリープラザ

間接光が大階段を印象的に浮き上がらせているオアシスプラザ間接光が大階段を印象的に浮き上がらせているオアシスプラザ

緑と街の賑わいで訪れる人を迎える駅前のウェルカムプラザ
緑とまちの賑わいで訪れる人を迎える駅前のウェルカムプラザ

散策と憩いが融合するアートプラザ
散策と憩いが融合するアートプラザ

大庇をアッパーブラケットで柔らかく照射しているマーケットプラザ
大庇をアッパーブラケットで柔らかく照射しているマーケットプラザ

明るい入口が奥のシネマコンプレックス(109シネマズ)に人を導くシアタープラザ
明るい入口が奥のシネマコンプレックス(109シネマズ)に人を導くシアタープラザ

こだわりの食材を提供するギャザリングマーケットの入口
こだわりの食材を提供するギャザリングマーケットの入口

商業施設の街区間を結ぶ跨道橋のグランベリーブリッジ
商業施設の街区間を結ぶ跨道橋のグランベリーブリッジ

水景と光の演出が広がるオアシスプラザ
水景と光の演出が広がるオアシスプラザ

周辺住宅地からオアシスプラザへのアクセスポイント
周辺住宅地からオアシスプラザへのアクセスポイント

環境性能と都市景観が評価された駅・商業・公園が一体となったまち

2019年10月に東急田園都市線「南町田駅」から改称した「南町田グランベリーパーク駅」は、“駅を降り立ったところから、すべてが公園のようなまち”を実現する玄関口として、リニューアルされた。駅の南北を結ぶ自由通路に大屋根を掛けることでシンボリックな大空間を創出。構内には、滝や多様な植栽が施され、グランベリーパークへ向かう大階段にはLEDを組み込むことで、まちへの高揚感が高まる。
また、町田市、東急株式会社、東急電鉄株式会社は、「南町田グランベリーパーク」のうち約15haの申請エリアを対象として国際的な環境認証制度LEEDの取得に取り組み、2020年に申請エリアで「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証、駅舎で「LEED NC(新築部門)」のゴールド認証を取得している。LEED NDでは、歩行者ネットワークの整備によって自然と賑わいを感じながら回遊できるウォーカブルなまちづくりや、グリーンインフラを活かしたランドスケープデザイン、LEED NCでは、駅舎へのLED照明導入による省エネルギーの取り組みや雨水利用・雨水排水計画、建設時の廃材リサイクル率などが評価された。
さらに、令和2年度 都市景観大賞「都市空間部門」では、官民一体で取り組んだシームレスなまちの構造と、質の高い空間整備が高く評価され、大賞にあたる国土交通大臣賞を受賞している。
LEEDゴールド認証と都市景観大賞ともに、商業施設と公園を繋ぎ、そこに歩行者ネットワークを繋げることで、今後長きにわたって歩いてくらせるまちづくりを行うというコンセプトそのものが、高い評価を受けたといわれる。

  • LEED : Leadership in Energy & Environmental Design 米国グリーンビルディング協会によるグリーンビル認証システム。

建築設計Report vol.35/2020年11月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

一般には白色を使用する駅構内の照明も電球色で統一
一般には白色を使用する駅構内の照明も電球色で統一

鶴間公園(左)と商業施設(右)を繋ぐパークライフ・サイトの遊歩道
鶴間公園(左)と商業施設(右)を繋ぐパークライフ・サイトの遊歩道

109シネマズグランベリーパークの2階ロビー
109シネマズグランベリーパークの2階ロビー

トップライトが設けられたギャザリングマーケット
トップライトが設けられたギャザリングマーケット

外光も差し込む明るいグリーンリビングの吹抜空間
外光も差し込む明るいグリーンリビングの吹抜空間

多数のペンダントを用いたキッズディスカバリー
多数のペンダントを用いたキッズディスカバリー

防災センターの統合型セキュリティシステム
防災センターの統合型セキュリティシステム

電力監視システム ESU-BAのセンター装置
電力監視システム ESU-BAのセンター装置

南町田グランベリーパーク

所在地/東京都渋谷区渋谷
まちびらき/2019年11月
■南町田グランベリーパーク駅
事業主/東急電鉄株式会社
設計/東急電鉄株式会社、株式会社東急設計コンサルタント
施工/東急建設株式会社
■ グランベリーパーク
事業主/東急株式会社、株式会社東急レクリエーション
設計/株式会社東急設計コンサルタント、LAGUARDA.LOW ARCHITECTS,Fd Landscape,株式会社ティーハウス建築設計事務所
施工/東急建設株式会社、東急・鉄建・京王・東急リニューアル建設共同企業体

主な設備

● LEDスポットライト ● LEDベースライト ● LEDダウンライト ● LED建築部材照明 ● LEDカラー演出照明 ● LED街路照明 ● LEDアレンジ調光調色照明 ● LEDフルカラー照明 ● 統合型セキュリティシステム eX-SG ● 電力監視システム ESU-BA ● デジタルサイネージ

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