町民を迎えるエントランスは温かい光色を採用。業務エリアでは色温度が高く設定されている

災害時の危機管理機能を備えた“笑顔ひろがる交流拠点”

宮城県南部に位置する亘理町の旧庁舎は、東日本大震災の地震により被災し解体。町の行政は、2019年末までプレハブ仮庁舎で執り行われてきた。「町民の復興を優先するため役場の整備を二の次にしていたが、分散した役場機能は、来庁する町民に不便をかけ続けてきた」と同町企画財政課 新庁舎建設準備班 班長の庄司 洋氏。「新庁舎が建設された敷地は、かねてから公共ゾーンとして用意していたが、震災後には550世帯の仮設住宅の用地として使用されたこともあり、設計も着手できなかった。復興事業が順調に進展していることを踏まえ、2015年度に基本計画を策定。これを受けて町民のワークショップなども開催し、2019年11月に新庁舎と保健福祉センターが一体となった施設が竣工した」と語る。コンセプトは“笑顔ひろがる交流拠点”。町民にとって親しみやすく訪れやすい、地域に開かれた庁舎であるとともに、災害時には危機管理対応を果たす安心・安全の防災拠点と位置づけられた。来庁者が多く訪れる課を1階に配し、陽光が溢れる南側に待合スペースが設けられている。役場前にはイベント利用も可能な広い駐車場を配置。周辺では総合体育館などの公共施設整備が予定されている。

建築設計Report vol.34/2020年8月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

3階建ての亘理町役場(左)と連続した低層の保健福祉センター(右1階)は、災害時には危機管理センターと医療センターとして機能する

外光が差し込む2・3階吹抜では、昼光センサにより
ダウンライトを調光することで省エネが図られている

可動壁によって空間が仕切れる1階多目的スペース

インターネット中継にも対応できる議場

健康福祉センターの受付と待合スペース

Float Lightが採用されたホール

イベント利用も可能な駐車場に設置された街路灯

亘理町役場 / 亘理町保健福祉センター

所在地/宮城県亘理郡亘理町
事業主/亘理町
設計/菱地所設計東北支店・楠山設計 設計共同体
施工/三井住友建設株式会社 東北支店
竣工/2019年11月

主な設備

● SmartArchi: Float Light ● LEDダウンライト ● LED建築化照明 ● 昼光センサ

東北復興ソリューション

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