1号車ラウンジカーの車端からカウンターを望む

新旧の技術とデザインを駆使した特上のあかりによる“おもてなしの空間”

列車による旅が見直されている。その代表的なものが九州旅客鉄道株式会社(JR九州)が提供する、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」。その名称は、九州の7つの県を観光する7両編成の客車から、名付けられたという。ここでは、木やファブリックを各所にあしらい、和洋と新旧を融合した空間を創出。共用部照明には、さまざまな工夫がなされ、光天井や光壁、ブラケットなどが効果的に配置されている。
車両デザインを依頼された水戸岡氏はそこで提供されるべきサービスから空間デザインを読み解き、厨房の数から通路幅までが決定された。14室用意されたゲストルームはすべてがスイートルームで、内外装の意匠は各室すべて異なる。14組の乗客だけのために7両編成の列車が九州を巡る。昼はレストルームとして利用され、夜にはバーがオープンするラウンジカー「ブルームーン」では、組子細工による光壁などが用いられたジャパニーズモダンの空間。また、ダイニングカー「木星」では、インテリアを木材で統一し、光天井の下で四季折々の旬の食材が乗客を迎える。さらに、各室の特注スタンドにも酒井田柿右衛門と今泉今右衛門の陶器が用いられ、あかりによる“おもてなしの空間”が形成されている。

建築設計Report vol.11/2014年11月発行

14代柿右衛門作の特注スタンドが配された上質で落ち着きのあるデラックススイートルーム


全てオリジナルの照明器具を採用したスイートルーム


柿右衛門の洗面鉢が配されたサニタリールーム


ダイニングカー「木星」の光天井とテーブルスタンド

クルーズトレイン「ななつ星 in九州」

施主/九州旅客鉄道株式会社
設計/ドーンデザイン研究所
竣工/2013年10月

主な設備

● LED照明器具(特注) ● ナノイー

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