ブレーカー・分電盤:住宅分電盤を取り巻く歴史・環境
住宅分電盤の歴史
大正時代~
この頃は住宅分電盤という概念がありませんでした。
電柱から屋内に引込まれた電線を、磁器製カットアウトスイッチを経由し、二股ソケットに配線されているのが一般的でした。
1960年頃~(昭和35年頃~)
住宅用プラグヒューズ分電盤
プラグヒューズを鉄箱に組み込んだ住宅用の分電盤が世に出始め、住宅分電盤の幕開けとなりました。
カットアウトスイッチ搭載住宅分電盤
過電流保護器としてカットアウトスイッチを組み込んだ住宅分電盤です。
電流制限機能付ブレーカー搭載住宅分電盤
電力会社のノーヒューズ化動向に合わせ、電流制限機能付ブレーカーを搭載した住宅分電盤が登場しました。
1964年(昭和39年)
新電気事業法 制定・公布
一般用電気工作物の保安責任が電力会社から所有者や占有者に代わり、これを機に住宅分電盤が一般メーカーによって生産されることとなりました。
1965年頃~(昭和40年頃~)
安全ブレーカー搭載の住宅分電盤
一般家庭用のサーキットブレーカーであり、バイメタル式の小型で安価な安全ブレーカーを搭載した住宅分電盤が登場しました。
1970年頃~(昭和45年頃~)
電流制限器(AL)スペース付きの住宅分電盤発売
電力会社との契約用電流制限器の設置が可能なスペースを持った住宅分電盤が登場しました。
1971年(昭和46年)
電気設備技術基準に漏電遮断器の設置義務が規定
これを機に感電保護用高速・高感度の漏電保護機能付きの漏電ブレーカーを搭載した住宅分電盤が登場しました。
1972年(昭和47年)
内線規程に住宅への漏電遮断器の施設が掲載されました。
【遍歴】
1972年
対地電圧150Vを超え300V以下の電路には、漏電遮断器を施設する事。
2005年
住宅の電路には、漏電遮断器を施設する事を原則とする。
1973年~(昭和48年~)
ホームパネル部会が発足し、日本配線器具工業会に加入
現 住宅盤専門委員会 (平成14年に改称)
この後HPマークが制定され、対象となる住宅分電盤に貼付することで、漏電遮断器の取付け普及や出荷統計調査が行われています。
1978年(昭和53年)
住宅分電盤に関するJIS規格制定(JIS C 8328)
この後、工業会規格と同様に改正が行われました。
1983年(昭和58年)
内線規程に漏電遮断器(30AF)JIS互換形が掲載されました。
1990年~(平成2年~)
内線規程に中性線欠相保護機能付が掲載されました。
【遍歴】
1990年
単相3線式電路に施設する漏電遮断器は中性線欠相保護 機能付のものが望ましい(推奨)
1992年
単相3線式電路に施設する漏電遮断器は中性線欠相保護 機能付を原則とする(義務)
1995年
単相3線式電路に施設する漏電遮断器は中性線欠相保護 機能付とする(義務)
2000年~(平成12年~)
コンパクトブレーカーを搭載した住宅分電盤が登場
従来の安全ブレーカーの1/2サイズのコンパクトブレーカーを搭載した住宅分電盤が登場しました。
2004年(平成16年)
工業会による高性能・高機能住宅用分電盤認定制度開始
この認定制度により、コンパクトブレーカーなどのコード短絡保護用瞬時遮断機能付配線用遮断器が安全ブレーカーに変わり、世に広まりました。
2005年(平成17年)
内線規程改定
・コンセント回路にコード短絡保護用瞬時遮断機能付配線用遮断器 施設の推奨
・特定機器の接地極付コンセントの施設の義務化
・住宅用分電盤への家庭用雷保護装置施設の紹介
・集中接地端子施設の勧告
2011年(平成23年)
内線規程改定
・コンセント回路にコード短絡保護用瞬時遮断機能付配線用遮断器 施設の勧告
・電気自動車用普通充電回路の施設(義務)
2014年(平成26年)
HEMS対応住宅分電盤が登場
分岐電流センサ搭載し、分岐全回路計測を可能になりました。これにより電気を見える化し、快適に節電するくらしをサポートする分電盤に進化。CTレス化により大幅な省施工も実現しました。
2016年(平成28年)
内線規程追補版
・「地震時等に著しく危険な密集市街地」の住宅などには、感震遮断機能付住宅用分電盤を施設すること。(勧告)
・「地震時等に著しく危険な密集市街地」以外の住宅などには、感震遮断機能付住宅用分電盤を施設すること。(推奨)
工業会
一般社団法人 日本配線システム工業会
本会は、配線システム及び配線器具(点滅器、接続器、住宅用分電盤、開閉器、ベルその他の信号機器及びこれらの付属品をいう。以下同じ。)に関する調査及び研究、情報の収集及び提供、普及及び啓発、規格の立案及び推進等を行うことにより、配線器具工業及び関連産業の健全な発展を図り、もって産業の発展に資するとともに、国民生活の安全性の確保と生活文化の向上に寄与することを目的とする。
- ・配線システム及び配線器具に関する生産、流通等の調査及び研究
- ・配線システム及び配線器具に関する技術の調査及び研究
- ・配線システム及び配線器具に関する情報の収集及び提供
- ・配線システム及び配線器具に関する普及及び啓発
- ・配線システム及び配線器具に関する規格の立案及び推進
- ・配線システム及び配線器具に関する内外関係機関等との交流及び協力
- ・前各号に掲げるもののほか、本会の目的を達成するために必要な事業