インタビュー

業界・組織の垣根を越え 兵庫県から 「通電火災ゼロ」を発信

このたびの「令和8年熊本地震」により被害を受けられた皆さまへ、
謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈りいたします。

2026.10.22

地震がおさまって電気が復旧した時に、倒れた電気製品や破損した電源コード等が火元となり発生する「通電火災」。住民が避難していて長期間不在だったり、消火しようにも断水していたりと通常とは違う状況が重なり、通電火災は大きな被害につながるケースもあります。そういったリスクを軽減するのが、大きな揺れを感知して自動でブレーカーを落とす「感震ブレーカー」。

全国でさまざまな自然災害が頻発する中、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県において「感震ブレーカー」の啓蒙キャンペーンが行われました。キャンペーンを企画した兵庫県電設資材卸業協同組合の小林理事長と、企画に参画したパナソニックメンバーが、想いを語ります。

感震ブレーカーを流通させる

兵庫県電設資材卸業協同組合 理事長

小林 義昭さん

兵庫県電設資材卸業協同組合 理事長/小林電工株式会社 取締役会長を務める。
電材業界発展のため関西電気保安協会、兵庫県電気工事工業組合・メーカーとの連携を推進。省エネ・エコ・防災に関する情報発信やこども食堂への照明器具の提供・設置工事といった社会貢献活動にも尽力。

感震ブレーカーを提供する

パナソニック エレクトリックワークス株式会社
マーケティング本部 姫路電材営業所

安福 丈二さん

パナソニック エレクトリックワークス株式会社
マーケティング本部 姫路電材営業所 所長

桝田 晴光さん

感震ブレーカー製造メーカー各社の中心となって、啓蒙活動を牽引している。

兵庫のまちをかけめぐる約2000台の車から
感震ブレーカーへの興味の“種まき”を

兵庫のまちをかけめぐる
約2000台の車から
感震ブレーカーへの
興味の“種まき”を

キャンペーンの旗振り役となったのは、兵庫県内の電設資材メーカーや電気工事店と連携してさまざまな社会貢献を行っている兵庫県電設資材卸業協同組合。「地震の“あと”に発生しやすい電気火災対策には感震ブレーカー」のメッセージとイラストが描かれたステッカー約2000枚を配布し、組合と各社の社用車に貼付して普及活動を行いました。2026年8月〜10月に行われたキャンペーンについて、同組合の理事長を務める小林義昭さんにお話をお聞きしました。

「あのステッカーは何?」から
感震ブレーカーへの
興味につなげたい。

感震ブレーカーの啓蒙キャンペーンを行った理由についてお教えください。

1995年1月17日。忘れもしないあの日、阪神・淡路大震災が発生し兵庫県は近代都市として初めて直下型地震に見舞われました。長田区や兵庫区を中心に大規模な火災が発生したのは、皆さんもよくご存知の通りだと思います。このあたりは古い木造の家屋が密集する地域。通電火災によって出た火が瞬く間に燃え広がり、大きな被害につながったのです。

私たちは電設資材メーカーや電気工事店とともに「電気を通じて社会インフラを整える」ことを使命としていますが、災害によって被害が発生した“あと”のインフラ整備だけでなく、そもそもの被害の“発生源をなくす”取組みがより求められているのではないかと考えました。そこで注目したのが、地震発生後の電気火災対策として有効な「感震ブレーカー」です。

地震発生後におきる被害の“発生源をなくす”
取組みを模索していた小林理事長。

ステッカーを社用車に貼り付けることで期待された効果は。

ポスター掲示なども考えたのですが、より多くの人に情報を届けたいという思いがあり、機動力に期待して社用車に貼れるステッカーに。ポスターだとそこを通る人にしか見てもらえませんが、車に貼ってあればステッカーが動いてさまざまな人との接点が生まれますよね。今回は車の後ろに貼り付けたのですが、信号待ちで後続車の方に「なんだろう?」と思ってもらえたのではないでしょうか。感震ブレーカーへの直接的な興味でなくても、「そういえば大きな地震もあったな、防災バッグを確認しようかな」と思うきっかけになってくれるだけでも良いんです。まずは知る、興味を持つ、意識する。それが災害時の被害を減らす大きな一歩になると思います。

実際の営業車に貼られたステッカー。
営業活動とともに啓蒙を行っている。

「点」ではなく「面」で行うことで
電気火災を減らす効果は
もっと高まる。

啓蒙キャンペーンで大切にしたことは。

今回のキャンペーンでは感震ブレーカーのメーカー4社に加え、取り付け工事を担う兵庫県電気工事工業組合、電気設備の安全点検や保安業務を担う関西電気保安協会とも連携。防災への取組みを電設資材卸売業界だけで完結させてしまうのではなく、業界の垣根を超えて「面」で展開しようと考えました。ステッカーは約2000枚ほど制作し、当組合で500枚を使用。他に兵庫県電気工事工業組合に1300枚、関西電気保安協会に100枚、メーカーに50枚を配布しました。1台につき1枚貼り付けてもらったので、約2000台の車がステッカーを通して兵庫の街中で啓蒙活動を行った計算になります。

▼点から面へ 取り組みの広がり

感震ブレーカーを「売って終わり」ではない、その理念に共感した。

感震ブレーカーを「売って終わり」
ではない、その理念に共感した。

実は、今回のステッカーによる啓蒙キャンペーンはパナソニックさんとの打ち合わせで生まれたアイデア。老若男女の目を引くポップなデザインで興味を持ってもらおうと意見が出る中、パナソニックで使用されているなまずのキャラクターの使用もスムーズに進むように他のメーカー3社との調整を進めてくれるなど、非常に心強い存在でした。メーカーとして「製造して終わり」「売って終わり」ではなく、より人々の暮らしを間近で見つめ、どう世の中をより良く変えていくかを考える真摯な企業姿勢を感じましたね。

ポップで親しみやすいステッカーに。

兵庫県が先陣を切る。安心・安全なまちづくりへの貢献を業界の力で。

兵庫県が先陣を切る。安心・安全な
まちづくりへの貢献を業界の力で。

今後のビジョンをお聞かせください。

電設資材卸業はメーカー・電気工事店・生活者をつなぐ立場であり、「電気を通じて社会インフラをより良くする」取組みこそが当組合の存在意義。より安心・安全なまちづくりのために、例えば家電量販店に働きかけて生活者への情報発信を増やす、電気工事店と協力して感震ブレーカーをより多くの生活者に届けやすくするといった施策だけでなく、行政や教育機関に感震ブレーカーの必要性をしっかり伝えていくといった活動にも挑戦していければと思います。

また人材不足も電材業界の大きな課題です。感震ブレーカー普及による災害に強いまちづくりをはじめ、省エネやエコなど社会貢献ができる側面も積極的に発信し、働く人に社会的に意義のある仕事だと誇りを持ってもらえたらうれしいですね。

阪神・淡路大震災の経験から、感震ブレーカーの
普及に取り組まれる小林理事長。

兵庫県は阪神・淡路大震災によって大きな被害を受けた方がたくさんいらっしゃいます。「大きな災害に見舞われた私たちがやらなくてどうする!」という思いから、今回のキャンペーンを行いました。もちろん県内の多くの方が防災バッグの準備や避難場所の確認など日常的にできる対策を続けておられると思います。一方で、感震ブレーカーのような防災設備は日々進化しています。啓蒙ステッカーを見かけたらぜひ興味を持っていただき、感震ブレーカーについて知り、万一の備えをアップデートしてもらえたらと思います。

「もっと普及できるはずだ」
メーカーとして小林理事長の熱い想いを実現

「もっと普及できるはずだ」
メーカーとして
小林理事長の熱い想いを実現

立場を越えて協力し、情報を発信する。感震ブレーカーを普及させるために。

立場を越えて協力し、情報を
発信する。感震ブレーカーを
普及させるために。

メーカーとして長年感じていた、感震ブレーカー普及の遅さ。各地で地震が起きるたびに、もどかしい思いをしていました。そんな中、兵庫県電設資材卸業協同組合さまの強力なリーダーシップのもと、電材業界・電気工事店・メーカーが業界や組織の枠組みを超えて連携しながら啓蒙キャンペーンを行うことができ、大きな手応えを感じています。感震ブレーカーはそのまちに住む人たちの命・財産・安全安心を守るためのものです。今回のように多様な立場の人が手を取り合い情報発信を行う意義は非常に大きいのではないでしょうか。

メーカーとしての想いを胸に、感震ブレーカーの
普及・啓蒙活動に取り組む安福さん。

安心・安全な暮らしを守るのはメーカーの使命。住宅に不可欠な設備となるよう仕掛けていく。

安心・安全な暮らしを守るのは
メーカーの使命。住宅に不可欠な
設備となるよう仕掛けていく。

今後、住宅用火災警報器と同じように「住まいには絶対必要なもの」として普及していくために、感震ブレーカーによってどのような被害が防げたのかをリサーチするなど地に足をつけた活動を続けていきたいと思います。省エネや快適性などを叶える電気設備と比べ、感震ブレーカーは地味な電気設備。しかし安心安全な暮らしが守れなければ、省エネや快適性は叶えられないのです。兵庫で始まった今回の横断的なキャンペーンを追い風に、今後も普及のための活動を継続していきます。