劇場・ホール・観覧施設などの最適な計画・運用を支援する設計評価手法 「View-esT(ビューエスト)」
「View-esT(ビューエスト)」は、劇場・ホール・観覧施設などの客席価値を可視化することで、最適な計画・運用を支援する設計評価手法です。
従来の評価手法ではできなかった評価基準を数値化して定義することで客席価値を可視化し、多様化時代に配慮した見やすい客席の設計を支援します。
「View-esT」:Viewing Evaluation System for Theatre and Venue
「View-esT」の評価・計測データとVR技術により客席価値を可視化
「View-esT」は、従来の評価手法ではできなかった評価基準を数値化して定義することで「客席価値の可視化」ができる設計手法です。
「見え方総合評価プログラム」、「一体感および親密性の計測・数値化・評価プログラム」、「照明配置評価プログラム」で構成しています。
「見え方総合評価プログラム」は、従来存在しなかった舞台・ステージ等の見え方に関する明確な評価手法・設計プログラムです。
多様化時代にあったさまざまな身体寸法の視点に対応、複数の目標を多数の視点で同時検証することが可能で見やすい観覧施設の設計を実現します。
また、設計前に客席からどのように舞台が見えるかを評価することも可能です。
「一体感および親密性の計測・数値化・評価プログラム」は、抽象的なため理解しづらい一体感や親密性を数値で具体化することで、良質な劇場の創出に活用できます。
「照明配置評価プログラム」は、照明・映像設備等に対し、照射対象から見た光源位置を半球面上に投影した図上で評価ができるため、より効果的な照明配置を実現可能です。
これらの「View-esT」の評価・計測データをVR技術を活用し可視化するためのシステムが「劇場等計画支援VRシステム」です。VRの活用により、直感的な検証や計画ができます。
「View-esT」は、観客者にとって一番大事な「観る」という要素を大事にし、劇場建築の学識経験者と劇場設計のプロフェッショナル(株式会社ラムサ 代表取締役 西 豊彦 氏)と共に、よりよい観戦環境の実現に取り組んだことにより確立した設計評価手法です。
見え方総合評価プログラム
見え方総合評価プログラムでは、客席から舞台面・アリーナ等競技面の見え方に関する明確な評価手法・プログラムを確立しました。
多様化時代にあった観客側のさまざまな身長の視点に対応し、複数の目標を多数の視点で同時に検証することができます。
座席配列は格子状・千鳥状(ウロコ配列)の2種類に対応が可能です。
これらの結果から、観客からの舞台の見え方を数値化し、設計前に客席からどのように舞台が見えるかを評価することができるため、舞台が見えやすい座席の劇場・ホール設計を容易にすることができます。
また、新設施設への設計への活用だけでなく、既存施設の評価や改修計画に応用することが可能です。
-
プログラムによる検証内容
- 前の人と眼の高さが同じ場合を評価。
- 前の人より眼の高さが低い場合を評価。
- 前の列の頭越しの評価。同時に前の人の肩越しで二列前の頭越しの評価。
-
舞台・客席空間の断面条件について(客席側見え方による評価)
観客側見え方による評価結果(例)
-
評価結果
横の四つの枠は左から、前の人と、
- 眼の高さが前列と同じ場合
- 同じく前々列 頭越し(例えば、前も後ろも背丈の同じ男性)
- 眼の高さが前列より低い場合
- 同じく前々列 頭越し(例えば、前が男性で後ろが背の低い女性)を示し、上下の行は、1階席前方から後方へさらに2階へ続く。
表中の色が列ごとに大きく異なる場合はばらつきが大きいことを示し、適切に調整すると均一な色に近づく。
劇場など計画支援VRシステム
「View-esT」の評価・計測データを、VR技術を活用し可視化することで、直感的な検証や検討ができます。
視覚化することで、劇場・観覧施設だけでなく、スタジアム・アリーナ施設などの計画・設計前段階に重要な要素の検討・判断・共有が可能です。
3Dデータならではの自由な視点移動や、指定した座席から見え方も容易に確認可能です。例えば、視点や周りの座の観客の身長を考慮した確認ができるほか、手すりなどの見えがかりを確認し、設計にフィードバックすることもできます。断面からの確認で、直観的な問題把握も容易にできます。
またVRによって可視化されたデータは、将来的な活用イメージとして、客観的な視点でチケッティングやマーケティング等に応用が見込まれる。事前に購入予定の座席からの見え方をスマートフォンやパソコンなどからVRイメージで確認し、客観的な評価等をもとに納得した上でのチケット購入へとつながります。
舞台が見えづらい環境なども、設計段階で事前に確認可能
-
前席の人の頭で見えにくい
-
手すりなどに遮られて見えにくい
-
断面からの確認で、前席の人の頭で見えづらい状況など、直観的な問題把握も容易
観客側から舞台上の一点が観客の頭越しに見えるかどうかを設計段階から確認可能
「View-esT」導入のイメージ
-
設計段階に入ってからではなく、劇場建設の企画構想・基本計画の段階から、保守・改修まで、各段階で「View-esT」で評価、およびVRで可視化することで、どのように客席から舞台が見えるかなどを事前に把握することができます。また、竣工後の施設運用イメージなどを計画段階から評価できるため、劇場設計へスムーズに反映することができます。