JIS Z9110:2024 照明基準総則の改正内容
2024年12月20日に、照明に関するJIS Z 9110:2024 照明基準総則が改正されました。
改正の趣旨
今回の改正では、JIS Z 9125に集約された屋内照明に関する照明要求事項、JIS Z 9126 に集約された屋外照明に関する照明要求事項、及びJIS Z 9127に集約されたスポーツ照明に関する照明要求事項をこの規格から削除し、これらの個別分野の照明基準の規格との規定の重複を解消しました。
また、JIS Z 9111及びJIS Z 9116もこの規格を引用していることから、これらの照明基準関連規格で共通して規定すべき照明要求事項をこの規格に集約しました。詳細は、各JISを参照ください。
- JIS Z 9111:2022 道路照明基準
- JIS Z 9116:2022 トンネル照明基準
- JIS Z 9125:2023 屋内照明基準
- JIS Z 9126:2021 屋外照明基準
- JIS Z 9127:2020 スポーツ照明基準
照明基準総則 JIS Z9110
- 日本工業標準調査会HP JIS検索へリンク規格番号に「Z9110」と入力し検索すると、ご覧いただけます。
主な改正内容
1. 一般原則
諸活動又はその場の雰囲気に対する欲求を、より少ない資源及びエネルギーで実現することを目指すことに加えて、利用者の生理的状態及び行為に合わせて照明光を制御すること、照明光が周辺に及ぼす悪影響をなくすこと、製造から廃棄に至る過程で有害物質を拡散させない等を推奨しています。
2. 照度段階
旧規格では、照度段階を1 lxから20 000 lxまでの25段階を規定していましたが、関連する個別分野での照明基準の規格で規定されている最小照度が0.5 lxであること、また、最大照度は、JIS Z 9125における保健医療施設の手術部位の照度に注記として10 000 lx~100 000 lxとの記載があることから、10 000 lxとしました。
3. 照度均斉度
本規格では、昼光と人工照明との併用を適正化することを推奨していますが、昼光を活用する際には、昼光が入射している面とそうでない面との照度の差が大きくなり、照度均斉度が小さくなるおそれがあることから、昼光の入射によって照度均斉度が小さくなることを許容する規定を設けました。また、タスク・アンビエント照明を用いた場合も、室内全体における照度均斉度は低くなる傾向があり、照度均斉度の基準は作業領域ごとに定めることとした上で、異なる活動領域又は異なる作業領域間での照度の差は不快な暗さを感じさせないように注意することとしました。
4. 光色
同一空間内又は隣接する領域において光色の差を設ける場合においても、視覚的な不快感を伴わないことを確認することとし、視覚的な不快感を伴わない範囲において光色に差を設けることを許容しています。
5. 演色性
照明用光源の多くがLED化されてきており、平均演色評価数(Ra)が70以上となってきていますが、環境として必要な基準を定めるのがよいとの考え方と、JIS Z 9126ではRaの最小値を20としていることから、最小値は20とすることとしました。
6. 非常用照明
非常用照明に関する基準は建築基準法及び消防法で規定されていることから、旧規格においては、非常用照明を適用範囲から除外していましたが、照明システムへの通常の電力供給が断たれたときに動作するという目的を明示した上で、関連する法規に従って設置するという規定を設けました。
- (参考文献)
- JIS Z 9110:2024照度基準総則