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照明経済比較計算

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はじめに

照明設備は、その照明効果が適切であることは勿論、経済性も重要な要素です。照明設備を計画するに際して、量的、質的に同程度の効果の照明方法が、何種類か考えられる場合には、それらの照明設備の年間経費を計算し、経済性を考慮して比較検討します。ここで説明する計算方法は、「日本照明工業会 技術資料114-1996」、「日本照明工業会 ガイドA139-2023」に基づいています。

蛍光灯設備、屋内および屋外のHID照明設備に対する記載が中心となっていますが、LED照明器具についての経済計算を行う場合は、本資料に準じて行ってください。

また、価格など、その値が明確になっているものに関しては、その値を採用してください。

基本計算式

経済比較は、平均照度当たりの1年間の照明費により行います。

1 lx当たり照明費=照明費(固定費+年間電力費+維持費)/平均照度

1.固定費

固定費=ランプ価格を除いた設備費×償却係数

(1)償却係数

減価償却率(1から残存価格率を引き、耐用年数で除したもの)、年利率、諸税公課料率及び保険料率で構成されたものです。本資料では、耐用年数を10年、残存価格率を0.1とし、償却係数は0.14とします。

(2)設備費

設備費は次式によります。
設備費=照明器具、ランプ、安定器等の価格+配線取付工事費

なお、配線取付工事費は、表1表2及び表3に示します。

(備考)
配線工事費は、原則として、分電盤以降(分電盤を含む)で算出します。ただし、スポーツ施設などのように照明の所要電力の比率が高いものの場合は、電源変圧器(変電室)まで含めてもよい事になっています。

表1:蛍光灯器具の配線取付単価

(円/台)
器具の種類 設計照度(lx)
500未満 500以上
じか付け形 32形x2 18,000 15,000
埋め込み形 32形x2 23,000 21,000
じか付け形 40形x2 19,000 15,000
埋め込み形 40形x2 27,000 24,000
じか付け形 110形x1 33,000 28,000
埋め込み形 110形x1 48,000 40,000
じか付け形 110形x2 41,000 35,000
埋め込み形 110形x2 59,000 51,000

(備考)
対象としたランプ種別は次のとおりとする。(以下同様)
32形:FHF3240形:FLR40SFLR40S/36110形:FLR110HFLR110H/100

表2:屋内照明用HID器具の配線取付単価

(円/台)
器具の種類
(ランプ光束による分類)
設計照度(lx)
500未満 500以上
20,000 lm未満 48,000 34,000
20,000 lm以上 40,000 lm未満 70,000 50,000
40,000 lm以上 80,000 lm未満 116,000 81,000
80,000 lm以上 137,000 96,000

表3:屋外スポーツ照明用HID器具の配線取り付け単価

(円/台)
器具の種類 取り付け費
投光器 330,000

(備考)
道路、街路照明施設の場合、照明器具以外の付帯設備(ポール、基礎等)の価格の占める割合が照明器具費に比較して大きいため、必要に応じてその都度見積もるものとする。

2.年間電力費

年間電力費は、原則として次式により求めます。

年間電力費=電気料金×照明器具の消費電力×取付台数×年間点灯時間

(1)照明器具の消費電力は次によります。

安定器別置の放電灯器具の場合は、ランプの定格消費電力に安定器の電力損失を加えたものとします。器具の銘板に入力電力の表示がある場合は、その値を用います。

なお、白熱灯器具の場合は、使用ランプの定格消費電力の和とします。ただし、変圧器又は調光器を有する器具は、その電力損失を加えたものとします。

(2)年間点灯時間は、用途に応じ異なりますが、原則として表4によります。

表4:年間点灯時間

(時間/年)
使用場所 年間点灯時間
体育館・会議室 1,500(5時間/日)
事務所・工場(一般)・店舗 3,000(10時間/日)
工場(2交替) 5,000(17時間/日)
工場(全日操業) 8,000(約24時間/日)
グラウンド 600(3時間/日)
道路 4,000(11時間/日)
住宅(居間) 2,000(5.5時間/日)

(3-1)住宅照明分野の電力料金の目安単価

住宅照明分野の電力料金表示や照明経済計算に用いる電力料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の定める値を用います。

最新の単価は全国家庭電気製品公正取引協議会ホームページに記載の値とします。

(3-2) 非住宅照明分野の電力料金の単価

非住宅照明分野の電力料金表示や照明経済計算に用いる電力料金の単価は、下記のとおりとします。

電力料金単価28円/kWh(税抜)【日本照明工業会ガイドA139-2024より消費税抜き試算】

注) 消費税率の移行期にあたる場合は税率を記載する。

3.維持費

維持費は次式により求めます。
維持費=交換ランプ費+ランプ交換人件費+照明器具清掃費+修繕補修費

(1)交換ランプ費

集団交換の場合ランプ費は次によります。
交換ランプ費=ランプ単価×年間ランプ交換数

年間ランプ交換数=年間点灯時間×総使用本数/ランプ寿命×0.7

(備考)
ランプ交換時期は、ランプ寿命の70%として計算します。

(2)ランプ交換人件費

集団交換の場合のランプ交換人件費の単価は、表5によります。

表5:ランプ交換人件費の単価

ランプの種類 蛍光ランプ HIDランプ
32形 40形 110形

場所及び取付高さ

オフィス・工場 3.5m未満 200 200 400 800
3.5m以上 400 400 800 1,100
屋外スポーツ施設 10m以下 1,900
20m以下 3,900
30m以下 11,000

(備考)
国道等の道路照明器具の場合は、1灯当たり19,000円とします。

(3)照明器具清掃費

照明器具の清掃費は次の各項によります。

(a)取付高さ3.5m未満のオフィス、工場は表6によります。

表6:照明器具の清掃費(3.5m未満)

(円/台)
ランプの種類 蛍光ランプ HID
ランプ
32形×2 40形×1 40形×2 40形×3 110形×1 110形×2

照明器具

露出形 1,150 900 1,150 1,800 1,800 2,250 850
下面開放形 1,500 1,150 1,500 2,250 2,250 2,950
カバー付き形 2,250 1,800 2,250 3,450 3,450 4,450

(b)取付高さ3.5m以上のオフィス、工場は表7によります。

表7:照明器具の清掃費(3.5m以上)

(円/台)
ランプの種類 蛍光ランプ HID
ランプ
32形×2 40形×1 40形×2 40形×3 110形×1 110形×2

照明器具

露出形 1,800 1,350 1,800 2,650 2,650 3,450 1,100
下面開放形 2,250 1,800 2,250 3,450 3,450 4,450
カバー付き形 3,450 2,650 3,450 5,250 5,250 6,800

(備考)
国道等の道路照明器具の場合は、1灯当たり12,500円とします。

(c)屋外スポーツ照明の場合は、表8によります。

表8:屋外スポーツ照明用器具の清掃費(3.5m以上)

(円/台)
照明器具 取り付け高さ 清掃費
投光器 10m以下 1,850
20m以下 3,900
30m以下 11,000

(4)修繕補修費

使用期間中に発生する透光性カバー、ソケットの破損、安定器交換等の照明器具補修費並びに配線補修費として、年間で、ランプ及びグロースタータの価格を除いた設備費の1%(0.01)を見積もることとします。

4.使用単価のスライド

本技術資料に規定する計算に使用する単価は、平成7年度を基準としており、今後の各年度における計算使用単価は、変動に応じ附属書に記載した使用単価スライド方式により算出します。

照明経済計算に用いる使用単価スライド方式(附属書抜粋)

(1)適用範囲

ここに示す方式は、蛍光灯照明設備、屋内及び屋外のHID照明設備に共通して適用する。

(2)基準年

各種単価の基準年は、平成7年度とする。平成9年以降の単価設定の場合は、基準年の単価に設定前年度の人件費及び材料費の変動指数を乗じて求める。

(3)変動指数

変動指数は次の各頂による。

(3)-1 人件費

労働省政策調査部編「毎月勤労統計要覧」(毎月勤労統計調査年報)によるものとする。使用指数は、産業別賃金指数「きまって支給する給与(事業所規模30人以上)」の建設業(設備)の平均指数を使用する。

(3)-2 材料費

日本銀行統計局発行の「物価指数年報」によるものとする。使用指数は国内卸売物価指数「基本分類、類別指数」の総平均指数を使用する。

(4)単価算出

各種単価の算出は、次の各頂に示す算出式による。

(4)-1 配線取付単価

設定年の配線取付単価=
(基準年人件費単価×きまって支給する給与平均指数(設備)+基準年材料費単価×国内卸売物価総平均指数)×1.15+照明器具単価(時価)×0.15

(4)-2 ランプ交換人件費単価

設定年のランプ交換人件費単価=基準年ランプ交換人件費単価×きまって支給する給与平均指数(設備)

(4)-3 照明器具清掃単価

設定年の照明器具清掃単価=基準年照明器具清掃単価×きまって支給する給与平均指数(設備)

(4)-4 各種単価の設定

(1)~(3)の算出式で求めた各種単価は、以下の方法によりまるめ、各設定年単価とする。

(a)配線取付単価……1,000円未満切上げ。
(b)ランプ交換人件費及び照明器具清掃費……100円未満50円単位に切上げ。

(5)配線取付単価の計算に使用する照明器具単価

配線取付単価の計算に使用する照明器具単価は、各設定年における代表機種のカタログ価格とする。

5.経済計算比較例

この経済計算例は、下記の条件で行っています。

  1. (a)

    建屋の床面積 A=30m×60m=1,800m2
    光源高さH=7m
    室内の反射率 天井30%、壁10%、床10%

  2. (b)

    電源は200Vとします。

  3. (c)

    作業面の平均照度は、500 lxとします。

  4. (d)

    年間点灯時間3,000時間とします。

  5. (e)

    年間照明器具清掃回数は1回とします。

  6. (f)

    償却係数は14%とします。

  7. (g)

    修繕補修費は、設備費の1%とします。

  8. (h)

    照明経済計算方法及び各種単価は、
    「日本照明工業会 技術資料114-1996」、「日本照明工業会 ガイドA139-2023」によります。

天井高H=7m(工場の照明経済比較例)

照明設備の種類
LED高天井照明器具
照明設備 部屋の間口 X (m) 30
部屋の奥行 Y (m) 60
部屋の面積 X・Y=A (m2 1,800
光源の取付高さ h1 (m) 7.0
計算面高さ h2 (m) 0.0
光源の高さ H=h1-h2 (m) 7.0
室指数 Kr 2.86
照明器具 NYM20212
公共型番:LSR2M-200、
LSR2AM-170
安定器
器具光束 F (lm) 21,300
ランプ数/器具 L (本/台) 1
照明率 U 0.88
保守率 M 0.81
設定照度 Eo (lx) 500
器具台数 N (m) 60
平均照度 E (lx) 504
設備費 a 器具単価 (¥) 196,700
b 吊具単価 (¥)
c ランプ単価 (¥)
d 安定器単価 (¥)
e 配線取り付単価 (¥) 50,000
f 器具設備単価 (a+b+d+e) (¥) 246,700
g 使用台数 (台) 60
h 総設備費 (f×g) (¥) 14,802,000
i 償却係数 (%) 14
j 設備償却費/年 (h×i×0.01) (¥) 2,072,280
初設備費 f' 器具設備単価 (a+b+c×L+d+e) (¥) 246,700
h' 総設備費 (f'×g) (¥) 14,802,000
電力費 k 器具電力(含安定器) (kw) 0.112
l 総電力 (g×k) (kw) 6.72
m 電力単価 (¥/kwh) 28
n 年間点灯時間 (hr) 3,000
o 総電力費/年 (l×m×n) (¥) 564,480
ランプ交換費 p ランプ個数 (個) 60
q ランプ寿命 (hr) 60,000
r ランプ交換数/年 (n×p÷q) (個)
s 交換ランプ費/年 (c×r) (¥)
t 交換人件費/1灯 (¥)
u 交換人件費/年 (r×t) (¥)
v 総交換費/年 (s+u) (¥)
清掃費 w 清掃回数/年 (回) 1
x 清掃費/1台 (¥) 1,100
y 清掃費/年 (g×w×x) (¥) 66,000
補修費 z 修繕補修費 (h×0.01) (¥) 148,020
まとめ j 設備償却費/年 (¥) 2,072,280
o 電力費/年 (¥) 564,480
v ランプ交換費/年 (¥)
y 清掃費/年 (¥) 66,000
z 修繕補修費/年 (¥) 148,020
年間照明費 年間照明費 (j+o+v+y+z) (¥) 2,850780
1x当り照明費 (¥) 5,656

(備考)

  • 掲載の情報は2023年12月のデータに基づいています。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  • 器具と光源が一体となっているLED照明器具では、表記できないところを(―)で示しております。
  • 価格は全て税抜価格です。

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