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ルーバ照明の計算法

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計算法の概要

図1に、計算例となる部屋の断面を示します。

部屋は

(a)ルーバより上のルーバ懐
(b)ルーバより下の室内

の2つの部分に分かれます。

照明器具から出た光は、ルーバの上面に到達し、ルーバを透過し、室内の作業面へ到達します。
したがって、照度計算は、

  1. (イ)照明器具から出た光束がルーバ上面に到達する比率
  2. (ロ)ルーバの上面に到達した光束がルーバの下面に透過する比率
  3. (ハ)ルーバの下面を光源と仮定して、この面から出た光束の作業面に到達する比率

を求めることによって、(イ)、(ロ)、(ハ)の積として求めることができます。

図1:ルーバ照明

(イ)~(ハ)は、それぞれ次のように呼ばれています。

(イ)ルーバ懐内に取り付けられた照明器具のルーバ懐内における照明率 Uc
(ロ)ルーバ効率 η
(ハ)ルーバ照明の固有照明率 Uo

Uoの求め方は、4項を参照。

以上の記号を用いて、ルーバ照明の照明率Uは
U=ηxUcxUo
で与えられます。

E=F×N×U×M/A=η×F×N×Uc×Uo×M/A

となります。ここに

F:ランプ光束
N:ランプ本数
M:保守率
A:部屋の床面積

とします。

ルーバ懐内における照明率

ルーバ懐内に取り付けられた照明器具から出た光束がルーバ上面に到達する比率を求めます。これはルーバ上面の照度を求める計算になります。

照明器具の通常の照明率表を使用して計算します。

天井懐の反射率に従って、天井・壁の反射率を定めます。

床面は、ルーバの反射率(ルーバ羽根の塗装の反射率でなく、下の室内空間を含めたルーバの等価的な反射率)です。非常に小さいと考えられますが、弊社の照明器具の照明率表を用いる場合は、実用上10%としてください。

ルーバ懐の室指数を考えます。通常ルーバ懐内の天井高さは非常に低いので、室指数は大きくなります。

たとえば、懐内の天井高さを1mとしますと、部屋の大きさが10mx10mとしても、室指数Kcは、

Kc=10×10/(10+10)×1=5

となります。

ルーバの配光

ルーバについての配光測定データはあまり多くありません。よって理論に基づく計算値を用いるものとします。
平行ルーバおよび格子ルーバについて、それぞれ説明します。

1.平行ルーバ1)

平行ルーバは、蛍光灯の管軸となる方向に装着するものとします。このときA-A断面の配光は、ルーバの影響を受けずBZ5になるものとします。B-B断面の配光はルーバによって決まり、これは拡散光が平行ルーバを透過するときの配光にほぼ等しくなると考えます。

拡散光が平行ルーバを透過する場合の配光およびデータについては、桑原1)によるデータを参考にします。

A-A断面をBZ5、B-B断面を上記配光とした場合の、ルーバの配光のBZ分類と、ルーバ効率を表1に示します。

なお、平行ルーバの遮光角4種類について、種々のルーバ羽根の反射率に対応したルーバ効率を図2に示します。

任意の遮光角、ルーバ羽根の反射率に対するルーバ効率についてはこの図より読み取ります。

図2:平行ルーバのルーバ効率

表1:平行ルーバの効率と配光のBZ分類(傾斜角0°)

遮光角(度) ルーバ羽根の反射率(%) ルーバ効率(%) 配 光(BZ分類)
14 90 89 BZ 5
70 86 BZ 5
50 84 BZ 4
0 79 BZ 4
29 90 78 BZ 4
70 74 BZ 4
50 69 BZ 4
0 61 BZ 4
45 90 65 BZ 4
70 57 BZ 3/0.6/BZ 4
50 51 BZ 3/0.6/BZ 4
0 42 BZ 3/0.6/BZ 4
54 90 52 BZ 4
70 42 BZ 4
50 36 BZ 4
0 28 BZ 4

(注)BZ分類で、BZ3/0.6/BZ4とあるのは、室指数が0.6より小さい部屋ではルーバの配光はBZ3に、0.6より大きい部屋ではBZ4に分類されることを示します。

●ルーバ羽根の厚さによる補正

上記はルーバ羽根の厚さが0のときの理論値です。羽根の厚さが薄いときは問題ありませんが、厚いときは次の補正係数αを乗じます。(図3参照)

α=a-w/a

図3:ルーバ羽根の厚さによる補正

2.格子ルーバ2)3)

ルーバ形状は正方形とし、高さが正方形の一辺の長さに対して種々に変えてあります。この配光と効率および配光のBZ分類を図4に示します。

図4:格子ルーバの配光、BZ分類と効率

仕上の反射率 90% 80% 70% 60% 50% 0%

ルーバ効率(%)

φ=26.6°

65

BZ3/2.3/BZ4

61

BZ3

58

BZ3

55

BZ3

52

BZ2/2.8/BZ3

42

BZ1

φ=36.9°

54

BZ3

49

BZ2/0.7/BZ3

45

BZ2/1.8/BZ3

42

BZ2

39

BZ1/0.7/BZ2

29

BZ1

φ=45°

46

BZ3

40

BZ2/1.4/BZ3

36

BZ2/8.5/BZ3

32

BZ1/1.1/BZ2

29

BZ1/3.5/BZ2

20

BZ1

φ=51.3°

40

BZ2/0.7/BZ3

33

BZ2/2.3/BZ3

29

BZ1/0.9/BZ2

25

BZ1/2.3/BZ2

22

BZ1

15

BZ1

φ=56.3°

35

BZ2/0.9/BZ3

28

BZ2/2.8/BZ3

23

BZ1/1.1/BZ2

20

BZ1/6.0/BZ2

18

BZ1

11

BZ1

(注)φ遮光角(度)

各ルーバごとの、ルーバ羽根の反射率を変えた場合のルーバ効率を図5に示します。また反射率が80%のルーバで遮光角を変化させた場合のルーバ効率を図6に示します。これらは、任意の反射率や遮光角をもったルーバのデータを求める際に使用します。

図5:格子ルーバのルーバ効率

図6:d/aとルーバ効率の関係

●ルーバ羽根の厚さによるルーバ効率の補正

上記はルーバ羽根の厚さが0のときの理論値です。羽根の厚さが薄いときは問題ありませんが、厚いときは次の補正係数βを乗じます。(図7参照)

β=(a-w)の2乗/aの2乗

図7

ルーバ照明の固有照明率

ルーバの下面を光源と考えて、ここから単位光束が出た場合に、作業面でいくらの照度が得られるかの比率を固有照明率(Uo)といいます。固有照明率を求めるために、最初にルーバより下の室内の反射率を定めます。
但し天井の反射率は、ルーバ懐内における照明率(Uc)を求める際に考慮していますので、ここでは0%とします。

次にルーバより下の室内の室指数を計算します。例えば床からルーバ下面までの高さを2.8m、作業面高さを0.8mとし、部屋の大きさを10mx10mとしますと、室指数Krは、

Kr=10×10/(10+10)×(2.8-0.8)=2.5

となります。

ルーバの配光は種々ですが、実用上いくつかの代表的な配光に分類して、この配光ごとに固有照明率を準備するのが便利です。

この分類としてBZ分類が便利です。平行ルーバでは表1、格子ルーバでは図4によってこのBZ分類を定めます。

この時、ルーバより下の室指数によって分類の変わる場合もありますのでご注意ください。

各BZ分類ごとの固有照明率を表2に示します。通常ルーバの配光はBZ5以下ですので、表2にはBZ1~BZ5の固有照明率を示します。

表2:ルーバ天井の固有照明率

反射率
(%)
天井 0 0
70 50 30 10 0
10 0

BZ分類

BZ1

室指数

.60 .60 .54 .50 .46 .45
.80 .69 .64 .60 .57 .56
1.00 .75 .71 .67 .64 .63
1.25 .80 .76 .73 .71 .70
1.50 .83 .80 .77 .75 .74
2.00 .87 .85 .83 .81 .80
2.50 .90 .88 .86 .85 .84
3.00 .92 .90 .89 .88 .87
4.00 .94 .93 .92 .91 .90
5.00 .95 .94 .93 .92 .92
7.00 .96 .96 .95 .94 .94
10.00 .98 .97 .97 .96 .96

BZ2

室指数

.60 .56 .49 .44 .41 .39
.80 .65 .60 .55 .52 .51
1.00 .71 .67 .63 .59 .58
1.25 .77 .73 .69 .66 .65
1.50 .80 .77 .74 .71 .70
2.00 .85 .83 .80 .78 .77
2.50 .88 .86 .84 .82 .81
3.00 .90 .88 .86 .85 .84
4.00 .93 .91 .90 .89 .88
5.00 .94 .93 .92 .91 .91
7.00 .96 .95 .94 .93 .93
10.00 .97 .96 .96 .95 .95

BZ3

室指数

.60 .51 .44 .39 .35 .33
.80 .61 .54 .50 .46 .44
1.00 .67 .61 .57 .53 .52
1.25 .72 .68 .64 .61 .59
1.50 .76 .72 .68 .65 .64
2.00 .82 .79 .76 .73 .72
2.50 .85 .83 .80 .78 .77
3.00 .88 .86 .84 .82 .81
4.00 .91 .89 .87 .86 .85
5.00 .93 .91 .90 .89 .88
7.00 .95 .93 .92 .92 .91
10.00 .96 .95 .94 .93 .93

BZ4

室指数

.60 .48 .41 .35 .31 .29
.80 .57 .50 .45 .41 .39
1.00 .63 .57 .53 .49 .47
1.25 .69 .64 .60 .56 .55
1.50 .73 .69 .65 .62 .60
2.00 .79 .75 .72 .69 .68
2.50 .83 .80 .78 .75 .74
3.00 .86 .83 .81 .79 .78
4.00 .89 .87 .86 .84 .83
5.00 .91 .90 .88 .87 .86
7.00 .93 .92 .91 .90 .89
10.00 .95 .94 .93 .92 .92

BZ5

室指数

.60 .45 .37 .31 .27 .25
.80 .53 .46 .40 .36 .34
1.00 .59 .53 .48 .43 .42
1.25 .65 .60 .55 .51 .49
1.50 .70 .65 .60 .57 .55
2.00 .76 .71 .68 .65 .63
2.50 .80 .76 .73 .70 .69
3.00 .83 .80 .77 .74 .73
4.00 .87 .84 .82 .80 .79
5.00 .89 .87 .86 .84 .83
7.00 .92 .90 .89 .88 .87
10.00 .94 .93 .92 .91 .90

(参考文献)

  1. 1)桑原光雄:並列型ルーバの解析, 照学誌,48-5,pp.4-9(1964)
  2. 2)田淵義彦ほか:ルーバ照明の計算法の研究(その1)―正方形ルーバの配光の計算法の理論的検討と実測評価―,照学誌,69-2,pp.25-30(1985)
  3. 3)田淵義彦ほか:ルーバ照明の計算法の研究(その2)―ルーバ照明の計算法の理論的検討と実測評価―,照学誌,69-2,pp.31-37(1985)

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