鉄道の照明
照明計画の考え⽅
快適な駅空間を実現するためには、安全と安⼼・移動のしやすさ・使いやすさ・⼼地よさ等の視点をふまえたうえで、あらゆる利⽤者に配慮した計画を⽴てる必要があります。照明に関しても、上記を基本として各部位に求められる要件に応じた適切な照明計画が必要です。また、安全性、快適性に加え、節電性能に配慮することも重要です。
照度基準
鉄道施設の基準照度を表1に⽰します。
表1:駅施設各部のJIS照度基準
JIS照度基準(JIS Z 9110) | |||
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A級駅 1⽇の乗降客数 15万⼈以上 |
B級駅 1⽇の乗降客数 1万〜15万⼈未満 |
C級駅 1⽇の乗降客数 1万⼈未満 |
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旅客関係 | |||
コンコース | 500 lx | 300 lx | ー |
待合室 | 500 lx | 300 lx | 100 lx |
ホーム(上家あり) | 200 lx | 100 lx | 75 lx |
ホーム(上家なし) | 15 lx | 10 lx | 5 lx |
通路・階段 | 200 lx | 100 lx | 75 lx |
トイレ | 200 lx | 100 lx | 75 lx |
駅前広場 (出⼊⼝周辺) |
100 lx | 50 lx | 15 lx |
窓⼝関係 | |||
改札⼝ | 1,000 lx | 500 lx | 200 lx |
駅務室 | 500 lx | 200 lx | ー |
事務関係 | |||
駅事務室 | 500 lx | 200 lx | 200 lx |
部位別の照明の考え⽅
1.ホーム
駅利⽤者の安全を第⼀に考えた明るさを確保した上で、電⾞の待ち時間を快適に過ごすことができる光環境をつくります。
昼間、天窓等からの昼光が利⽤できる場合には、減光や間引きなどを⾃動的にコントロールすることも省電⼒の点で効果的です。
2.コンコース
改札とホームを繋ぐ動線を安全に利⽤できる充分な照度と、快適な明るさ感のある空間をつくります。
案内標識など各種表⽰板が⾒やすいことと、快適な空間であるためにグレアを⼗分に制限した照明設備であることが必要です。また、昼間時での省電⼒のために天窓などからの採光による昼光利⽤も効果的です。
3.通路・階段
段差を明確にする照明を⾏い、安全性を⾼めます。また、階段等の吹抜けでは、メンテナンス性も考慮して計画します。
⾏先案内標識が歩⾏中に確認しやすいことが必要です。また、地下道などでは、壁⾯を明るくするなどにより空間の快適性を⾼める配慮が必要です。
4.改札
⼀⽬で改札とわかる照度・明るさ感と、駅のゲートとして、利⽤者を出迎える光の演出を⾏ないます。
5.踏切
前後の道路に照明の設備された鉄道踏切道内及びその付近の照明は、横断中及び横断しようとする歩⾏者や⾞両の状況を鉄道⾞両の乗務員がよく視認できるように留意しなければなりません。また、使⽤する照明器具は、鉄道⾞両の乗務員に対するグレアをできるだけ低減するように留意しなければなりません。
6.待合室
ゆっくりと快適に待ち時間を過ごすことができる落ち着き感のある照明演出を⾏います。
7.トイレ
利⽤者が安⼼して使⽤できる明るさ感と、清潔感を感じさせる光の演出をします。LEDとセンサーを組み合わせて、省エネを図ります。
8.駅事務所・仮眠室
駅員が快適に仕事ができる明るさと均⻫度を確保します。また仮眠室では落ち着いて過ごせるよう、明るさ、光⾊、照明⽅式に配慮する必要があります。
9.駅前広場
街の顔となる広場は、駅舎や、樹⽊、モニュメントの美しく印象的なライトアップを⾏なうことにより、街の個性を演出します。
また、連絡するバスやタクシーを安全に利⽤できる照度・明るさ感を確保します。
10.駅名表⽰
駅名表⽰板のほか、⾏先案内標識など、利⽤者が遠⽅からまた歩⾏しながら確認しやすいことが必要です。そのためには、サインの輝度、⼤きさ、⾊、背景の明るさに配慮する必要があります。
光源
駅空間の多くの場所においては利⽤客や乗務員の安全性、視作業性が重視されるので、演⾊性を重視し、LED、メタルハライドランプ、⾼演⾊メタルハライドランプ、無電極蛍光ランプ、蛍光灯の使⽤が適します。また、⾞庫など、効率や寿命を重視する場合には、LED、無電極蛍光ランプを選定することが望ましいです。