明るさ確保のための設計手法
作業のために必要な明るさは、作業面の照度で検討します。
必要照度を設定し、それを確保できるような器具の配置を設計する方法とポイントを説明します。
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①照度を設定
まず必要照度を設定します。
作業空間の照度はJIS基準を参考に、適切な照度を設定しましょう。
JIS Z9110-2010 照明基準総則
※日本工業標準調査会HP JIS検索へリンク
規格番号に「Z9110」と入力して検索
照度の目安
②台数を算出
器具と必要照度と建築条件が決まれば、必要台数を計算することができます。
方法その1:照明設計アプリケーションソフトを使って計算する
- 計算条件と器具、設計照度を指定すれば、必要な台数と器具ピッチが計算できます。
- 設計図面から照度分布図を作成することも可能です。
照明設計アプリケーションソフト ルミナスプランナー
方法その2:計算式から概算する
計算式
E = 所要照度(lx)
A = 床面積(㎡)= 間口(m)× 奥行(m)
F = 定格光束(lm) ※
N = 器具台数 ※
U = 照明率
M = 保守率
※ LEDランプ(直管LED、LED電球)搭載器具の場合
F = ランプ光束(lm)
N = ランプ個数・・・2灯用器具の場合はランプ個数の1/2が器具台数
「平均照度の計算法」を詳しく見る
光束の何%が作業面に達するかを示す割合が照明率です。
点灯時間に応じて、光束低下、照明器具や内装の汚れなどにより、室内の照度は下がります。
そのため、初期状態の明るさに対する、器具清掃前かつ光束維持時間末期の状態での明るさを示したのが保守率です。
LED設計のポイント:保守率に注意する
LEDは光束維持時間が長いため、初期の明るい状態が、他光源と比較して長く続き、
照度計算の結果と実際の明るさが乖離している期間が長くなりやすいです。
照度による設計を行うときは、いつの状態の明るさを設計するのかきちんと理解しておく必要があります。
光束維持比較データ(イメージ)
計算上
1日10時間点灯×365日と換算すると3〜4年は初期照度同等の明るさを保つ計算になります。
③確認
平均照度を満足しただけでは、快適な視環境は得られません。
用途に応じて適した光が得られているか確認します。
演色性・色温度・グレアの確認
明るさ、照明効率を優先させると、演色性や色温度などが用途に適さない場合があります。
「器具選択の5つのポイント」を参考に、用途に適した器具を選定しているか、改めて確認しましょう。
光ムラの確認
作業空間では、明るさのムラが少なく、照度が均一な空間の方が快適です。
同じパワーの器具でも、配光の広がりによって、所要台数が変わります。
LEDは配光が広がりにくい特徴があるので、平均照度は確保できていても、光がムラになっている場合があります。
照度分布図を作成し、光のムラがないかを確認しましょう。
一方で、配光が広い器具は遮光角が浅くなりやすいので、遮光角にも配慮して検討しましょう。
ダウンライト配光角度 50°
全体 | |
平均照度 | 331 lx |
最小照度 | 80 lx |
最大照度 | 534 lx |
G1(最小/最大) | 0.242 |
G2(最小/最大) | 0.150 |
ダウンライト配光角度 70°
全体 | |
平均照度 | 307 lx |
最小照度 | 95 lx |
最大照度 | 390 lx |
G1(最小/最大) | 0.311 |
G2(最小/最大) | 0.245 |
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照度データ
横軸の器具からの水平距離、縦軸に器具からの高さ方向の距離をとり、器具のある鉛直断面内の直射水平面照度分布を表しています。
※保守率を1.0としています。
●直射水平面照度分布図
右)器具を真下に向けた場合の真下の直射水平面照度と、ビーム角で決まるビームの外周の直径とその位置での直射水平面照度を表しています。
横軸に器具からの水平距離、縦軸に器具からの高さ方向の距離をとっています。
左)器具を真下から35°傾けた場合のビームの中心の直射鉛直面照度を表しています。横軸に器具からの水平距離、縦軸に器具からの高さ方向の距離をとっています。
※保守率を1.0としています。
※ビーム角:集光の程度を表すもので中心光度(あるいは最高光度)の1/2の光度になるビームの開き角度のこと。
●直射水平面照度分布図