WELL認証とZEBを両立する省エネ・明るさ・グレアレスを兼ね備えた照明計画

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外観・ファサード

懐が深く印象的な木の軒天をアッパースポットライトでライトアップ

築30年を経た名古屋支店を環境配慮型ビルへと改修。自然の光や風を取り入れ、新たに加える材料には可能な限り自然素材が採用されている。使用エネルギーを改修前の50%以下に削減するZEB readyと、利用者の健康や快適性が評価され、外光利用が必須となっているWELL認証取得がテーマとされた。
外光を取り入れるため、ガラスカーテンウォールで覆われていた西向きのファサードに吉野杉の丸太を配置。窓面を2.5mセットバックしてベランダを設け、外観を刷新するとともに緩衝帯とすることで直射光の侵入を避け、ブラインドをおろさずに明るい執務空間で働ける空間とした。
これらを含む設計が評価され、WELL v2 pilot認証システムで、「WELL認証 ゴールドランク」を取得した。
軒下にはφ75のSmartArchi軒下用グレアレスダウンライトを使用。まぶしさを抑えるとともに、窓ガラスへの映り込みも抑えながら、照度を確保している。スロープにはSmartArchiのロ―ポールライトの間接光タイプを使用。人へのまぶしさを抑えつつ植栽を明るく照らしている。また、懐が深く印象的な木の軒天を植栽帯からアッパースポットライトで照らすことで、軒下空間全体を明るく浮かび上がらせている。

採用照明器具

エントランスホール・ラウンジ

無線調光システムで外光を検知し自動制御。省エネかつ心地よい空間に。

吹き抜け2階のラウンジは高ワットタイプのユニバ―サルダウンライトで床面照度を確保。無線調光システムと組み合わせて、外光の入る窓際は明るさセンサで自動制御し、無駄な明るさをカットして省エネかつ太陽の光が心地よい空間となっている。植栽はスポットライトで葉の裏から天井に向かって照らすことで天井に葉の影を映し、木漏れ日のように演出している。

採用照明器具

最上階の8階のホールは、7階の天井の形状を活かし、床が階段状になっている。天井は屋根スラブを一部撤去し、トップライトを設けて自然光が入るようにすることで、省エネと心地よさを両立。日の入り後は可変配光のスポットライトを使用。用途に合わせて配光角を変えることができるようになっている。フードを採用し、光源遮光角30°を満たすことでWELL認証のグレアの加点項目に対応している。

採用照明器具

執務室

無線調光と外光を組み合わせて消費電力を抑制。

執務室はタスク・アンビエント照明を採用し、机上面照度を500 lx程度まで抑制。WiLIA無線調光システムを導入し、昼光センサで昼光を制御することにより、消費電力を抑えている。器具にはiDシリーズのグレアセーブライトバー マルチコンフォートタイプを使用。サーカディアンリズムに影響する明るさが評価基準となるため、5000Kの昼光色タイプを採用。鉛直面照度も確保。

■執務室のWELL認証を満たす照度分布図

図1 水平面照度分布図 水平面照度分布図 計算面高さ0.8m 反射率 天井50% 壁30% 床10% 図2 鉛直面照度分布図 鉛直面分布図 計算面高さ1.25m 反射率 天井50% 壁30% 床10%

A・B両方向への輝度を抑制

輝度画像・配光形状比較イメージ
一般タイプ マルチコンフォートタイプ
A(鉛直角75°)方向の輝度分布画像 輝度分布画像 輝度分布画像

輝度抑制

B(鉛直角75°)方向の輝度分布画像 輝度分布画像 輝度分布画像

輝度抑制

配光曲線(cd/1,000 lm)暫定値


垂直A断面


垂直B断面

配光曲線の図 配光曲線の図

配光制御

  • いずれも5200 lmタイプ。下面開放型W220 NNLK42722Jとの組合せでの比較。

採用照明器具

サーガディアンリズムに配慮した照明設計

WELL認証のサーカディアンの加点取得には、一般的な照度と異なり、「等価メラノピック照度」(EML)が基準となる。
EMLとは、サーカディアンリズムに影響を与えると考えられている視細胞(ipRGCs)の感度特性を考慮した明るさの単位であり、光の分光分布によって同じ照度でもその値が異なる。
WELL認証のサーカディアンの加点取得には、9時~13時の間を150EMLを満たすように設計する必要がある。20時以降は照度を下げて良いため、省エネ性に考慮し、13時~20時にかけて照度を徐々に下げ、80~90EMLに設定した。

WELL認証について詳しくはこちら

物件情報

所在地 愛知県名古屋市中村区名駅南
施主 株式会社淺沼組
設計 株式会社淺沼組・川島範久建築設計事務所
施工 株式会社淺沼組
電気工事 株式会社ホクエー電工
竣工 リニューアル 2021年9月

「人間にも地球にもよい循環」をつくる『GOOD CYCLE BUILDING』の第一弾・フラッグシップとして、築30年の自社ビルを環境配慮型ビルへリニューアルするプロジェクト。既存躯体を活用し、自然の光・風へのアクセシビリティを高める改変を行い、新たに加える材料は可能な限り土や木などの自然素材とした。設備のテーマはZEB readyおよびWELL認証の取得。ZEBに関しては照明器具はタスク・アンビエント照明とし、机上での基準照度を500 lx程度まで下げ、昼光制御を導入することにより消費電力を削減した。WELL認証における設備計画では空気、水、光、熱、音の5項目に対して検討を行った。築30年のオフィスビル改修では国内初のWELL認証を取得した。

※WELL v2 pilotゴールド

採用照明器具

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