県産材・県産品などを活用した岐阜の新たなランドマーク
行政棟:エントランス・吹き抜け
「水面のゆらぎ」をイメージした天井造作のスリットからの光で、水のきらめきを表現
県産材の木材や和紙、タイルなどをふんだんに使用した「清流の国ぎふ」のショーウィンドーにふさわしい、建築意匠に合わせた照明計画とした。照明器具の配置の工夫や素材の持つ特徴に合わせたライティングを行うことで、その特徴を最大限に引き出した。特に低層のモールでは、「水面のゆらぎ」をイメージしたボックスが浮遊する天井造作のスリットから、「水のきらめき」を表現するライティングを行っている。
行政棟:執務空間
半埋込型の照明器具で空間への馴染みやすさと天井面の明るさ感を両立
空間への馴染みやすさと天井面の明るさ感の確保を両立する半埋込型の照明器具を特注品にて採用。照度は机上面で最低でも750 lxを確保。また、照明制御にも対応した器具とすることで省エネも実現した。
角型のデザインとすることですっきりとした印象に
(4000K/2660 lm/20.6W)
11フロアある執務室は明るさセンサを採用し、昼光利用により高い省エネを実現
議会棟:議場
膜天井を照らすことで空間全体に明るさ感を与えやわらかい光に包まれた空間に
天井の幕上部に直付ベースライトを設置し、幕全体が明るくなるよう照射。特徴的な膜天井を照らすことで、空間全体に明るさ感を与えつつ、やわらかい光に包まれた、様々な世代の方が利用しやすい議場を目指した。議会のテレビ中継にも配慮し、面発光部に下地材の影が出ないように配置している。
1階エントランス
2階情報コーナー
空間のアクティビティに合わせてライティングの手法を変えることで、利用者に配慮した空間を実現している。国内や県内外の来賓が訪れる空間は県産材の木材や和紙、タイルなどをふんだんに使用。木格子天井の間にシーリングライトを設置。エントランスの陶器の壁はアッパーライトで照らし上げることで素材感が際立つ演出に。
■シミュレーションを活用し、利用者視点で明るさを確認し、配置を検討
水平面の照度分布図だけではわかりづらい空間については、シミュレーションを活用し立体的に利用者視点で照度を確認。
シミュレーション結果を元に、グレアや明るさ感にも配慮し、より利用者視点に立った照明配置を検討した。
【行政棟】エントランス・吹き抜け
吹き抜け部分の光の届き具合や各階の明るさを確認
【行政棟】ミナモホール
舞台側・客席側それぞれの視点でのグレアや明るさなどを確認
【議会棟】議場
光膜による空間の明るさ感やテレビ中継時のグレアも確認
採用照明器具
外観・ファサード
周辺地域のランドマークとしてのファサード
「清流の国ぎふ」の象徴として県庁舎にふさわしい格式を備えながらも、周辺の住宅に配慮し、やわらかい光となるよう計画。県産スギの浮造り型枠PCによる彫りの深いアウトフレームは日射調整を兼ね、ライトシェルフを合わせて設けることで、室内へやわらかい光を届けることを実現した。隣接する警察本部の格子窓のデザインを踏襲することで、景観に統一感をもたらしている。
頂部をライトアップすることにより、夜間も周辺地域のランドマークとなるよう演出。20階展望フロアの清流ロビーを世界的なキャンペーンや国の啓発活動などに呼応したアウェアネスカラーで点灯し、活動に対する県からのメッセージを発信している。
ピンクリボン月間
ピンク色
清流の国ぎふオレンジリボン運動
橙色
社会を明るくする運動強調月間
黄色
エントランスファサードは、軒下の木ルーバーに合わせてライン照明を配置し、コンパクトに照明を納めている。
採用照明器具
物件情報
所在地 | 岐阜県岐阜市 |
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施主 | 岐阜県 |
設計 | 日建・大建・岬設計共同体 |
施工 | 行政棟:前田建設・大日本土木・TSUCHIYA・岐建JV 議会棟:大日本土木・TSUCHIYA・岐建・青協建設JV |
竣工 | 2022年9月 |
広域かつ多様な気候風土と歴史文化をもつ「清流の国ぎふ」の象徴として、県産材・県産品をふんだんに活用し、庁舎そのものが岐阜のショーウィンドーとなるよう整備。照明計画では、本敷地の特性である長い日照時間を活かし、ライトシェルフによる自然光利用に加え、執務室内に明るさ・人感センサを用いることで積極的な省エネを図っている。執務室の照明については、上方への配光特性を持つ器具を使用することで、明るさ感に配慮し快適に執務できる空間とした。
これらを含む様々な手法に取り組むことで、CASBEE Sランク・BELS ★★★★ (実施設計段階)を取得した。