自然と建築物を光で融合させた新たな手法で日本有数の観光地をライトアップ
ファサード・エントランス
特徴的な屋根のラインを光で縁取ったようなライティングで周辺環境と調和した光景に
垂木自体が光っているように見せることで、円弧を描く特徴的な屋根のラインを強調
軒下に埋め込んだシームレス建築化照明により、あたかも垂木自体が光っているかのように見せることで、円弧を描く特徴的な屋根のラインを光で縁取っている。光源を直接見せない間接光の柔らかい光により、周辺環境と調和した光景を生み出している。
エントランスの吹抜け空間では、柱の足元に小型投光器を設置し、柱周りにSmartArchiの軒下用グレアレスダウンライトを配灯することで大柱を際立たせ、天井面の照明配置を最低限にしつつも十分な明るさを確保している。
採用照明器具
博物館・ホール
間接照明を効果的に使用し、壁面・天井面を照射してやわらかな光で明るさを確保
博物館:可変配光のスポットライトで照射物に合わせた配光角に設定
宮城県松島離宮博物館には松島湾の歴史や、最古の魚竜類「ウタツサウルス」の原寸大模型が展示されている。上向きに配置した間接照明により白い傾斜天井を柔らかく照らし、明るさ感を確保するとともに、高演色Ra95の美光色スポットライトで展示物を鮮やかに照らし、床面の照度を確保。可変配光タイプを採用することで、照射物に合わせて適切な配光角で照射している。遮光フードも装着し、グレアを軽減。配線ダクトはピクチャーレールと一体とすることにより、すっきりとした空間に仕上がっている。
採用照明器具
ホール:間接照明で壁面・天井面をやわらかに照らすことで明るさ感を確保
離宮ホールは「体験・学ぶ」スペースとしてワークショップを体験できるほか、各種会議などにも活用できる多目的スペース。照度はJISZ9110の会議室の基準照度500 lxをクリアするよう設計。色温度は温白色とし、自然に近い色合いでやわらかい印象に仕上げている。間接照明により壁面・天井面を照らすことで明るさ感を担保し、傾斜天井のスリットにベースライトを納めることで、照明器具の存在感をなくしつつ机上面の基準照度をクリアした622 lxを確保している。
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■ホールの照度分布図
資料提供:ライティングラボラトリー合同会社<計算条件>
反射率:天井60% 壁50% 床30%
計算面高さ:0.75m<計算結果>
作業面平均照度 622 lx
採用照明器具
庭園
ライトアップされた岩壁・植栽・建物が池の水面に映り込み幻想的な雰囲気を演出
鮮やかにライトアップされた岩壁・植栽・建物が松島湾を模した池の水面に映り込み、幻想的な雰囲気を演出。LEDフルカラー投光器により、崖をカラーでライトアップし、松島特有の凹凸のある岩肌を引き立てている。ベースは自然な色合いの電球色~薄い青色をゆっくり交互に照射し、美しい庭園を多様に演出することで観る人を飽きさせない工夫を行っている。
■演出プログラムの一例
資料提供:ライティングラボラトリー合同会社
毎正時にアクセントとして5分間淡いレインボーカラーで動きをつけるスケジュール制御。
植栽を鮮やかに見せる高演色Ra93の彩光色スポットライトでもみじをより鮮やかに照らしている。
発注者様・設計者様・照明デザイナー様立ち会いのもと、外構器具の配置およびライトアップのカラーの最終チェックを実施した。
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■松島離宮外構プラン
資料提供
設計:株式会社菅野宏史建築設計事務所
照明デザイン:ライティングラボラトリー合同会社
採用照明器具
物件情報
所在地 | 宮城県宮城郡松島町 |
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施主 | 丸山株式会社 |
設計 | 株式会社菅野宏史建築設計事務所 |
照明デザイン | ライティングラボラトリー合同会社 |
施工 | はりま建設株式会社 |
電気工事 | 株式会社新日電業商会 |
竣工 | 2020年10月 |
宮城県松島離宮は、飲食店・物販店をはじめ、宮城県松島離宮博物館や多目的利用の離宮ホールを擁する松島観光の新拠点として、東日本大震災で被災したマリンピア松島水族館の跡地に整備された。外観は日本三景の国指定特別名勝「松島」の景観と調和を図り、漆喰調の白壁を基調とした落ち着いた雰囲気に仕上がっている。原爆ドームの設計で有名な建築家ヤン・レツル氏の設計で1913(大正2)年に開業し、松島の人々に親しまれながらも昭和43年に焼失した「松島パークホテル」を意匠的に継承。建物の中心に据えられた「レツルタワー」は、当時のホテル正面にそびえていた十角三重の塔を、遺された設計図に基づいて職人による手仕事で忠実に再現されており、松島離宮を象徴するシンボルとなっている。庭園は松島特有の崖を借景とし、様々な植栽が植えられ、四季・季節の移ろいを感じることができる。