Well-Beingなオフィスを実証

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The GEAR

「The GEAR」は、鹿島建設株式会社がシンガポール共和国で開発を進めてきた自社ビルである。これまでシンガポール内に点在していたグループ会社を集約し、アジア本社、R&Dセンター、オープンイノベーションハブの3つの機能を併せ持つ建物となっている。シンガポールでは、シンガポール建築建設局(BCA)が策定した「グリーンマーク」という制度があり、2030年までに全建物の80%でグリーンマーク取得を目標とするグリーンビルディング・マスタープランを構築している。「The GEAR」でも、グリーンマーク認証に対応した設計を行っている。

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3階:オープンイノベーション

スリットにおさまるダウンライトで、器具の存在感を感じさせず照度を確保

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オープンイノベーションフロアは、スタートアップ企業や大学などのオープンイノベーションパートナーに解放されたフロアで、交流を通じた新たなビジネスの発掘や創出、また共創が期待されるインキュベーションオフィスとして活用されている。
天井仕上面のスリットに配置されたグレアレスリニアダウンライト(DALI対応特注品)は、器具の存在感を感じさせず、まぶしさを抑え、照度を確保している。打合せスペースは照明に加えて、音・映像・空気・香りを融合させた空間を実現した。

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  • 採用照明器具

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    グレアレスリニアダウンライト
    (DALI対応特注品)
     

4階 オフィス

空間特性に呼応し、視野内の輝度をコントロールする導光板ブラケット

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仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶABW(Activity Based Working)に対応した照明が計画されている。導光板を用いたブラケットと、グレアレスリニアダウンライト(DALI対応特注品)の組合せにより、タスク&アンビエント照明を構成している。
垂直の導光板を連続して並べることで視覚に入る光の面積を増やし空間の明るさ感を確保している。また、昼光の入射に合わせて調光率を制御することで、実際の空間の照度を抑えて省エネ化を図っている。
快適な環境とエネルギー効率の高い照明を両立することで、シンガポールで最も厳しい省エネ基準の一つであるGreen Mark SLE(Super Low Energy)をクリアした。

タスク&アンビエント照明

中央に配置された「鹿島版放射パネル(KR-Panel®)※1」の両側に、タスク&アンビエント照明( ①グレアレスリニアダウンライト+②導光板ブラケット)を計画

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  • 【タスク照明】
    ①グレアレスリニアダウンライト(DALI対応特注品)

    グレアレスリニアダウンライトを特注加工し空調設備に組み込み、消費電力を抑えつつ、作業に必要な明るさを机上に届け、シンガポールのグリーンマーク認証基準に対応。

    器具画像 GM SLE(Green Mark for Super Low Energy Buildings)
  • 【アンビエント照明】
    ②導光板ブラケット

    マイクロプリズムを採用した導光板により、天井・壁・床に対し効果的な配光を実現。遠くから見た時に光が途切れることなく美しく見えると共に、十分な明るさ感を確保できるよう、建築寸法、器具寸法を設計。

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    照度 Feu
    測定値 552 lx 10.1~10.9
    基準値 > 500 lx > 8
鹿島版放射パネル※1(空調設備)(導光板ブラケットのパネル長さを十分な明るさ感を確保できるよう調整、グレアレスリニアダウンライトを特注対応して空調設備とデザイン調整)
  1. 鹿島と協立エアテックで新規開発した「自然対流促進型放射パネル(KR-panel🄬)」

連結部の検証

器具画像

日本国内では連結部の隙間を7mmとするのが一般的だが、現地の常に高温多湿な気候を踏まえ、アクリルパネルの膨張を再計算。結果として、隙間は3mmに設定。できる限り間隔を詰め、光の連続性を確保した。

  • 現地モックアップ

    現地モックアップ

  • 被験者試験

    被験者試験

輝度の検証

  • 日没前それぞれの時間帯で調光率(パネル面輝度)を変化させて検証
  • 日没後それぞれの時間帯で調光率(パネル面輝度)を変化させて検証

日没前、日没後それぞれの時間帯で調光率(パネル面輝度)を変化させて検証

資料提供:株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ

輝度の検証
凡例:明らかに眩しさを感じる/やや眩しさを感じる/やや眩しさは感じるが気にならない/眩しさは感じない

適切な輝度値は、日没前1,600cd/㎡以下、日没後700~900cd/㎡と想定

照度の検証

導光板ブラケットのみ、ダウンライトのみ、導光板ブラケット+ダウンライトの3パターンの明るさを検証し、最も効果的な導光板ブラケット+ダウンライトを採用した。

照度の検証
照度の検証 照度の検証
  • 推定計算
  • 実際の配光は最終品にて検証する必要あり
  • 2020/10/19@門真で実測した器具の配光にて計算
    (3000K、パネル出しろ190mm)

シミュレーションソフトを用いた検証

輝度検証には、リアルCGとLPSportsVR(以下、LP-VRとする)という2つのシミュレーションソフトを使用。リアルCGにて高精度な照射イメージを作成し、印象評価を実施。LP-VRでは輝度分布を作成することで、数値評価を行った。2つの異なる評価を行い、より綿密な輝度シミュレーションを実施することができた。

  • 施工後の執務室

    施工後の執務室

  • R-CG

    リアルCG

  • LP-VR

    LPSportsVR

Feu値の実測

  • 異なる時間帯、異なる複数の視点からFeu値を実測し、明るさ感を確認。Fue値10~16という結果から、標準的な明るさ感のあるオフィスにおける照明計画と言える。

    <Feu値算出方法>

    1. 視点を決める(通常カメラにて視点の記録) ⇒ 通常カメラ(iPhone)画像
    2. 同視点でFeuカメラにてRAWデータを撮影 ⇒ Feuカメラ画像
    3. 撮影したRAWデータを専用ソフトにて輝度解析 ⇒ 輝度分布画像
    4. 解析結果よりFeu値算出 ⇒ Feu値
    • 測定は以下の2つの時間帯で実施(いずれも現地時間)
      16時30分頃(昼光あり) 19時30分頃(昼光なし)
    Feuについて、詳しくはこちら
  • Feu値の実測
  • 視点1
  • 視点2

入居後の検証

【検証結果:入居6か月後の居住者アンケート(回答者68名)】

  • ①導光板照明の評価

    適切な明るさと感じている割合:95.6%、適切なまぶしさと感じている割合75.0%
  • ②グレアレスリニアダウンライトの評価

    適切な明るさと感じている割合:91.2%、適切なまぶしさと感じている割合77.9%

採用照明器具

器具画像
導光板ブラケット(特注対応)

参考類似品:
LEDデザインベースライト「Bracket Type」

器具画像
グレアレスリニアダウンライト
(DALI対応特注品)

参考類似品:
LEDリニアグレアレスダウンライト

物件情報

所在地 シンガポール共和国 チャンギビジネスパーク
施主 Kajima Development Pte.Ltd.
設計 KAJIMA DESIGN
照明デザイン 株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ
(Lighting Planners Associates)
施工 Kajima Overseas Asia(Singapore)Pte. Ltd.
竣工 2023年3月

採用照明器具

器具画像
導光板ブラケット(特注対応)

参考類似品:
LEDデザインベースライト「Bracket Type」

器具画像
グレアレスリニアダウンライト
(DALI対応特注品)

参考類似品:
LEDリニアグレアレスダウンライト

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