舞台と一体となった臨場感ある客席を演出
客席壁面演出
特徴ある壁面デザインと一体となった光の旋律(リズム)の創出
客席後壁と側壁は、公演のエネルギッシュな雰囲気をマグマに例え、火山岩に柱状の割れ目が応じる「柱状節理Columnar Joint」をデザインモチーフとして建築した。そのPCで作られた壁面パネルの小口面を照射することで、建築と一体となった 光の施律(リズム)を創り出している。
また設置位置に関しては、CG検証を重ねながら照明配置を決定した。
壁際に設置した特注のアッパーライトで床面近くから上部を照射
壁際の照明はアッパーライトで、すべて特注器具。床面近くから上部に向かって、客席後壁・側壁のPC板の小口面を主に照射し、特徴的な意匠を際立たせた。
壁面パネルの小口を照らす照明計画
器具設置に際して現場で確認しながらグレア対策も含め、約100台の照明器具を1台ずつ最適な角度に調整した。角度の異なる壁面パネルに応じて、水平方向の照射角度も調整を行った。
下記3つのタイプを計画した。
①床埋込型:床レベルの歩行の妨げにならない納め方
②BOX型:筐体の設置が目立たない部位の納め方
③デザインBOX型:来館者の目に触れる部位の、新たにデザインされた筐体による納め方
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風間詠里可氏
株式会社竹中工務店
東京本店 設計部
企画設計グループ -
劇場ホール外観の特徴である、舞台と観客の熱エネルギー(マグマ)によりツイストしたイメージに呼応し、客席後壁と側壁は火山岩に柱状の割れ目が生じる「柱状節理columnar joint」をデザインモチーフとしています。
そこへ照射する照明器具は、外観のツイストのイメージを重ね合わせ「岩壁足元にある小石」をイメージし、極カコンパクトな安全性にも配慮した丸みの硲びたデザインにしました。
今回發田さん武居さんはじめパナソニックの皆様のこ協力で、特注品と既製品を上手くバランスさせ、
東京ガーデンシアターに相応しい客電照明デザインを追求することができました。 この場を借りて感謝申し上げます。
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パナソニック担当
發田 隆治
照明デザイン部 -
パナソニック担当
武居 知裕
照明デザイン部
効果的な照明を実現するために、シミュレーション、試作実験を実施
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CG(LSR)によるシミュレーション
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外観ペーパーモデルによる実験
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最終試作品による実験
壁面PC板小口面を効果的に照明できるように照射方向を壁面に傾斜させた形状。さらに様々な壁面高さに合わせて傾斜角度を変えられる設計に。また、幅20㎝の小口面に光が重点的に照射されるようにルーバーを設置し、小口面以外への光をカットした。
客電照明演出
プロローグからエピローグまで一体感と臨場感あふれる客席を演出
天井の客席用照明と壁面演出照明を連動させて調光操作
開演前のプロローグから終演後のエピローグまで、一体感と臨場感溢れる客席であることを意図して照明演出を行った。照明演出はシーンをあらかじめ設定し、客電照明卓や舞台脇照明盤からオペレーターが使いやすく、それぞれの状況を再現できるようにした。
天井の客席用照明と壁面演出照明は、連動させて一つのシーンを構成。調光操作でシーンを変化させられるように計画。客電照明は細かく回路を分けて、徐々にフェードインもしくはフェードアウトする動きのある演出も可能な標準シーンを設定した。
【標準シーン】
シーン1:ダウンライト全点灯<動きなし>
シーン2:入場中・退場中<動きなし>
シーン3:着席~開演(全消灯)<15秒の動きあり>
シーン4:全消灯<動きなし>
シーン5:全消灯~休憩<15秒の動きあり>
シーン6:全消灯~退場<10秒の動きあり>
シーン7:ランダムフラッシュ<繰り返しの動き>
シーン8:フロー<繰り返しの動き>
シーン5の例(徐々に明るくなります)
物件情報
所在地 | 東京都江東区有明 |
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施主 | 住友不動産株式会社 |
設計 | 株式会社竹中工務店 |
施工 | 株式会社竹中工務店 |
電気工事 | 株式会社関電工 |
調光関連工事 | パナソニックLSエンジニアリング株式会社 |
竣工 | 2020年3月 |
東京の有明に、日本のミュージックシーンを牽引する新たな殿堂が誕生。最大収容人数約8,000人の劇場型イベントホール「東京ガーデンシアター」。
客席は囲み型3層バルコニー構成となっている。
劇場ホールの照明は、通常大きく舞台照明と客電照明に分けられている。
「東京ガーデンシアター」では更に、客電照明を3つに分け、1.客席用照明、2.壁面演出照明、3.作業灯の構成としている。
開演前から終演後までを、舞台と一体化した臨場感あふれる客席を照明演出でつくりあげた。