レイヤーの重なりと藍色の光が、阿波の文化を感じさせる照明デザイン
パネルデザイン
水の「泡」と魚の「鱗」をモチーフに奥行きのある光の重なりとランダムな光の動きを演出
デザインコンセプトを「歴史の海を漂う光」とし、日本人の心に深く根付く「重ねの文化」から、光のレイヤーを重ねて表現。古来より阿波とかかわりの深い水の「泡」と魚の「鱗」をモチーフにした。アルミパネルにフルカラーライン照明を組み合わせてライトアップすることで、奥行きのある光の重なりとランダムな光の動きを演出している。
■パネルデザイン
気泡の重なりを1つの大きな円とし、その円の重なりを連続させて鱗を表現。
パネルを連続して繋げることで、鱗のイメージを両端まで連続させている。
パネルが橋梁全体を覆うことで、昼間の景観も特徴的な美しい姿を見せている。
■レイヤーデザイン
2枚のパネル、2本のフルカラーライン照明を使用し、重ねてライトアップすることで光の重なりを表現。パネルの穴は角度によって見えるレイヤーが変化し、光の色と動きによって色とりどりの表情を見せることができる。光源は両方ともRGBWで、通常シーンでは手前(外側)が藍色、奥(橋側)が季節の色。
(春:桜色 夏:水色 秋:黄色 冬:白)
■CGシミュレーションやモックアップで見え方を確認
遠景 | 中景 | 近景 | |
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CG | |||
実写 |
遠景・中景・近景のそれぞれの見え方をCGによりシミュレーションを行った。また、実寸大のモックアップを用意し、実際の色味や色の透け方、模様の出方などを確認していただいた。
ライトアップ
象徴的な「藍」色と、季節を彩る色を組み合わせて、四季の風情と伝統を表現。
■基本の演出(通常シーン)
点灯プログラムは、基本の演出4パターンと動きのある時報演出4パターンの計8パターンで、春・夏・秋・冬の四季を表現。
それぞれイメージパースを用意し、光の色、変化、表情を確認した。
富田橋が架かる新町川はかつて、藍染の作業をしていたことから、象徴的な「藍」色を四季の色のすべてに組み合わせることで、徳島の伝統や地域性と、四季の風情を表現している。
■時報演出
季節ごとの時報演出のイメージ
春【春の訪れ】:桜の開花から葉桜、周囲の花々の開花の演出
夏【鳴門の大渦】:波の流れ、白波よるダイナミックな自然の演出
秋【眉山の紅葉・黄葉】:青々とした眉山の風景が秋の訪れとともに変化する演出
冬【冬の訪れ】:しんしんと降る雪から、吹雪・凪の自然の厳しさの演出
■今回のご提案の流れ
オリエンテーション・お打ち合わせ | オリエンテーションに同席させていただきコンペの要件をヒアリング・現地調査実施 など |
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プレゼンテーション準備 | コンセプト立案・CGシミュレーション・プレゼンテーション資料作成・モックアップ制作 など |
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プレゼンテーション本番 | プレゼンテーション実施 |
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採択・実施設計・施工 | 照明器具の施工・演出プログラム作成 など |
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アフターサポート | 演出運用の確認・器具の定期メンテナンス |
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【コンペの際のプレゼン資料】
ご要望を伺い、デザインコンセプトをご提案。それを実現するための照明演出や、技術のご提案などをさせていただいた。
CGシミュレーション等を通じて、完成イメージのわかりやすさを心掛けた。
物件情報
所在地 | 徳島県徳島市 |
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施主 | 徳島市 |
提案及び照明設計 | 四国管制工業株式会社 |
照明デザイン | パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 |
施工 | 株式会社徳島エムテック |
竣工 | 2022年1月 |
徳島市では、地場産業であるLEDのアピールと魅力的なまちづくりを兼ねて、ひょうたん島に架かる橋などを光の芸術作品として整備するLED景観整備事業を数年前より進めており、富田橋は6カ所目となる。富田橋のライトアップは、古来より阿波とかかわりの深い水の泡と魚の鱗をモチーフにしており、アルミパネルにフルカラーライン照明を組み合わせてライトアップすることで、奥行きのある光の重なりとランダムな光の動きを演出。また、アルミパネルのデザインは、気泡の重なりを1つの大きな円とし、その円の重なりを連続させることで鱗を表現。橋梁全体を覆うように連続して設置し、昼の景観にも特徴的な姿を見せている。点灯プログラムは、基本の演出4パターンと動きのある時報演出4パターンの計8パターンで、春・夏・秋・冬の四季を表現した。