存在感と透明感を感じる「森の光風」をイメージして駅舎をライトアップ

閉じる

外観:近景

「森の中を風が吹き抜ける情景」を演出

文化と芸術が一つの風となり森の中を軽やかに舞う情景をコンセプトとした駅舎のライトアップを計画。調光率の異なる光を左から右に緩やかに流すことで、森の中を吹き抜ける光風を表現。商業施設などに見られるダイナミックな演出と差別化するために、流れるスピードに配慮し、やわらかさ、存在感、透明感を演出した。また、暗い印象になりすぎないように調光率や光の幅を調整した。季節に合わせて色温度も変化させ、秋から春にかけてはあたたかみのある電球色、夏は涼しげな白色でライトアップしている。 (10月~5月は2700K、6月・9月は3000K、7月~8月は4000K)
※光風…晴れ上がった春の日にさわやかに吹く風のこと

外観:遠景

駅舎とロータリーをシームレスにつなぐ

駅舎内のベース照明と駅前ロータリーの照明の色温度は3000Kに統一し、駅舎とロータリーとをシームレスにつながるように設計。日没前後の1時間はルーバーのライトアップを季節によって異なる色温度で全点灯に固定し、演出の開始を予告するために駅舎を際立たせている。(※10月~5月は2700K、6月・9月は3000K、7月~8月は4000K)
日没後~深夜までは40%~100%に調光し3種の形の異なる波が流れるようにライトアップ演出。演出終了となる深夜0時からの1時間は同様に季節によって異なる色温度で再度全点灯に固定。駅舎の存在感を改めて示した後、30秒かけてフェードアウト(消灯)している。

【照明演出内容およびスケジュール】

時間帯
日中 日没前後 日没30分後~24:00 24:00~25:00 25:00~日中
時期 10月~5月 消灯 2700K
全点灯
2700Kで演出。
上記A,B,Cの異なる3種類の波形がランダムに散りばめられた5分間の演出が、15分に1回の間隔で、田端方から東京方に向かって流れる。
2700K
全点灯
消灯
6月 消灯 3000K
全点灯
3000Kで演出。
上記A,B,Cの異なる3種類の波形がランダムに散りばめられた5分間の演出が、15分に1回の間隔で、田端方から東京方に向かって流れる。
3000K
全点灯
消灯
7月~8月 消灯 4000K
全点灯
4000Kで演出。
上記A,B,Cの異なる3種類の波形がランダムに散りばめられた5分間の演出が、15分に1回の間隔で、田端方から東京方に向かって流れる。
4000K
全点灯
消灯
9月 消灯 3000K
全点灯
3000Kで演出。
上記A,B,Cの異なる3種類の波形がランダムに散りばめられた5分間の演出が、15分に1回の間隔で、田端方から東京方に向かって流れる。
3000K
全点灯
消灯
  • 〈人の動線に立ち駅舎を見た写真〉
  • 〈輝度分布〉
  • 【人の動線に沿って駅舎を見た際の輝度値[cd/㎡]を測定】

    平均輝度は1.02[cd/㎡](Feu値:0.99)であり、ライトアップされたルーバーの輝度は1~5[cd/㎡]の範囲内(紫色)で設計し、点字ブロックと同等の輝度値におさめ、グレアに配慮した。
    また、Feu値の0.99という値も暗すぎず、「歩道・街路」「建築外構」のどちらの基準においても標準的な値となっている。

  • 【Feuの目安】

駅舎2階展望テラス

グレアに配慮しながら木調の外装を効果的にライトアップ

鉄製のルーバーは木調でひし形とすることで、駅舎の内側と外側の両方から光の効果を感じられるように工夫されている。場所ごとにルーバーの傾きを変化させ、上野の森の玄関口にふさわしい景観となるよう自然に調和する外装とした。
店舗前通路のベース照明は3000Kの色温度に統一し、木々の温かみを表現。また、鏡面反射板のダウンライトを採用し、グレアに配慮すると共に器具の存在感を抑えることでルーバーを強調している。

  • ルーバー間は特注品の調色LEDブラケットを採用。駅舎の外から器具を見上げた先の直視グレアに配慮して、遮光フードを設置。発光面に雨水などが貯まらないように水抜き穴を設けている。器具1台で両側に配置されたルーバーを効率的にライトアップするため、器具の中心に反射板を設けた。また、ルーバーの下部も照射できるように乳白パネルを追加。消灯時にLEDの点光源を目立たせない効果も。メンテナンス性も考慮し、光源、電源共に交換対応が可能。

  • グレアに配慮し、駅舎の屋上でルーバーを固定しているH形鋼に特注品の調色LED据置灯を設置。より前方に光が飛ぶように反射板を光学設計。器具内の光源は水平より30度上方に傾けることで、効率的に前方への光を取り出せる構造とした。器具上面には透明アクリルパネルを設けて耐候性を確保。器具下面には水抜き穴も設置した。

店舗前の通路のダウンライトは、通路の真ん中ではなくやや店舗側に設置。ルーバーから距離を離すことで、ダウンライトの光がルーバーのライトアップに影響しないように配慮している。

  • 連絡通路にはスポットライトを設置。 通行者の目線から器具は見えないよう配慮しつつ、足元の明るさはしっかり確保している。

■調色LEDブラケット配灯図<新築エリア> ※画像をクリックいただくと別ウィンドウで拡大表示されます。

資料提供:東日本旅客鉄道株式会社

■調色LEDブラケット配灯図<改修エリア> ※画像をクリックいただくと別ウィンドウで拡大表示されます。

資料提供:東日本旅客鉄道株式会社

■調色LED据置灯配灯図<新築エリア> ※画像をクリックいただくと別ウィンドウで拡大表示されます。

※調色LED据置灯は新築エリアのみ

資料提供:東日本旅客鉄道株式会社

物件情報

所在地 東京都台東区上野七丁目1番1号
施主 東日本旅客鉄道株式会社
電気システムインテグレーションオフィス(旧東京電気システム開発工事事務所) /
東京建設プロジェクトマネジメントオフィス(旧東京工事事務所)
設計 株式会社JR東日本建築設計 / 日本鉄道電気設計株式会社
照明デザイン 株式会社フェノメノン ライティング デザイン オフィス
施工 鉄建建設株式会社
電気工事 日本電設工業株式会社
竣工 2020年4月(新公園口) / 2021年7月(公園口)

日本屈指の文化・芸術施設が集まる上野恩賜公園への玄関口となる、JR上野駅公園口。移設・改修および増築工事が実施され、新たな公園口駅舎が完成した。外装に木調の鋼鉄製建築ルーバーを設置し、調光調色のLED照明器具でライトアップを行うことで、森の中を軽やかに舞う風の情景を演出。憩いと芸術が重なり合う場所として、先進でありながらどこかやわらかく、存在感と透明感を感じる「森の光風」を表現している。
自動改札機の増設や、総合案内カウンター・展望テラス・トイレを新設、エキュート上野の新店舗6店舗も開業した。
新しい公園口駅舎の前は、道路整備事業(東京都・台東区) により道路がロータリー化され、歩行者空間となっている。

採用照明器具

調色LEDブラケット

※ダイナワン特注仕様にて対応

調色LED据置灯

※アーキライン特注仕様にて対応

軒下用グレアレスダウンライト

※セミオーダー品にて対応
(現行品はSmartArchi)

パナソニックの電気設備のSNSアカウント