東京湾に光り輝く幻想的な夜景をライトアップ
ホーム階
ゆりかもめの玄関口として、新しさと親しみを感じる光の演出でお出迎え
柱上に投光器照明を設置しアーチ状の屋根をフルカラーに美しく照射
お台場エリアヘ通ずる「ゆりかもめ線」の入り口である新橋駅。期待を胸に向かうお客様の気持ちを高め、また多くの人を呼びこむことを目的に、美しく光の演出ができるようにご提案。ホーム階に、LEDフルカラー投光器を設置し、アーチ状の屋根を左右から照らし上げ、光ののびをつくることで天井面をカラフルに演出することができた。
光源は、赤(R)緑(G)青(B)白(W:5000W)から構成されるLEDモジュールを採用。従来の赤、青、緑色LEDに加え、白色LEDにより演出することで、パステル色を採用し柔らかな空間作りを目指した。一灯あたりの消費電力は39Wで全光束約2000lmとなっている。
水平面照度はJIS墓準を満たしつつ、照明制御システムにより調光制御を行った。演出時には必要照度を保ちつつ演出が綺麗に見える照度まで減光する設計とした。
通常時:平均照度 415lx(調光率 80%)
演出時:平均照度 308lx(調光率 50%)
採用照明器具
柱と照明器具が一体化。光が見えない遮光板設計で安全性と快適性を両立
投光器照明を柱の上に設置する際、照明器具はこの特製の取り付けポックス内に設置。柱と取り付けボックスのデザインを統一することでボックス自体を目立たなくした。ポックスはまたメンテナンスを重視した開放構造に。照明器具は、真上に照射するようにレンズを調整した。
演出のシミュレーションを重ね、現場ではモックアップ実験を繰り返した。実際にモックアップの際、屋根と灯具が近く、天井面に光だまりができてしまいダイナワンのレンズを外す特注対応で問題を解決した。結果、拡散性が高まり、天井面を均ーに照らすことにつながった。
放熱穴より光源が見えないように遮光板を設置
臨海副都心エリアでのアウェアネスカラーライトアップ運動に参加
臨海副都心では、社会運動への支援および賛同のメッセージを発信すると同時に、地域の活性化を目的としてアウェアネスカラーライトアップを行っている。ゆりかもめ新橋駅でも、時期に合わせて用意した演出パターンのSDカードに差し替えることで、アウェアネスカラー演出をしている。
シミュレーターを活用し、演出時の色を1つ1つお客様と整合しながら決めていった。
内容 | メッセージ | アウェアネスカラー |
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ピンクリボンデー | 乳がんの予防・啓発 | ■ ピンク |
グリーンリボンデー | 臓器移植への理解と普及 | ■ グリーン |
オレンジリボン運動 | 児童虐待防止 | ■ オレンジ |
パープルリボン運動 | DV・暴力根絶 | ■ パープル |
世界糖尿病デー | 糖尿病の撲滅 | ■ ブルー |
世界エイズデー | エイズの理解・支援 | ■ レッド |
イエローリボン運動 | 国際障害者権利条約締結日(批准日) | ■ イエロー |
シミュレーターで器具ごとの色域を見せながら、お客様の求める色味の落とし込みを行った。
エスカレーター・階段エリア
建築に溶け込む照明設計。線路や歩行者への影響を考慮したグレアレス構造
透明ガラスにサッシを入れて開放感を保ちつつ、光の演出を実現
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エスカレーターエリア照明器具位置
階段エリアでは、建築化照明タイプの演出照明を設置した。ホーム階と同様に光源は、赤(R)緑(G)青(B)白(W:5000W)から構成されるLEDモジュールを採用。1モジュール長さ282mmとなり、建築に合わせて2〜4モジュールを組み合わせて配置し、ガラス窓を均等に照らすように設計した。
ガラス面にサッシを組み込んで、ガラス窓にも色が映るように工夫した。ガラスヘの映り込みを改善するためグラデーション加工のセラミックガラスを採用。ガラスの特長である開放感を保ちつつ、光の演出を可能にできた。
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通常時:平均照度 199lx(調光率 80%)
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演出時:平均照度 124lx(調光率 60%)
採用照明器具
モックアップでサイズ、角度の検証を繰り替えし、遮光板を設置して駅利用者に配慮
演出だけではなく、駅利用者に配慮し、遮光板を設けることで直接光源がみえないグレアレス構造に。モックアップで何度も遮光板の角度、長さを確認し、歩行者目線の高さ(1.5m)から灯具が見えない角度135°、長さ13cmという仕様を決めた。
照明器具の構造や塗装を建築とそろえることで、建築に溶け込むように設計。器具の存在感をおさえることで、空間の快適性を高められた。
モックアップを用いた現場検証でお客様と照明環境を整合しながら、照明器具の調整・特注対応を検討
■遮光板角度可変機能の検証
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遮光板 傾けなし
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遮光板 5°傾け
■発光部パネルの検証
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透明(透過率99%)
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ケシ(透過率65%)
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乳白(透過率50%)
物件情報
所在地 | 東京都港区 |
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施主 | 株式会社ゆりかもめ |
設計 | 株式会社日永設計 |
施工 | パナソニックLSエンジニアリング株式会社 |
電気工事 | 株式会社京王設備サービス |
竣工 | リニューアル2019年8月 |
束京駅周辺や豊洲などの臨海エリアからお台場へのアクセスに便利な「ゆりかもめ」。車両は、コンピュータ制御による自動運転方式を採用しており、レインボープリッジを渡り、新橋から豊洲を繋いでいる。ゆりかもめ新橋駅は、東京臨海新交通臨海線の始発駅となり、一日約3万5千人が利用している。
新橋駅のイメージカラーである新橋色を用いたアーケードで新橋を象徴する建物となっている。
駅の改修工事の際に、地上階の階段とホーム階にLEDフルカラー投光器とアーキラインを導入し、期間限定の特別演出ライトアップを可能に。変化し続ける街、多くの外国人観光客で賑わう路線の玄関口として、新しさと親しみを感じる駅舎になっている。