リニューアルコンテスト2025 大賞全国初の公民連携ZEB化改修プロポーザルによるESCO事業
~小林市養護老人ホーム慈敬園ZEB改修事業~
株式会社九南様[宮崎県 都城市]
- 評価のポイント
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- ESCO事業や補助金活用の提案により、自治体の財源課題を解決
- 既築公共施設のZEB化により脱炭素化に貢献。公民連携した全国初のZEB化事例としても話題に
- 地元企業のコンソーシアムによる地域経済の活性化
- ウォークスルー診断やEMSの活用・分析による継続提案
市の資料からお困りごとをキャッチ
ウォークスルー診断を経てZEB化を提案
弊社は昭和23年に宮崎県で創業し、今年で創業78年を迎えます。本社は都城市に、本店は宮崎市にあり、福岡、熊本、鹿児島、沖縄、東京にも支店や支社を構えています。本社とは別にショールーム「キュウナンプラス」を構えており、お客様に実際に商品をご覧いただきながら、ご提案をしています。
また、弊社は宮崎県内唯一のエネマネ事業者で、国家資格である「エネルギー管理士」を取得している社員が3名在籍し、省エネ診断やCO2削減のコンサルティングを得意としています。近年ではZEBに力を入れており、昨年、ZEBプランナー登録も果たしました。
私は、入社してから3年間、空調管工事部で設計積算業務を担当してきましたが、4年目からは省エネ事業推進部で補助金申請業務や省エネ診断を担当しています。入社7年目で今回の事例を担当させていただき、発表の場をいただけたことは大変光栄です。
さて、今回のリニューアル事例「全国初の公民連携ZEB化改修プロポーザルによるESCO事業~小林市養護老人ホーム慈敬園ZEB改修事業~」について、ご紹介させていただきます。
お客様は宮崎県の小林市様です。小林市は人口約4万1,000人の小さな町で、人口減少に伴う税収や交付金等の収入減少、2050年ゼロカーボンシティ宣言に向けたCO2削減、公共施設の総合管理計画に沿った設備改修の推進といった課題がありました。全国の多くの地方自治体様にとっても共通の課題ではないかと思いますが、こうした課題を日々の営業活動の中で、市のご担当者様から弊社の担当者が直接お聞きすることもあれば、市の資料をホームページからダウンロードして読むなどして課題を知り、弊社ができることはないかを皆で考えました。
今回の事例につながる弊社の提案の歩みとしては、2018年にまず慈敬園を含む市の10施設のウォークスルー診断を行い、省エネ効果が期待できる市営プール、文化会館、道の駅の3施設の設備改修を提案しました。そして、2022年に、慈敬園に対してZEB補助金等の活用による空調・電気・給湯設備の設備改修を提案しました。この頃、ちょうどパナソニックの京都ビルがZEB化改修をした時期で、市の職員の方も興味を持っておられ、パナソニックと共に「ZEB可能性調査」を実施したところ、建築躯体を活かしたZEB化が可能であることがわかりました。
民間資金型のESCO事業によるZEB化改修を地元企業4社によるコンソーシアムで実現
全国初の事例として話題に
市の方でも小林市養護老人ホーム 慈敬園の改修の財源についてはいろいろと模索されておられましたが、補助金対象外の設備改修費用の捻出方法として、ESCO事業の活用が最適であると判断されました。
2024年にプロポーザル公募があり、弊社を含む4社の地元企業がコンソーシアムを結成して応募し、採択されるに至りました。
ESCO事業とは、既存の施設の省エネルギー改修を民間事業者が請け負い、省エネルギー効果を保証する事業のことで、省エネルギー診断や改修工事、運転・維持管理など、省エネルギーに関する包括的なサービスを提供します。
この事業は、ZEB化改修をシェアードセービングス型(民間資金型)のESCOで実現した全国初の事例として、話題になりました。また2025年には、環境省の令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金に採択され、総事業費の約半分を補助金で賄うことができました。
太陽光、蓄電池、LED照明、空調、換気、給湯、BEMSの導入により、宮崎県で初めて、公共施設としてのZEBリーディングオーナーに登録、ZEB Readyを達成することができました。
慈敬園には元々、太陽光発電が搭載されていましたが、故障していて発電できない状態であったためリニューアルしました。また、今回初めて蓄電池を導入したことで、災害時の電源確保や、福祉避難所としての機能強化にもつながりました。
空調設備に関しては、更新前は居室にはGHPが採用されていましたが、EHPに更新することで脱炭素化につながりました。共用部にはZEB対応ビル用マルチエアコン、パッケージエアコンを採用し、居室には、高効率ルームエアコンを採用しています。通常、ルームエアコンは補助の対象外ですが、高効率タイプを採用することで補助対象となりました。換気設備については、ZEBに必要な全熱交換器を採用しています。
照明設備に関しては、会議室等にiDシリーズのウィズリモやPiPitを採用し、センサを併用することで外光を取り入れながら自動で調光することでさらなる省エネ化を実現しています。
■民間資金型(シェアードセービングス型)
ESCO事業の仕組み
ZEB化改修に採用された主な設備
(パッケージエアコン室外機)
屋外用照明については、街路灯、ローポールライトともにカエルミナを採用することで工期の短縮化を図りました。
多目的ホールには、避難時の対応として照明器具が調光できるように調光器を採用しています。舞台照明もLED化することで、フルカラー対応となりました。
BEMS設備はEmanage(エマネージ)と多回路エネルギーモニタを採用しています。エネルギーを見える化し、分析・改善することで、さらなる省エネ化が図れます。
お施主様側の成果としては、エネルギーの電化による脱炭素化、光熱費の削減、福祉避難所としてのレジリエンス強化、の3点が挙げられます。地元企業により手掛けられたことは、地域経済の活性化という観点から企業側と自治体の両者にとって有意義であったと考えます。そして弊社にとっては、提案から今に至る一連の中で、私を含む若い社員が経験を積むことができ、スキルや提案力が向上したことが何物にも代えがたい成果であると考えています。
最後に、ZEB化の意義についてお話しします。今回のZEB化は建築躯体を触らず、設備改修だけで達成しました。つまり、設備工事会社だけでZEB化ができる、設備工事会社にとってのビジネスチャンスです。建築費が上がって新築工事が停滞する昨今だからこそ、ZEB化改修工事は、取り組むべき仕事であると考えます。
今後の展開としては、市の他の施設や周辺自治体への水平展開を考えています。小林市の議会でも他施設のZEB化改修事業についての質問があり、同様の事業に積極的に取り組んでいくと市長も答弁されました。今回のノウハウを活かし、引き続き取り組んで参ります。
お施主様の声
小林市 健康福祉部
長寿介護課
主幹 永野 真吾 様※
ZEB化を検討していた時にタイミングよく提案していただき、ESCOに補助金を組み合わせる方法も教えていただいたおかげで財政的にかなり助かりました。
メンテナンス体制が地元業者でしっかり組まれていたことも評価のポイントです。
ガス代・電気代、CO2排出量も予想以上の削減効果でかなりの手応えを感じています。通常であれば約1年はかかる規模の工事を短期間でやっていただき、役所側の人的負担も軽減されて、助かりました。本当にスムーズにおまかせできたと感謝しています。※所属・役職などの情報はすべて取材当時のものです。
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お施主様の声
社会福祉法人 コスモス会
小林市養護老人ホーム 慈敬園
施設長 河野 佳世 様
九南さんには入居者の生活面や安全面に様々な面で配慮していただきながら、短期間で工事を完了していただけて心から感謝しています。
当施設は福祉避難所指定を受けているので、災害時には入居者53名の方々のケアと地域の方々の受け入れがあり、停電に対する不安がずっとありました。今回太陽光発電と蓄電池が整備されて不安が払拭され、安心につながりました。空調は集中管理ができるようになったことで、入居者の健康を守る面でも職員の業務効率面でも改善しました。