2020年5月 ESCO(エスコ)事業※1により県内の道路照明灯をLED化。県内の事業者間協力や地域間の情報交換により、県内の事業者が大規模受注に成功。

[栃木県]
県北外灯LED化有限責任事業組合

  • 株式会社藤光電気工事 代表取締役 井上 康広様

    株式会社藤光電気工事
    代表取締役
    井上 康広

  • 大進電気工事株式会社 代表取締役 菅野 健二様

    大進電気工事株式会社
    代表取締役
    菅野 健二

  • 株式会社石川電工 代表取締役 田中 隆男様

    株式会社石川電工
    代表取締役
    田中 隆男

  • 藤井産業株式会社 常務取締役 関 勝利様

    藤井産業株式会社
    常務取締役
    関 勝利

  • アクリーグ株式会社 専務取締役 磯山 貴志様

    アクリーグ株式会社
    専務取締役
    磯山 貴志

  • アクリーグ株式会社 常務取締役 蜂須 嘉一郎様

    アクリーグ株式会社
    常務取締役
    蜂須 嘉一郎

[栃木県]
とちぎ県央地区道路照明灯LED化 合同会社

  • 株式会社美工電気 代表取締役 冨塚 典孝様

    株式会社美工電気
    代表取締役
    冨塚 典孝

県北外灯LED化有限責任事業組合様は、2018年に県北地域の道路照明約5,000灯のLED化事業を栃木県より受託。
2019年にはとちぎ県央地区道路照明灯LED化合同会社様が、県央の道路照明約6,500灯のLED化事業を栃木県より採択されました。
大規模なLED化工事および設置後10年間の保守・維持管理業務、省エネルギー量の検証業務を受託した背景には、電気工事・管工事・塗装工事の3業種が一丸となった取り組みや、地域間の情報交換による協力体制などがあります。
これらが功を奏し、地元企業による受注に成功されています。

「ESCO事業による栃木県道路照明灯LED化」動画

那須塩原市の道路照明イメージ
那須塩原市の道路照明。県北外灯LED化有限責任事業組合様にてLED化。
宇都宮市の道路照明イメージ
宇都宮市の道路照明。とちぎ県央地区道路照明灯LED化合同会社様にてLED化。

地元の強みとソフト提案で県北の
約5,000灯のLED化をESCOエスコ事業にて受注

―まず2017年に県北・県南に分けて、公募型プロポーザル方式によるESCO事業の募集がありました。県北では、「県北外灯LED化有限責任事業組合(LLP※2)」として応募され、受注に至りました。

藤光電気工事 井上様:栃木県設備業協会の県北地区の加盟社が話合いをし、12社が参加することになりました。代理店の藤井産業様とソフト開発会社のアクリーグ様にも入っていただき、県北外灯LED化有限責任事業組合を組織して、応募しました。
栃木県設備業協会とは、電気工事・管工事・塗装工事の3団体がひとつになった会で、県北・県央・県南の3ブロックに分かれた約200社が日頃からチームワークを意識して活動しています。
石川電工 田中様:地元企業だから細かいメンテナンスにもすぐ対応できることや、アクリーグ様のソフト活用などをアピールし、評価されたと考えています。
アクリーグ 磯山様:現地調査をサポートするタブレット型のアプリケーションをご提案しました。現地調査はデジカメと紙と地図を使った調査が昔から行われており、1灯につき5枚~10枚撮影します。約5,000灯分だと相当な数になり、データ整理だけで時間をとられてしまいます。そこで作業改善のために社内向けにつくったアプリケーションをカスタマイズして、今回対外的には初めて導入させていただきました。このタブレットを使うとデータがクラウドに自動的に送られ集約されます。働き方改革にもつながりますとアピールしました。

一般社団法人 栃木県設備業協会

電気工事部会(79社)管工事部会(74社)塗装工事部会(20社)

公共事業の主な発注方式

主な設備調達方式はプロポーザル型リース方式(提案型)、従来型リース方式(単純隔資型)、競争入札方式(指名・一般・総合評価)があります。
メリット・デメリットを表にまとめると以下の通りになります。

メリット・デメリット

ESCO事業とは? ESCOとリースの違い

ESCOとリースの違い

ESCOの事業主体は?

ESCOの事業主体の違い

田畑の多い県北に求められる配光を実現したパナソニックを評価

―パナソニックのLED道路照明をご採用いただいた決め手はなんだったのでしょうか。

大進電気工事 菅野様:県北エリアは田んぼが多いのですが、田んぼに照明の光が当たると稲の成長に良くないと農家の方から言われました。本来なら反射板が必要になるのですが、パナソニックは反射板なしでも稲作に影響を及ぼさない配光になるようカスタマイズしてくれたのです。県への提案時にこの点はしっかりアピールできました。おかげでこの2年間、農家から苦情は1件も出ていません。
藤光電気工事 井上様:他メーカーは一律60VAの提案で灯具価格はそちらの方が安かったのですが、パナソニックは40VA、60VA、100VAと場所ごとに適切な明るさを選定し、10年間の電気代も含めたトータルコストでは安くなると提案してくれたのも採用の決め手です。
石川電工 田中様:1灯1灯の配光曲線を作成いただいたので県への提案書でも有利に働きましたね。

―代理店様には今回、どのようなお力添えをしていただきましたでしょうか。

藤井産業 関様:これまで代理店にはデリバリーやメーカーとのやりとり、一部金融的な役割が求められてきました。プラス今後は「仕事づくり」というところでお役立ちをしなければならない、例えば補助金の情報提供や申請についてもフォローできる体制をつくっていかなければならないと考えていました。今回のようなESCO事業、リース案件が全国的に増えてくると、リース会社のような異業種が参入してきます。我々としては地元の工事店様に仕事を取っていただきたいという思いが強くあるので、そういった意味で一緒になって仕事づくりをしていかなければという思いがありました。他県でESCO事業の実績があったということ、会社自体がESCO推進協議会の賛助会員ということもあり、その経験も踏まえて設備業協会の会員様方に対してESCO事業の説明会を行うことからスタートさせていただきました。

LED照明設置イメージ
県北地域には田畑が多く、農家の方が光害による農作物の生育不良をご心配。
そこで田畑にはLED照明の光が当たらないよう加工。
反射板を付けることなくLED照明の光が道路のみを照らすよう配光が制御されています。

県央でも約6,500灯のLED化事業を受注

―次に、2018年に県央でのESCO事業の公募が行われ、とちぎ県央地区道路照明灯LED化合同会社様が受注されました。合同会社(LLC※3)設立の経緯を教えてください。

美工電気 冨塚様:栃木県設備業協会の県央地区の会員31社+外部3社の計34社でこの事業を進めることになり、全員の合意を取るのはなかなか難しいと考えました。合同会社なら、代表者ひとりが意見をとりまとめて進行することも可能だからです。

―事業内容についてお聞かせください。

美工電気 冨塚様:道路照明灯約6,500灯のLED化工事と電気料金の削減、台帳整理、今後10年間の維持管理です。

―パナソニックを採用いただいた決め手は?

美工電気 冨塚様:既存の道路照明のポールの形状は丸型と角型が混在し径も複数ありましたが、パナソニック製はひとつの灯具ですべてに対応可能でした。現場に灯具を持って行って合わなければ時間のロスです。 また、ESCO事業は電気代の削減分を利益にあてるため、電気代の削減率は大きいほどよいのですが、パナソニックは県の明るさの基準を満たしながら電気料金の削減効果も高い最適な灯具を選定してくれました。製品保証についても異例の10年保証でした。提案書作成も手厚くサポートしてくれました。 施工のしやすさも決め手でしたが、何より担当者の方々がこちらの無理難題に対しても嫌な顔ひとつせず、すばやく対応してくれたことで、我々も気持ちよく仕事ができて非常に助かりました。 藤井産業 関様:我々には販売責任というものがあるので、信頼のおけるメーカーを選ぶべきだというお話は県北様にも県央様にもさせていただきました。メーカーによっては現行品との単純な置き換えで、すべて同じ明るさの灯具を用意するところもありますが、パナソニックはすべての交差点を個別検討して、ふさわしい明るさの灯具を選定してくれましたし、均斉度もすべてクリアしていました。カスタマイズした器具が数十種類ありましたが、全て工期に間に合わせるよう配慮してくれました。

座談会の様子
座談会の様子。県北・県央の皆様がお集まりくださり、今回のESCO事業について熱く語ってくださいました。

時にライバル時に仲間として高め合いながら、若い世代に引き継いでいきたい

美工電気 冨塚様:時には敵・味方になりうる我々工事業者が、今日のように同じテーブルを囲んで話をすることの大切さを感じています。栃木県設備業協会の中から県北は12社、県央は31社が参加し、一致団結して事業が展開できたと思います。やってみた結果、我々は敵対する必要もなく、仲良くやっていくべきだということがわかりました。県北・県央で互いに情報交換をし、これから先のことを話し合う中で、先につながる事業のかたちになったと思います。プロポーザル型のESCO事業は我々にもあまり馴染みのない言葉だったのですが、我々の方から“こうしたらいいのではないか”と提案を重ねて、実現に至った経緯があります。
他にも、工業高校の生徒さんの支援も一緒に行っています。夏に技能競技大会を開催しますが、県北、県央、県南がそれぞれ地元の高校を支援して優勝を競い合います。そのように常に切磋琢磨しています。

―最後に、全国の電気工事会社様にメッセージを。

アクリーグ 蜂須様:効率的な長期修繕計画・メンテナンスにとって、情報管理・台帳整備が現状では非常に重要です。大規模工事の際には事前に検討されることをおすすめします。 石川電工 田中様:事業は10年間という長いスパンで仕事をします。10年という長い年月を、ハード面とソフト面の両面でフォローしてくれるメーカーを選ぶことをおすすめします。 大進電気工事 菅野様:地元工事業者がメンテナンスという部分では一番身近にいますから、ぜひとも地元の工事業者の方々に取っていただきたいと思います。大きなリース会社に取られてしまってはもったいない。これからは待ちの姿勢ではなく、いろんな会社と協力しながら自分たちの力で勝ち取っていく時代なのだろうと思います。ぜひとも頑張っていただきたいです。

アクリーグ様が提案された「道路照明管理システム」

道路照明管理システム画面
タブレット型の現地調査をサポートするアプリケーション。道路灯の台帳情報と、位置図や写真などの図面情報を一元的に管理することができます。
道路照明管理システム画面
県の紙ベースの台帳をデジタルデータ化して維持管理。個別管理されていた位置情報、電力情報、電柱番号等の情報を一元管理することが可能になりました。
座談会にお集まりいただいた皆様と当社宇都宮電材営業所所員
手前:座談会にお集まりいただいた皆様。 後列:当社宇都宮電材営業所所員。
  • ESCO(Energy Service Company)事業とは、省エネルギー改修にかかる費用を光熱水費の削減分でまかなうもので、ESCO事業者が顧客の省エネルギー施工、維持管理、資金調達などに関わるすべてのサービスを提供し、省エネルギー効果の保障までを行う。
  • Limited Liability Partnershipの略。中小企業の起業を容易にするための会社制度。会社の所得は所有者である出資者の個人所得とされ、会社自体には課税されない。
  • Limited Liability Companyの略。事業を目的とする組合契約を基礎に形成された企業。すべてのパートナーについてその責任が限定されている。

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