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ダブルナット の
意味・解説・呼称など
COMMENTARY
ダブルナットとは?
・英語名
Double nut(ダブルナット)
ダブルナットは、比較的簡単に行うことができるねじのゆるみ止めの方法である。
ボルトに2つのナットを締め付けることにより、ナットのゆるみ止めを行う。
柱脚などのアンカーボルトに使用することが多い。電動機などの振動するものを固定する場所や、繰り返し応力がかかる場所などにも使用する。
ナットの材質は、鋼であればS20CやS45C、SCM435などが代表的である。
ステンレス製やアルミ製などさまざまな材質がある。
ボルトの材質に合わせて、ナットの材質を選定する必要がある。S20Cは柔らかく、S45Cは硬く、SCM435材はさらに硬い。
ナットのサイズについては、ボルトに合わせて購入する必要がある。
基本的にボルトはMねじがほとんどで、M6、M8、M10、M12などがある。
ダブルナットの仕組み・使い方
【使い方】
ゆるみ止めをしたいボルトに、通常のナットを締め付けるときと同じように取り付ける。
下側ナット(下ナット)が締まったら、その上にもう一つのナットを締め付ける。
上側ナット(上ナット)が締まったら、その後上ナットを押さえながら下側ナットを緩める方向に回す。
そうすることで、上ナットと下ナット両方に力が摩擦力が発生し、ゆるみ止めとなる。
また、ナットには1種(厚みのあるもの)と3種(厚みが薄いもの)が代表的。
1種、3種を使ってダブルナットのゆるみ止めをする場合は、3種が下に来るように締め付けるのが正しい。
【原理】
ボルトに一つ目のナットを締め付けるとき、ナットを回し続けるとナットが母材に当たる。
その後締め付けようとしてもナットは進まないため、ボルトを引き寄せる力が働く。その時に、ナットとボルトの間に摩擦力が働く。
二つ目のナットを同じように締め付けると、下側ナットに当たる。その後締め付け続けると、上側ナットとボルトの間に摩擦力が働く。
その時、下側ナットとボルトとの摩擦力が弱くなる。
その後、上側ナットを固定しながら下側ナットを緩める方向に回すことで、上側ナットとボルト、下側ナットとボルト両方に摩擦力が発生し、ゆるみ止めの効果が発生する。
ダブルナットの仕様・スペック
【種類】
・1種
一般に、六角ナットと言えば1種のことを指す。1種は片側のみ面取りがある。
・2種
2種は両面に面取りがある。
・3種
3種は厚みが薄く、両面に面取りがある。
<大きさから選ぶ>
M3,M4,M5,M6,M8,M10,M12,M14,M16,M18,M20,M22,M24,M27,M30,M33,M36,M39,M42,M45,M48,M52等。ボルトのサイズに合わせてナットを購入
<材質から選ぶ>
・スチール
・ステンレス
・チタン
・樹脂
・真鍮
・アルミ
・セラミック
・黄銅
・ニッケル合金
<個数から選ぶ>
・ばら売り(1個売りとなる)
・箱売り
使用場所・用途によって選ぶ必要がある。
【サイズ】
重量はナットのサイズによってさまざま。1種の場合M4が約0.8g、M10が約11.3g、M20が約62.2g、M60が約1650g、M100が約6810gほどとなる。
3種の場合、M4が約0.6g、M10が約7.9g、M20が約44.6g、M60が約1224g、M100が約5055gほどとなる。
重量は材質によっても少し変わる。
ダブルナットの仕組み・特徴
【仕組み】
ダブルナットのナットは、一般的に六角ナットのことを指す。
六角ナットには雌ねじが切ってあり、雄ねじと対になっている。
ねじ山はらせん状になっており、ナットを回すことによって、らせん状のねじ山を滑る形で進む。滑りながら進むことで、小さな回転力で大きな締め付け力を得られる。
大きな締め付け力でボルトを引っ張ることでボルトが伸び、伸びたボルトが縮もうとする力で軸力が発生する。
ただし、その軸力も振動や衝撃などにより緩まる場合がある。
振動や衝撃により母材自体がへたってへこんでしまい軸力が低下する、またはナット自体がねじ面で滑って緩んでしまう。そのゆるみ止めとしてダブルナットを使用する。
一つ目に
締めたナットと二つ目に締めたナットそれぞれがそれぞれを締め付ける方向に回すことで、大きな力でお互いを押し合い、ゆるみ止めとなる。
ダブルナットの廃棄方法
一般的なスチールナットの廃棄方法は地域によって異なるため、各地域の廃棄方法を調べる必要がある。
基本的にはスチール製のナットは燃えないごみとして廃棄する。
また、捨てる量が大量な場合には、鉄を買い取ってもらう方法もある。買取り金額は、買取りを行う地域と時期によって異なる。日本鉄リサイクル工業会のHPを参照すると、大体の金額を把握できる。
例えば、2021年6月の北海道での買取り価格は1トン当たり46,000円。
同時期の関東での買取り価格は、1トン当たり49,000~50,000円。
また、北海道での2020年7月の1トン当たりの買取り価格は20,000~21,500円である。