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蛍光灯用安定器 の
意味・解説・呼称など
COMMENTARY
職人用語
安定器、インバータ、バラスト、チョーク など
蛍光灯用安定器とは?
【英語名】
Fluorescent ballast(フルレセント バラスト)
Electrical ballast(エレクトリカル バラスト)
light ballast(ライト バラスト)
蛍光灯安定器は蛍光灯の発光、および照明性能を安定的に持続させるために必要な装置。具体的には、電流を一定値に安定させる役割を担っている。電気工事においては、安定器と呼ばれることも多い。
蛍光灯安定器は、性能限界40,000時間を目安として設計されている。
劣化する主な原因として、絶縁物の熱によるものが挙げられるが、規定温度よりも8~10℃温度が高いと寿命は半減する。
平均寿命は10年で、使用年数が長い蛍光灯安定器は外観に異常が見られなくとも内部は劣化が着実に進んでいる。
また、蛍光灯安定器の劣化を見極めるポイントとして、異常振動や異音、発熱、異臭、点灯不良などが挙げられる。そのため、蛍光灯に関して新品だが照明がつかないという場合には、安定器が故障している可能性が高い。
蛍光灯用安定器の仕組み・使い方
【交換方法】
蛍光灯安定器の劣化により安定器を交換する場合は、まず古い安定器を取り外す必要がある。
安定器のリード線をニッパーで切断し、安定器本体はプラスドライバーやスパナを使用して取り外す。
新しい蛍光灯安定器を取り付けた後は、ストリッパーや圧着工具などの必要工具を使用して結線を行う。
安定器を新しくすることで、配線長の不足が生じた場合には、絶縁電線を絶縁被覆付閉端接続子で中継接続して延長することも多い。
安定器の交換後は、実際に蛍光灯を点灯させて問題なく点灯することを確認する。
また、蛍光灯と安定器には型式ごとの組み合わせが定められているため、対応するか事前確認をした上での施工が必須となる。
蛍光灯安定器の交換を行うには電気工事士の資格が必要である。
蛍光灯用安定器の仕様・スペック
【サイズ】
・グロータイプの蛍光灯安定器:高さ3.5mm×幅5.0mm×奥行き12.5mm
・Hfインバータ式の蛍光灯安定器:高さ25.4mm×幅43.2mm×奥行き350mm
製造するメーカーや種類によってサイズは変動する。
【材質】
ステンレス、合成樹脂、ガラスなど。
【種類】
・磁気回路式安定器
電磁安定器、銅鉄形安定器と呼ばれることもある。
一般的に安定器と言われるものの多くは、この磁気回路式安定器を指している場合が多い。
主材に銅と鉄を使用しているため、後述する電子式安定器と比較して重量、寸法共に大きい。
また、回路形式として、グロースタータ式安定器とラピッド式安定器の2タイプがある。
・電子式安定器
インバータ式安定器とも呼ばれる。
従来のスタータ管、ラピッドスタート管に加えて、Hf方式の管なども使用できる。
蛍光灯用安定器の仕組み・特徴
【仕組み】
蛍光灯安定器を使用して蛍光灯を点灯させる仕組みとしては、主に以下の3種類がある。
・スタータ式
電源へ電圧を加えることで点灯管の接点が閉じ、フィラメントに対して放電を開始。
しばらくして点灯管の接点が開くと、安定器から加えられた高電圧が両極間にかかり、蛍光灯が点灯する仕組みである。
・ラピッドスタート式
ラピッドスタート式は点灯時間がスタータ式よりも早いことが特徴。
点灯管が不要である代わりに、近接導体もしくは適応する器具が必要となる。
・電子式
電子式は電子安定器で商用電源を一度直流に変えて、20~50kHzの高周波に変換することで蛍光灯を点灯させる。
高周波点灯となることで、省電力化や高照度化へとつながる。
蛍光灯用安定器の廃棄方法
・PCB廃棄物として処理(PCB含有の蛍光灯安定器の場合)
1972年8月以前に生産された蛍光灯安定器には、PCBが含まれている可能性があるため、特定の機関(PCB廃棄物処理施設)へ廃棄を依頼しなければならない。
PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称。
かつてはトランス・コンデンサの絶縁油や、触媒油、潤滑油などに広く用いられていた。
しかし、現在では環境汚染や生態系への影響により、製造中止となった化学物質である。
・産業廃棄物として処理(PCB非含有の蛍光灯安定器の場合)
PCB非含有の蛍光灯安定器に関しては、産業廃棄物処理事業者へ依頼して廃棄することが可能。
家庭から出た少量の蛍光灯安定器であれば、地方自治体の指示に従った分別収集による廃棄もできる。
使用中の安定器にPCBが含まれているかどうかは、メーカー等に確認すると良い。
また、地域により異なるが、高濃度PCBの処分期間が決められているので注意が必要である。