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進相コンデンサ の
意味・解説・呼称など
COMMENTARY
職人用語
コンデンサ など
進相コンデンサとは?
【英語名】
Phase advance capacitor(フェーズアドバンスキャパシター)
進相コンデンサとは、交流回路の力率(cosθ)を改善するために使用するコンデンサである。
コンデンサはキャパシターとも言われており、電気を蓄える性質を持つ電子機器のことを指す。
信頼性と保守性の優れた力率改善設備として電気現場でしばしば用いられる。
進相コンデンサには電気機器に起こる遅れの無効電力の打ち消しおよび無効電力を少なくする働きがある。
無効電力が減少すれば、それと同時に力率も改善される。力率改善の効果として以下の4つが考えられる。
1)電気料金の割引
コンデンサを設置して力率を改善すると、改善された分だけ基本料金が割引される。
2)電力損失の低減
変圧器や電線路に流れる電流が減り、電力損失も同時に減少するため、電力の有効活用ができる。
3)電力設備に余裕ができる
コンデンサの取り付けにより、変圧器や電線路に余裕ができるため、設備を増やさなくても負荷の増設ができるようになる。
4)電圧の安定
電圧降下や電圧変動が減少し、良質な電力が使用できる。
そのため、製品品質が安定し生産性が上がる。
進相コンデンサの仕組み・使い方
【使い方】
進相コンデンサには、直列リアクトルの設置がJISや内線規程などで原則として決められている。
高圧回路や変圧器直下の低圧回路、低圧機器の直近で使うのが望ましい。
【施工方法】
進相コンデンサの力率改善効果は、設置位置よりも上位の部分になるため、負荷に近づけば近づくほど高い改善効果が期待できる。
そのため、負荷に近づけて施工したほうが望ましい。
進相コンデンサの施工方法は難しいものではなく、かつ、保守やメンテナンスが容易な力率改善設備である。
進相コンデンサの仕様・スペック
【規格】
進相コンデンサには高圧(交流600Vを超える)と低圧(交流600V以下)に分かれている。
1)高圧進相コンデンサ
交流3,300V以上で製造されることが多い。
2)低圧進相コンデンサ
交流220V程度の比較的小容量のものが多い。
【種類】
種類としては主に以下の2点が挙げられる。
1)高圧進相コンデンサ 油入自冷式 窒素ガス封入式
2)低圧進相コンデンサ 油入自冷式 窒素ガス封入式
油入自冷式と窒素ガス封入式の違いは以下の通りである。
1)油入自冷式
誘電率、熱伝導率、絶縁性能に優れた絶縁油を使用した自冷式の進相コンデンサであり、窒素ガス封入式より安価で軽量、かつ、コンパクトである。
2)窒素ガス封入式
絶縁油の代わりに無害で不燃性の窒素ガスを使用しているため、火災などの二次災害の心配がない。
ガス圧力は、大気圧よりわずかに高い気圧で封入されているため、ガス圧力が万が一低下してもすぐに性能への支障が出ない。
進相コンデンサの仕組み・特徴
【仕組み】
コンデンサは、絶縁体を挟んだ2枚の電気伝導体から構成されている。
交流で90度位相が進む性質があるため、誘導性負荷の遅れ位相を進み位相と打ち消すことによって、力率改善へと繋がる。
【特徴】
交流電源は流れている電流のすべてが電力として機能しているわけではない。
実際に電力として仕事しているのは有効電力で、仕事をしていないのが無効電力である。
この2種類の電力は同時に流れる。
流れている電気のうち、何%が仕事をしているかを表す数値として、力率が用いられる。
そして、進相コンデンサは力率を100%に近づけるために設置される。
進相コンデンサの廃棄方法
【産廃方法】
進相コンデンサを廃棄する際に注意しなければいけないのが、「PCB含有の有無」を調べることである。
PCBとはポリ塩化ビフェニルという絶縁油で、コンデンサなどの電気機器に封入されている可能性がある。PCBは有害性物質であるため、環境省で厳しく処分方法が規定されている。
進相コンデンサに取り付けられている銘板を確認すると、型式や製造年月などが記載されている場合がほとんどである。
記載されている情報をもとに、各電気機器メーカーおよび一般財団法人日本電機工業会(JEMA)に問い合わせると良い。
PCB含有の有無を確認せずに廃棄やリサイクルをしてしまうと違法で処罰の対象になる可能性がある。
PCB含有が発覚した場合は、普通の産業廃棄物では処分できない。
PCB含有電気機器は、普通の産業廃棄物とは区分けされており、厳重に管理と処分する必要があるため、「特別管理産業廃棄物」(資格が必要)となる。