【商品開発ストーリー】
「ナノイーX」が秘める“空気リスク”を回避する未来。
技術の独自性や今後の可能性について開発者にアプローチ。
パナソニック株式会社 アプライアンス社 技術本部
ホームアプライアンス開発センター
-

開発第四部 部長
中山 敏 -

開発第四部 第一課 課長
有村 直 -

開発第四部 第一課 主幹技師
石上 陽平
アレル物質★1(花粉、ダニのフン・死がいなど)、ウイルス★2や菌★3などを抑制。
さらに、不快なニオイの脱臭★4や美肌・美髪効果★5など、実力はすべて実証済みの「ナノイーX」。
注目の集まる空気問題に立ち向かってきた技術開発のメンバーにお話を聞きました。
空気清浄機に付加価値を求めて、
“水”に着目したのが、「ナノイー」のはじまり
―「ナノイーX」の前身となる「ナノイー」の開発、そして商品化に至るまでの背景をお聞かせください。
中山:「ナノイー」は、2003年に発売した空気清浄機「エアーリフレnanoe」に搭載したのが最初の商品化でした。開発はもっと前の1997年で、ただ空気を浄化するだけでなく、他社との差別化をはっきりさせることを目的に、試行錯誤がはじまりました。初期開発メンバーの2名が着目したのが、水です。水自体にさまざまな効果があり、汚れを落とせ、拭けば臭いもとれます。初期メンバーは、微細な水粒子を空気中に放射できれば、物質を吸着して落とすことができると考えました。ただ、水自身は空気中にばらまいてもすぐに落ちてしまいます。
ヒントは、同時に進んでいた放電関連の技術にありました。その技術と組み合わせるアイディアが、パナソニックの「ナノイー」の独自性を際立たせることになりました。
他社の同様の効果を訴求する技術は、プラズマ放電によるプラスとマイナスのイオンの力にフォーカスして商品化されたようですが、「ナノイー」は放電技術を使いながらも、水を飛ばすという「水発想」なのでそもそも根本的に異なるんです。水を微粒子にして空気中に飛ばせば、浮遊する物質を吸着して落とす効果も期待できます。空気中に必ずある「水」に着目した初期メンバーに、やはり先見の明があったのだと思います。
最近でこそ、パナソニックのキーデバイスのように見られることもありますが、当初はそんなに重要視されるデバイスではなかったように思います。スタート時は空気清浄機だけで、多くの社内商品に搭載されるようになったのはやはり、生活者の皆さんが空気リスクを実感されだした少し前あたりから。
それまでは、「ナノイー」の効力とこれから必要とされる空気質の向上ニーズを粘り強く伝える社内活動をしていましたね。
「ナノイー」は「長寿命」※1。
だから、広範囲に届きやすい
特長は、空気中に長くとどまること。
だから、高い効果が発揮できる
―ばらまいてもすぐに落ちてしまう水を、どのような技術で放出できるように?
石上:ウイルスや花粉、イヤなニオイなどを不活性化させるのは、水に含まれる高反応成分「OHラジカル」です。空気中に放たれた「OHラジカル」は酸化力が強いと言われており、通常数ミリ秒~数十ミリ秒ほどで消滅しますが、他社にはない技術を活用して水のベールで包み込むことで約10分間も空気中を漂えるようにできました。
「ナノイー」の特長は、この長寿命にあると考えています。長寿命であるために広範囲に行き渡りやすく、蒸気よりも微細ですので繊維の奥などにも入り込んで効果を発揮してくれます。しかも肌と同じ弱酸性なので、人にやさしい側面もあるため、さまざまな商品に搭載できるポテンシャルを秘めていました。

さらに進化した「ナノイーX」。
OHラジカルが「ナノイー」の10倍に
―「ナノイー」から「ナノイーX」にグレードアップ。その開発の経緯をお聞かせください。
石上:前身の「ナノイー」は広い空間の場合、効果が実感できるまで少し時間がかかる側面があり、市場からも社内からも、もっと高性能を求められました。「ナノイーX」の開発を始めて、商品化まで約8年…。
放電は、電極に電圧かけて瞬間的に発生するもので、雷と同様に制御しにくいところがあります。100個以上もの放電パターンの試作をつくり、細かく傾向をデータ化して試行錯誤したところ、放電の形態を変えることで「OHラジカル」が増えそうだということが分かりました。ですが、パナソニックの各種商品に搭載することを考えると汎用性の高い小さなデバイスにしなければなりません。性能とサイズのバランスをどうするか、また難問が立ちふさがりました。しかし、その小さくすることこそが放電を制御する近道だったのです。電極と電極の距離が小さい上での「OHラジカル」の増大検討が、「ナノイー」の10倍の「OHラジカル」を発生させる「ナノイーX」を誕生させることにつながりました。コストダウンにも結果的に貢献でき、とても良い結果になったと思います。

デバイスから大量に放出され、長寿命。
壁などへの“付着”にも、めっぽう強い
―パナソニックの独自技術「ナノイーX」の特長を、読者の皆さまに分かりやすく伝えるとしたら?
有村:「ナノイーX」のことを、私たちは“飛び出し系”と表現することがあります。「ナノイーX」はデバイスから外に放出されるので空間に広く届き、さらに長寿命なのが他とはちがう大きな特長です。室内空間の壁やカーテンなどの付着臭に持続的に作用するので、高い効果があります。
また、もとは水ですので、無臭なことも「ナノイーX」の魅力だと思います。分かりやすい例に、トイレ空間があります。アラウーノに搭載された「ナノイーX」デバイスは、トイレの臭いの原因のひとつ、壁にしみ込み継続的に発生するあの気になる臭いを、持続的に脱臭することに活用されています。
もちろん、空間の広さにもよりますが、住宅など各部屋が仕切られている空間では、臭いが大きく低減できるのでとても効果を実感していただけると思います。在宅勤務などで家にいる時間が増えている今、臭いやさまざまな空気リスクなどにとてもお役立ていただけるのではないでしょうか。
中山:「ナノイーX」は、今やトヨタ自動車様の40車種(2020年12月末時点)に搭載されました。JR東日本様などの多くの鉄道にもご採用いただいています。換気を充分にしている昨今ですが、車内やシートなどの付着臭にも効果があるのは「ナノイーX」の大きな魅力だと思っています。
脱臭(タバコ臭)※8スピード比較
スチームより微細な「ナノイー」は繊維の奥まで入り込むので、高い効果を発揮。
「ナノイーX」は、脱臭スピード(タバコ臭)も10倍に※9。
「ナノイーX」が進化した「高濃度ナノイーX」も誕生。
これからも空気リスクに向き合っていく
―今後の「ナノイーX」商品の開発などの取り組みについてお聞かせください。
中山:ウイルスの侵入が心配な玄関や臭いが気になるシューズクロークなど、家中でご活用いただきやすい天井埋込形ナノイー発生機の商品化に加え、昨年には『高濃度ナノイーX』も開発しました。これは、放電の制御を見直すことで、放電をもっと効率よく、そして安定化させることで、さらに多くの「OHラジカル」を発生させることに成功しました。「ナノイー」の20倍の濃度のデバイスです。これにより、「OHラジカル」の量がこれまでの2倍になり、抑制スピードもアップしています。
空気リスクが高まりつつある今、パナソニックは絶えずそのリスクを認識し、回避できるよう真摯に向かい合い技術の革新を進めています。搭載商品は多様ですが、発生装置自体が大きな商品がないため、「ナノイーX」の力を強力に発揮できる大型商品への展開も広がっています。また、電源があれば「ナノイーX」デバイスを展開できる可能性がありますので、たとえば照明に組み込むなど、導入していただきやすい新たな開発も加速させていきたいと考えています。これからも、ぜひ「ナノイーX」に注目してください。
- 約6畳の試験室内での8時間後(花粉)、24時間後(ダニのフン・死がい)の効果であり、実使用空間での効果ではありません。※2
- 約6畳の試験室内での8時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。※3
- 約6畳の試験室内での4時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。※4
- 約6畳の試験室内での2時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。※5
- 4週間(肌)、2週間(髪)継続使用時。季節や湿度などの周辺環境や個人差で、効果は異なります。「ナノイー」があたらない肌や髪についても、効果は異なります。※6
- 空気イオンとの比較。一般的な空気イオンの寿命:数十秒~100秒。「ナノイー」の寿命:約600秒。(当社調べ)
- 【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】約6畳の試験室内で布に付着させたアレル物質をELISA法で測定【抑制の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着したアレル物質【試験結果】〈花粉〉8時間で88%以上抑制(BAA33-130402-F01)〈ダニのフン・死がい〉24時間で60%以上抑制(BAA33-130304-F04)。
- 【試験依頼先】(一財)日本食品分析センター【試験方法】約6畳の試験室内で布に付着させたウイルスで確認【抑制の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着した1種類のウイルス【試験結果】8時間で99%抑制(第13001265005-01号)。
- 【試験機関】(一財)北里環境科学センタ-【試験方法】約6畳の試験室内で菌を浮遊させ空気中の菌数を測定【除菌の方法】「ナノイー」を放出【対象】浮遊した1種類の菌【試験結果】4時間で99%以上抑制(北生発24_0301_1号)。
- 【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】約6畳の試験室内で6段階臭気強度表示法による検証【脱臭の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着したタバコ臭【試験結果】2時間で臭気強度1.2低減(BAA33-130125-D01)。
- <肌>【試験機関】(株)エフシージー総合研究所
【試験方法】40±2歳の女性20名、10名は「ナノイー」発生装置を自宅で28日間運転、別の10名は「ナノイー」非搭載の装置を自宅で28日間運転。
<髪>【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】試験室(約12畳)、室温25℃、毛束(6束)を「ナノイー」発生装置から2mの場所に吊り下げ、「ナノイー」を放出8時間、停止16時間を繰り返し【美髪の方法】「ナノイー」を放出【対象】毛束。
- 2010年9月発売の加湿空気清浄機の「ナノイー」ユニット。ESR法による測定。
- 2016年9月発売の加湿空気清浄機の「ナノイーX」ユニット。ESR法による測定。
-
「ナノイー」:4,800億個/秒と、「ナノイーX」:4兆8,000億個/秒との比較。ESR法による測定。(当社調べ)実際の効果は、季節・周囲環境(温度・湿度)、使用時間、個人によって異なります)。
「ナノイー」・「ナノイーX」はウイルス等を抑制する機能はありますが、感染予防を保証するものではありません。 - 【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】試験室(約6畳)において6段階臭気強度表示法により検証【脱臭の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着したタバコ臭【試験結果】12分で臭気強度2.4低減(4AA33-160615-N04)。
- 「ナノイー」:120分で臭気強度1.2低減と、「ナノイーX」:12分で臭気強度2.4低減、との比較。(当社調べ)

CLOSE