一次エネルギー消費量を106%削減し
国内外食企業で初の『ZEB』認証を取得。株式会社トリドールホールディングス様[三重県鈴鹿市]

  • 本 正夫様

    株式会社トリドールホールディングス
    開発建設統括本部
    ストアデザインBU 建設設備部
    部長代行
    本 正夫

  • 伊藤 隆祐様

    株式会社トリドールホールディングス
    開発建設統括本部
    ストアデザインBU 設計建設部
    建設設備推進課 課長
    伊藤 隆祐

  • 恩田 茂様

    株式会社トリドールホールディングス
    開発建設統括本部
    ストアデザインBU 設計建設部
    建設設備推進課
    恩田 茂

讃岐うどん専門店「丸亀製麺」をはじめとして様々なブランドを国内外で展開され、
外食企業で確かな存在感を示されている株式会社トリドールホールディングス様。
2022年12月、「丸亀製麺」鈴鹿店において国内の外食企業では初となる『ZEB』認証を
取得され、ZEBリーディング・オーナーにも登録されました。
太陽光発電パネル、ソーラーカーポート、リチウムイオン蓄電池、高効率空調、
熱交換気ユニット、LED照明器具、エマネージ等、たくさんのパナソニック製品をご採用いただいています。
ZEB化に取り組まれた経緯と今後の展開について、お話を伺いました。

敢えて既存店舗を選んで飲食店のZEB化に挑戦。

世界中で唯一無二のグローバルフードカンパニーを目指す株式会社トリドールホールディングス様は、グローバル課題であるSDGsの達成や気候変動に向けた取り組みに力を入れておられます。空調・給湯などで多くのエネルギーを消費し、ZEB化は難しいと言われる飲食店においてZEB化を達成することで、店舗の快適性とエネルギーの大幅削減を両立できるとお考えです。
2021年夏より、店舗のZEB化への取り組みをスタートされ、実店舗でのチャレンジを計画。実験店舗として、新規店ではなく三重県鈴鹿市にある既存店を選ばれました。その理由として、本様は 「既存店にZEB化を展開できる設備を検討したかったのと、既存店であればZEB化の前と後でのエネルギー消費の違いを比較できるからです」と語られました。「当時、国内には約640店の路面店がありましたが、その中から太陽光発電を搭載できる屋根の条件を満たしていること、エマネージを導入済みでZEB化前後の数値の把握をしやすいことなどから、鈴鹿店を選びました」。
鈴鹿店では、まず外皮性能を強化したうえで、高効率空調と熱交換気ユニットを導入。さらに給湯にも業務用エコキュートを採用し、照明器具を調光機能付きLED照明に交換しました。ZEB達成に欠かせない太陽光発電パネルは屋根と庇に設置し、そのうえで約15kWのソーラーカーポートも導入。リチウムイオン蓄電池、パワーステーション、パワーコンディショナなどの創蓄連携システム、スマートコスモ分電盤等、パナソニック製品をお選びいただきました。
「パナソニック製品を選んだのは、トップブランドであること。そして、私自身が前職でパナソニックと空調機器の連動制御の研究開発に携わった経験があり、その際の対応が素晴らしく、信頼できるメーカーだと感じたためです」と本様はお話しくださいました。特に本が「どうしても導入したかった」とおっしゃるのが、ヒートポンプ方式で外気処理をする「ハイフレッシュ※1」です。「厨房に採り入れる外気をハイフレッシュ機器で処理し、空調負荷を少しでも削減したいと考えました。夏場の冷房能力をどのように確保するのかなど、手探りの点も多いですが、トータル設計で効果を底上げするためにも、一括してパナソニックにお願いしようと考えました」。

※1 外気処理が可能な業務用空調ハイフレッシュについて詳しくはWEBサイトをご覧ください
床置形 https://www2.panasonic.biz/jp/air/pac/build/unit_in/in17.html
天井埋込形 https://www2.panasonic.biz/jp/air/pac/build/unit_in/in18.html

飲食店のZEB化を阻むものとは?
補助金申請にも高いハードル。

飲食店のZEB化が難しい理由は、給湯器をフル稼働していること、と本様はおっしゃいます。「特に丸亀製麺の場合は、一日中、釜で麺をゆで続けるため、多くの湯量を必要とします。さらに店内はオープンキッチンのため客席と厨房が仕切られておらず、強力な空調換気設備が必要です。設計面でも運用面でも厳しい数値が出るため、過去にNearly ZEBは存在したものの、『ZEB』の達成は難しいと当初は考えていました」。
この難題に対応するため、ZEBプランナーには以前より取引のある北海道電力様に依頼。ZEB化には厳しい気候の北海道で、当時16事例の実績を築いていたことが大きかったそうです。「北海道電力様はかなりご苦労されたと思います。そんななかでも有意義な設計アドバイスをいろいろいただくことができました」。
さらに苦労されたのが、補助金の申請業務でした。申請された補助金は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(建築物の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業)※2」でしたが、申請書類の多さはもちろん、内容に精度が求められ、「北海道電力様や関係各取引先様、そしてパナソニックの協力を得てクリアできた」とおっしゃいます。
「工事はパナソニック電材ソリューションズ様が太陽光発電パネルやソーラーカーポートの敷設を請け負われ、2022年11月末から行われました」。年末に竣工し、2023年1月18日にリニューアルオープンを果たしました。
オープン後、約2ヵ月が経過した時点で各機器の初期トラブルはなく、「やはりパナソニック製品は信頼性が高いですね」と本様はおっしゃいます。「設計から施工までスムーズでしたし、当社のスケジュールの要求にも柔軟に対応していただき、心から感謝しています」。
今後、同社は鈴鹿店の試みを国内の他店舗にも展開されていくご予定です。予算や条件に応じて、店舗ごとに最適と思われる設備の採用を検討されています。

丸亀製麺 鈴鹿店 店内

※2 既存建築物のZEB化支援事業
災害発生時に活動拠点となる公共性の高い業務用施設において、停電時にもエネルギー供給が可能なレジリエンス強化型の既築ZEBに対して支援する。
また、ZEBの更なる普及拡大のため、既築ZEBに資するシステム・設備機器等の導入を支援する。

ZEB化以外にも飲食店ならではの省エネ・環境対策に取り組む。

ZEB化プロジェクト以外でも、同社では省エネ・環境対策が絶えず推進されています。そのひとつが、恩田様が開発された「電気式省エネ釜」です。 「電気式省エネ釜」とは、時間帯ごとの来店客数を予測して、麺をゆでる湯量を自動的に調節し、水道代と電気代を同時に節約する設備です。丸亀製麺の店舗では電気代の約30%がゆで釜にかかっており、「電気式省エネ釜」を導入することで、電気使用量31%、水道使用量48%削減に成功されました。今後、徐々に導入店舗を増やしていかれるご予定です。
また、伊藤様は2021年以降、節水器具を設置するプロジェクトを主導。蛇口の先端に節水器具を取り付けるだけで水の吐出量を約70~90%に節減でき、食材の流水解凍などで人により異なっていた吐出量を器具で調整できるように工夫され、2023年3月現在、全国813店舗に設置済みです。さらに営業部と水の使い方を見直す取り組みを進め、全体で年間の水使用量を約100万㎥、水道代を年間約2億4,000万円削減することに成功されました。

社会的関心の高さに改めて『ZEB』化の重要性を認識。

国内外食産業で初の『ZEB』認証取得はニュースメディアでも報じられ、同社には予想以上の反響が寄せられました。本様は「私もいろいろな場で質問攻めにあい、外食企業で初の『ZEB』事例がこんなにも社会的に関心が高いのだと気づきました。外食企業においても、『ZEB』化に積極的に取り組んでいかなければならないのではと考えております」と語られました。

左からパナソニック首都圏電材営業部 大林、
パナソニック電材ソリューションズ 木浪様、 白井様、
トリドールホールディングス 恩田様、 本様、 伊藤様、
パナソニック首都圏電材営業部 兒玉

代理店様
電気代・燃料費の上昇に悩まれるお客様に
より良いソリューションをご提供したい。

  • 白井 進様

    パナソニック電材ソリューションズ株式会社
    法人ビジネス営業部 広域ビジネス営業所
    主事
    白井 進

  • 木浪 正樹様

    パナソニック電材ソリューションズ株式会社
    エンジニアリング本部
    施工管理部 ビルエンジニアリング課
    課長
    木浪 正樹

「丸亀製麺」鈴鹿店様のZEB化では、パナソニックと共に製品の選定を行い、納入と施工の一部を担当させていただきました。現場では他社との工程調整も担当し、約1ヵ月半という短工期での工事を無事完遂することができました。また、電気工事会社様には現場の施工で何かとご支援をいただきました。
当社にとってZEB案件を取扱うのは初めてのことで、社内の経験値も高まったと感じています。昨今の物価高や電気代・燃料費の上昇を受けて、同じお悩みを抱えておられるお客様は少なくありません。お客様のご要望にお応えできるよう、今回の経験を活かしていきたいです。

納入された主な設備:屋外

納入された主な設備:屋内(店内・事務所)

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