IHクッキングヒーターの人気を支える独自技術の進化

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部
  • 宗形

    調理機器BU
    IHクッキングヒーターSBU
    商品企画課
    宗形

  • 白石

    調理機器BU
    IHクッキングヒーターSBU
    技術部 ソフト設計課
    白石

  • 山下

    調理機器BU
    IHクッキングヒーターSBU
    技術部 ソフト設計課
    山下

パナソニックは1990年に国内で初めて200V IHクッキングヒーターを発売。発売当初から国内トップシェアを維持しています。
人気を支えてきたのは、ハードとソフトが両輪となって進化し続けてきたパナソニックの独自技術です。
これら技術の進化と歴史についてご紹介いたします。

左よりマーケティング部 久保、商品企画課 宗形、
技術部 山下、白石、マーケティング部 柴原、浜本

市場からの声に真摯に向き合う開発姿勢で
あたらしいものづくりに取り組むIH事業

―商品企画課の主な事業役割を教えてください。

商品企画課では、市場動向の分析や、お客様の生の声からニーズをキャッチし、自社開発技術による新商品の企画・開発を行っています。

―ソフト設計課の主な事業役割を教えてください。

ソフト設計課では、新機能の設計から市場への訴求までを行っています。開発者が訴求まで関わっているのが当社の特徴です。また、マーケティング部や料理研究家と連携し、レシピ・メニューの開発も行っています。

使い勝手から「おいしさ」へ訴求を転換するきっかけとなった
パナソニックの独自技術

―かつてはお手入れ性や火のない安全性、オール電化によるメリットなどの訴求が中心でした。「おいしさ」の訴求に力を入れるようになった経緯を教えてください。

IHクッキングヒーターは国内所有率が30%※1を超え、「火がなく安心」「五徳がなくお手入れ簡単」といった特長は多くの方に知られるようになりました。しかしながら、ガスコンロの方がおいしく仕上がるというイメージは根強く、IHクッキングヒーターも「おいしく作れる」ということをハードとソフトの両面から伝えていかねば、新たな顧客層の獲得につながらないのでは、と考えました。
ハード面では、パナソニックの独自技術で可能になった調理性能の訴求です。1つめは自社製造の極細の導線を使用することで、IHコイルの熱効率を高め、実現した高火力。2つめは、2007年に搭載した、鍋底の温度を瞬時に計測する光火力センサー。これら2つで緻密な温度コントロールが可能になり、料理のテクニックのひとつである「最適な火加減」を誰もが行えるようにしました。
ソフト面では、メニュー提案やアシスト機能に力を入れるようになりました。また主観的ともいえる「おいしさ」を、どう評価し、訴求するかについては、ソフト設計課では焼き色の数値化や水分量・うまみ成分量の測定などにより 「おいしさ」を「定量化」することに取り組み、科学的な評価を行っています。

※1 2021年度 パナソニック調べ

コンロ業界にも影響。お客様の声を活かし
グリルに革命を起こした「ラクッキングリル」

―2012年に発売された「ラクッキングリル」の開発の経緯について教えてください。

IHクッキングヒーターは発売以来、「ご愛用者カード」に寄せられたお客様の声から改良や新開発を重ねてきましたが、「お手入れが簡単」で好評のトッププレートに対し、魚焼きグリルはお手入れが面倒だから使用していないというお声もあり、ここを何とかしたいという思いで開発したのが2012年発売の『ラクッキングリル』でした。
それまで常識だった「焼き網」を「グリル皿(プレート)」に変えることで、お手入れ性を一気に解決しました。
当社が手掛けているホットプレートやオーブンレンジがヒントになったこと、企画、技術開発、営業が一体となって調査と分析を繰り返したことで実現しました。「グリル皿」の導入によって、お手入れ性が解決しただけでなく、魚を焼く以外にも、鶏肉やグラタン調理、お菓子など、メニューの幅が広がりました。
『ラクッキングリル』はお客様に大人気となり、ガスコンロ業界にも影響を与え、グリル革命を起こしたと自負しています。

ソフト設計課の研究実験室。
毎日様々な食材の調理を行い、焼き色や加熱具合などを解析。
新レシピや自動調理メニューの開発を行っている。

下味をつけた鶏肉を冷凍したままグリルで焼く調理実験中の様子。

お客様に寄り添い進化するIHクッキングヒーターの調理技術

遠赤ヒーター(管状のヒーター)を使用していた『ラクッキングリル』の熱源はその後、IHに変わり、火力がアップしてさらなる進化を遂げました。また、共働き世帯の増加に伴う需要の変化から、調理の利便性にもこだわるようになりました。下ごしらえをすませて冷凍した食材を使うといった時短調理の需要にお応えすべく、2019年に搭載したのが『凍ったままIHグリル』です。こちらも大変ご好評をいただいており、最新機種Aシリーズではさらに進化し自動調理メニューが5つから8つへ追加されています。また、料理研究家とコラボしインスタライブを行ったり、アプリでレシピを発信するなど、お客様に向けた発信を常に行っております。
IHクッキングヒーターの買い替えサイクルは約15年ですが、その時々のお客様のライフステージで、ご家族のだれもが調理しやすい、寄り添い続けられる調理機器でありたいという思いで、新機能の開発を続けております。

■IHクッキングヒーター進化の歴史

脱炭素社会の実現に向けてIHクッキングヒーターにできること

―IHクッキングヒーターが普及することで社会にどのような影響をもたらすと考えられますか。

2050年カーボンニュートラルの実現には、脱炭素エネルギーの導入拡大をしていくとともに、電化・水素化などのエネルギー転換を促すべきだということは経産省が指針として掲げています。IHクッキングヒーターは家の中でCO2を排出せず、太陽光発電などの再生可能エネルギーで作られた電気を使えるという意味では、脱炭素社会の実現に貢献できると考えています。また、そのためにはグローバルに広めていくことも当社の役割と考えております。
昨今は新築住宅着工数の減少から、IHクッキングヒーターのリフォーム需要の取り込みにも力を入れています。リフォームの際に導入していただくことはもちろんのこと、「IHクッキングヒーターが欲しいからリフォームをしたい」というニーズを引き出すためにも、技術の進化やソフトの充実に力を入れています。200Vの電源を必要とするIHクッキングヒーターは、台所まで引き込み電気工事をしなければ設置できない商品です。1990年の生産開始から累計生産台数はおかげさまで2023年度に780万台を超えました。ここまでお客様のもとにIHクッキングヒーターを届けられたのは、電気工事会社様のお力添えがあったからです。今後も製品の魅力を高め普及拡大に向けて精進して参りますので、電気工事会社様には電気工事はもとより、当社IHクッキングヒーターのご提案、ご販売にご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

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