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熊本市市有施設の照明器具約180,000台を一斉にLED化。
脱炭素化と電力コスト削減、水俣条約に沿った水銀フリーを実現。
熊本市様[熊本県 熊本市]
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熊本市環境局環境推進部
脱炭素戦略課 技術参事
杉水 康真 様 -
熊本市環境局環境推進部
脱炭素戦略課 主査
平塚 寛人 様 -
熊本市内電気連合会
統括所長
吉村 優治 様
熊本市では令和2年度から令和5年度にかけて、市の保有施設約1,300施設の照明器具を一斉にLED化されました。
リースを利用することによって、早期の導入と財政負担の平準化を実現されています。
リースの利用で約1,300施設を一斉工事。市有施設のLED化率は5%から94%に
熊本市は、2020年1月に近隣の市町村で構成する熊本連携中枢都市圏共同で、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」を目指すことを宣言し、2021年3月に「熊本連携中枢都市圏地球温暖化対策実行計画」を策定されました。
また、2023年3月に「熊本市役所脱炭素化イニシアティブプラン」を策定し、2030年度までに市の事務及び事業に伴う温室効果ガス排出量を2013年度に比べ65%削減するとともに、電力使用に伴う排出量をゼロとする目標を掲げ、市有施設のLED化等を進めていくこととされています。
LED照明の導入については、新築・改築の際にその都度導入することとされていましたが、早期の100%LED化に向け、様々な手法を検討された結果、リースでの一斉導入に至りました。
リースを利用するメリットとして、コスト面では財政負担の平準化をはかることができ、予算化がしやすくなるといったことがあります。また、通常工事の発注で必要な図面の作成もリースに含めることで導入までの期間が短縮されること、後々の維持管理を受注者に任せられることも利点です。熊本市の平塚様は「熊本市は『水銀に関する水俣条約』が締結された地であり、率先して100%LED化を目指したいという思いがありました。そのためにも、市有施設の一斉LED化に踏み切り、実施前は5%だったLED化率を94%まで大きく向上させることができました」とおっしゃいます。
トータルで、消費電力量約2,600万kWh/年、温室効果ガス排出量約9,100t-CO2/年、電気代約4.6億円/年の削減という膨大な改善が見込まれています。
熊本市内の電気工事会社が団結し工事をスムーズに進行
膨大な施設数と器具台数が事業対象になることから事業を1次と2次に分け、1次事業では学校や消防施設を中心とした159施設にて約87,000台の改修工事を実施。2次事業では区役所や体育施設、市営住宅など1,128施設にて約93,000台のLED化を実施されました。
これだけ大規模な工事を行うには、綿密な計画と多方面での連携が必要でした。工期の遅れやトラブルもなく工事が成功した理由として、熊本市の杉水様は、熊本市内電気連合会様の結束力が大きかったとおっしゃいます。「地域経済の活性化と保守メンテ対応の迅速化のために、入札条件を市内に本社を有する事業者に限定したこともあり、地域を知り尽くした事業者の皆様の施工により、滞りなく事業を完了することができました」。
熊本市内電気連合会の吉村様は「熊本市内の4組合と熊本県電設業協会で協力しながら、市内の電気工事会社が各自の地元エリアを担当し、約1,300施設の工事を同時進行しました。クラウド上に図面や工程表、進捗表、施工計画書などをアップすることで、工事会社や市のご担当者様との情報共有を効率化できました」と語られます。
パナソニックのQQポールも省施工・省廃材で工期短縮に貢献
街路灯には700本にもおよぶQQポールを採用いただくことで工期を短縮化。「数年前に組合でQQポールの施工研修会を実施していましたので、研修会に参加して施工経験がある工事会社が多かったことからスムーズに対応できました。QQポールのおかげで基礎工事が発生しなかったのは有難かったです」と吉村様。
「今回のリニューアルに使用したLED照明器具は2,000種類以上にもおよびましたがほぼパナソニック製を選定しました。他社では対応できなかったと思います。熊本電材営業所にもいろいろとご協力いただきました。また、熊本は震災の経験があるので、予防保全的にビス止めの器具は吊りボルトに変更しました」。
杉水様は「電気職の少ない自治体様でも、リースを利用して照明をLED化することで職員の負担を減らすことが可能です。蛍光灯ランプの生産終了が2027年に迫っています。ぜひLED化に取り組んでください」とメッセ―ジをくださいました。
街路灯リニューアル用ポール「QQポール」はポールを根元で切って新しいポールを差し込むだけなので、短工期・省廃材に。
QQポールについて>
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